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アップル「M1 Mac」2021年以降の展開と、足下に忍び寄る問題について

アップルは昨年、リモートワークやオンライン授業によって、iPadとMacの売上を伸ばしてきました。iPad miniを除くすべてのモデルでアップデートを行ない、特にiPad Airはプロセッサの速度ではProを凌ぐ存在で、多くの人にとって選びやすい製品となっています。

アップルはまた、昨年6月のWWDC(世界開発者会議)で、MacをApple Siliconに移行する2ヵ年計画および年内の初号機発売を約束しました。11月には予告どおり、M1チップと、それを搭載するMacBook Air、13インチMacBook Pro、Mac miniを発売しました。そのパフォーマンスと省電力性については、お知らせしてきたとおりです。

●2020年第4四半期もブースト

売れ行きはどうだったのか。調査会社のIDC、ガートナーの2社は、2020年第4四半期のPC出荷台数のデータを公開しています。IDCによると、世界のPC市場の出荷台数は9159万台で、26.1%の成長となりました。PC市場がここに来て大きく成長しているのは、先述の通り、オンライン授業やリモートワークへの対応で、PCの台数が家庭で必要になったこと、また買い替え需要を喚起したことが挙げられます。

最も販売台数が多かったのは2312万台を出荷したレノボで、HP、デルと続き、アップルは第4位。約735万台の出荷台数で、前年同期比で49.2%と、上位5メーカーの中で最も高い成長率を記録しました。ガートナーの集計では、アップルは約689万台を出荷し、成長率は31.3%。いずれの調査でも、シェアは8%台に乗せる結果となりました。

PC市場の高成長について、IDCのライアン・リース(Ryan Reith)副社長は、COVID-19のパンデミックがPC市場の需要を喚起しているだけでなく、新しい市場の可能性を創出した結果だと指摘しています。

M1 MacはそもそもCOVID-19と関係なく計画されてきた製品だと考えるべきですが、高性能と低消費電力の両立を新しいレベルで実現したことによって、リース氏が指摘する新しい可能性、つまりモバイルクリエイティブプロの新しいニーズをつかんだと評価できます。

●2021年の課題解決

M1搭載のMac各モデルは、シングルコア、マルチコアともにデスクトップの上位モデルに匹敵する処理性能を実現し、特にビデオ処理で大きなパフォーマンス向上が認められて、グラフィックス性能の伸び悩みからWindowsプラットホームに流れていたビデオグラファーを再び惹きつける魅力を発揮しました。

価格面でも、現状手に入るIntelチップ登載の上位モデルの性能をエントリーモデルで実現している点から、性能対価格比では値下がりしたと見ることもできます。バッテリー持続時間は実利用で大幅に伸びており、たとえば文書作成の業務なら2日に1度の充電十分、という、今まで手に入らなかった価値を実現できました。

しかし刷新された製品群を見ると、あくまでエントリーグレードをApple Siliconに置き換えたに過ぎません。そのため、特に性能を求める用途においては、M1搭載のMacではまだリプレイスができたとは言えません。具体的にはプロセッサの速度、グラフィックスのパフォーマンス、メモリの増設、現状2つしかないThunderbolt / USB 4ポートの数などがこれに当たります。

Apple Siliconのロードマップについて、アップルは明らかにしていませんが、恐らくApple Siliconとして、2021年はミドルレンジ、2022年の最終年度にハイエンドのチップをリリースしていくことになるのではないか、という予想は容易です。

特に2022年は、Mac Pro(2019年モデル)の最上位モデルに搭載されている2.8GHz(ターボブースト時4.4GHz)のIntel Xeon W、28コア、56スレッドのパフォーマンス、Geekbench 5のマルチコア20000前後を明確に上回る必要があります。ちなみにM1搭載のMacBook AirはMac Proのベースグレード(3.5GHz 8コアIntel Xeon W)と同等のGeekbench 5マルチコアスコアである7500前後を実現しています。

ただし2022年はハイエンドだけではなく、2020年にリリースしたM1の刷新も必要になっていくことから、これまでIntelまかせだったMacの心臓部の発展計画をいかに円滑に進められるのか、その舵取りも注目です。その原動力となるのが、スマートフォンの分野で競合関係を強化してきたTSMCです。7nmプロセス、5nmプロセスのAシリーズチップをいち早くスマートフォンに搭載しており、M1もTSMCの5nmプロセスで作られています。

今後、TSMCは5nm+に移行し、従来の5nmプロセスに比べて処理速度7%向上、消費電力15%を抑えられ、低コストで高性能化をはかれるとしています。2021年上半期に量産が開始されるとの見通しが出されていることから、ミドルレンジのMac、そして2021年モデルのiPhoneには、5nm+で製造されるプロセッサが採用されると予測しています。

さらに、TSMCは微細化を進めていく計画で、4nm、3nmそして、2023年の3nm+まで、アナウンスしています。

●足下に忍び寄る問題

Apple Silicon移行の1年目となる2020年は、PCへの需要回帰という市場環境もあり、順調な滑り出しを切ったかに見えます。しかし現在、マイクロチップの製造が思うように進まない可能性も出始めました。PlayStation 5とXbox Series Xの需要が急増が、パソコンだけでなく、スマートフォンや電気自動車にも影響を及ぼしているというのです。

最新ゲーム機PlayStation 5とXbox Series Xは、いずれもAMDのZen2アーキテクチャをベースにしたCPU/GPUを搭載しています。チップはAMDから調達しており、AMDの7nmプロセス製品の8割が当てられていますが、これを製造しているのはTSMCです。

供給不足に陥っている原因は、日本の味の素が開発したABFフィルム(Ajinomoto Build-up Film)と呼ばれる素材です。味の素によれば、同社のアミノ酸の技術を使って、液体だった絶縁材料をフィルム化し、ナノメートル単位のCPU端子とミリメートル単位の基盤の端子へつなぐ電子回路の生成に使われているそうです。

Digitimesは2020年6月から、2021年のABFの供給不足が悪化することを予測しており、これが現実のものとなってきたとテクノロジー系サイトExtremeTechは分析しています。

視野を広げると、現在世界的な半導体の供給不足に陥っており、日産、ホンダなどの日本車メーカー、フォルクスワーゲンなどが、半導体の調達不足で生産調整を余儀なくされています。これまでコンピュータやスマートフォン向けチップと自動車向けチップは異なるものでしたが、車載コンピュータの高度化で、状況が変化しつつあります。

CESにあわせてメルセデスが披露した最上級電気自動車「EQS」向けのインフォテイメントシステムは、54インチのゴリラガラスと有機ELディスプレーを備え、AI学習が行える8コアプロセッサを搭載するなど、スマートフォン向けに似た半導体搭載に動いており、電気自動車のバッテリーも含めて、スマートフォンと競合する存在へと急速に変化しています。

もうひとつの連載「“it”トレンド」でテスラを採り上げつつ、Apple Carの現実味について触れましたが、スマートフォンやコンピュータと自動車が接近していること自体は、事実と言えます。


2021-01-18 19:18:56



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