LinuxのマシンにHDMI接続したディスプレイで映像を楽しもうとしたことがある人の中には、AMD独自の画面同期技術「FreeSync」が機能せず閉口した経験がある人もいるはず。オープンソースの環境でHDMIを使用する上でしばしば発生する問題にはHDMI業界の閉鎖体質が関係していると、Linux関連のニュースサイトPhoronixが指摘しています。
Phoronixの創設者であるマイケル・ララベル氏によると、オープンソースのGPUドライバーがHDMIで機能するFreeSyncをサポートできない現状には、HDMIの業界団体であるHDMI Forumの方針が関係しているとのこと。HDMI Forumは、HDMIの仕様へのパブリック・アクセスを遮断することを決定しており、これがオープンソースのGPUドライバーに悪影響を与えていると、ララベル氏は指摘しています。
HDMIの仕様を公にしないという決定により、HDMI Forumの主要なメンバーの一員であるAMDでさえ、クローズドな状態で守られているHDMIの機能をオープンソースで提供することができなくなりました。これが、オープンソースの「AMDGPULinuxカーネルドライバー」を搭載したFreeSyncがDisplayPortでのみ動作し、HDMI経由では機能しない理由となっています。
この状況が続けば、「HDMI 2.1」のような高度なHDMI機能がオープンソースのGPUドライバーに実装されなくなる危険もあると、ララベル氏は危惧しています。
こうした懸念を背景に、X Window SystemやX.Org Serverの開発を行っているX.Org FoundationはHDMI Forumに対して「HDMI 2.1の仕様に関する情報を公開し、オープンソースのGPUドライバーが合法的にHDMI 2.1の機能を実装できるようにすること」を要求しているとのこと。
HDMI 2.1の仕様公開に向けた働きかけについて、ララベル氏は「これが2021年のうちにうまくいくことを期待しましょう。それまでは、『DisplayPortかHDMIか』を選ぶ際にはこの問題を置いておく必要がありそうです」と述べました。
ララベル氏の記事を取り上げたオンライン掲示板・Redditのスレッドには、「なんでHDMIがクローズドソースなの?」「ライセンス料のためさ」といったやりとりや……
「単純なデータ伝送ケーブルにライセンスがあるのは、ちょっとしたお笑いぐさだ」「最近ではよくあること」「標準の開発者にはお金が必要なんだろう」といったやりとりが書き込まれていました。
2021-01-06 19:42:52