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13.3型2in1「dynabook V8」レビュー、1kg切りで約24時間駆動のTager Lakeモデル

Dynabook開発陣に聞く - Intel EVO認証の舞台裏、5in1ノートPCの注目ポイント

Dynabookが2020年12月に発売したPC新モデルのなかでも、13.3型の「dynabook V8・V6」と15.6型の「dynabook F8・F6」については、5つのスタイルで使える「5in1 プレミアムPenノートPC」としてブランディングされている。このうち13.3型の「dynabook V8/P」を実際に触ってみたので、その詳細についてお届けしたい。

コンバーチブルタイプだが重量は1kg未満

dynabook V8/Pは、360°回転液晶を備えたコンバーチブルタイプの13.3型モバイルノートPCだ。一般的には、タブレット形状とクラムシェル型ノートPCの1台2役をこなす2in1の部類だが、冒頭で述べた通り、dynabookとしてはその運用方法から「5in1」なる呼び方を提案する。具体的には、Penスタイル、Note PCスタイル、Monitorスタイル、Tabletスタイル、Flatスタイル、という5通りだ。

5in1のなかに「Penスタイル」とあるように、筆圧検知レベルが4,096のワコム製アクティブ静電ペンが付属することも特徴。執筆時点でECサイトにおけるdynabook V8/Pの実勢価格(税込)は230,000円台だ。

dynabook V8/Pの本体サイズは、W303.8×D197×H17.9mm。A4用紙の短辺が1cmほど短いサイズ感をイメージするとわかりやすいだろう。本体の奥行きは短いので、比較的スペースの少ないデスクやテーブルでも使いやすいはずだ。

重さは1kgを下回っており、1.2~1.3kg程度の製品が多い13.3型コンバーチブルPCのなかでは軽いな部類。筆者としても、片手で扱いやすいなど、取り回しの良い印象を受けた。本体のエッジ部分は滑らかに整えられているため、手馴染みも上々だ。

ただし本体が軽いゆえ、閉じた状態から液晶を開こうとするときは、キーボード面を抑えながら開くことになる。両手操作が必要となるが、ここは軽さとのトレードオフだ。
dynabook V8/Pのおもな仕様

製品名:dynabook V8/P(試用機:P1V8PPBB)
参考価格:230,000円前後(税込)
OS:Windows 10 Home 64bit版
CPU:第11世代Intel Core i7-1165G7(2.80GHz)
メモリ:16GB LPDDR4X-4266
グラフィックス:Intel Iris Xe Graphics(CPU内蔵)
ストレージ:512GB SSD(PCIe)
光学ドライブ:×
ディスプレイ:13.3型IGZO液晶、1,920×1,080ドット(フルHD)、ノングレア(非光沢)
タッチパネル:○
有線LAN:×
無線LAN:Wi-Fi 6(IEEE802.11ax/ac/a/b/g/n)
Bluetooth:5.1
センサー:顔認証(Windows Hello対応)
Webカメラ:約800万画素リアカメラ、約92万画素フロントカメラ(物理シャッター付き)
おもなインタフェース:USB 3.1 Type-A×1、USB 4 Type-C(Thunderbolt 4、USB Power Delivery)×2、HDMI出力×1、ヘッドホン出力・マイク入力コンボジャック、microSDカードスロット(最大512GB)
バッテリ駆動時間:約24時間
本体サイズ:約W303.8×D197.4×H17.9mm
重さ:約979g

CPUには第11世代Intel Core(開発コードネーム:Tiger Lake)のCore i7-1165G7を搭載。コンフィグラブルTDPとなっており、必要に応じて動作性能が変わる。具体的には、TDP-up時は28W・2.8GHz、TDP-down時は12W・1.2GHzで駆動。dynabook V8/Pは、28W・2.8GHz駆動を前提に熱設計されている。ただし、Tabletスタイルで使用する場合には、28Wでは動作しない。

CPU内蔵グラフィックスはIntel Iris Xe Graphics。タイトルにはよるだろうが、ゲーミング用途でも活用できるだろう(後半でベンチマークを紹介する)。そのほか、メモリは16GB LPDDR4X-4266、ストレージは512GB SSD(PCIe対応)を備える。

dynabook V8/Pは、インテルが定める「Intel EVO」プラットフォームに準拠。かつてインテルが2003年から提唱した「Centrino」や、2011年から提唱した「Ultrabook」などと似たようなもので、一定のユーザー体験を保証する証しとして、本体にシールが貼られている。例えば、フルHDディスプレイでありつつ9時間以上のバッテリ駆動が実現されていたり、スリープ状態から1秒以内に復帰するような応答速度の実現、Wi-Fi 6対応、Thunderbolt 4でのデータ転送対応などが検証されている。


タッチ対応ディスプレイはノングレアで映り込みがない

ディスプレイには、LEDバックライトを使用した13.3型ワイドのIGZO液晶が採用されている。解像度は1,920×1,080ドットのフルHDだ。ウィンドウを複数広げるような作業だと、フルHD解像度は縦が短く感じる人もいると思うが、一般的な事務作業で2ウィンドウを並べる使い方なら特に問題ないだろう。

動画を鑑賞してみた印象では、色域やコントラストについても、特段気にならずに楽しめた。クリエイティブな用途で、ちょっとした写真や動画を編集する場合にも、色味の再現の不安はほぼないと思う。

特筆すべきは、ディスプレイ表面がノングレア(非光沢)でありつつも、グレアのPCと比べて画質が劣るような印象がなかったこと。例えば、暗所の描写シーンが多い映画なども、ディスプレイにユーザーの影が映り込むことなく鑑賞でき、没入感が上がるだろう。視野角も広いので、2人で横並びの状態で画面をのぞき込むような使い方にも問題ないと思う。

輝度については、具体的なnit数はわからないものの、最大値にすれば晴れた日の窓際で作業するときも十分に明るい。筆者が室内で事務作業を行うような場面では、25%程度の明るさ設定にしていた。

サウンド面は「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」のサラウンド音声に対応する点に注目だ。Dolby Atmos対応の映画や、YouTubeのDolby Atmosデモ音源などを再生すると、立体的な音響が再現される。例えば鳥が飛んでいくシーンなら、羽音の位置が移動するように聞こえる。

スピーカー自体はパームレストの裏側に位置するが、精細感には欠ける印象。音量を最大にすると、少し音が割れるような感覚もあった。もちろん、Dolby Atmos対応もあって動画作品の臨場感は楽しめるが、高音域の金属音が伸びるような表現だったり、低音域のぐっと胸に響くような圧力は再現しきれないようだ(それでもノートPCのサウンドとしては十分に高品質だが)。
キートップは正方形に

キーボードについては、従来モデルのやや横長だったキートップから、正方形に近い形状へと改良されている。キーピッチは19mm、キーストロークは1.5mmあり、適度な反発も感じる。dynabook V8/Pで記事を書いていてもまったく気になるところがなく、打鍵感が心地よく整えられている印象だ。

Windowsキーの左にはFnキーが並び、これを押しながら操作するショートカットコマンドがわかりやすいように、キー表面にアイコンを刻んでいる。例えば、Fn+Zキーでは、キーボードバックライトをオンオフ。キーボードバックライトは本体デザインと合わせて赤く光る。

タッチパッドは、上下の幅が少し狭い印象を受けた。決して操作しづらいわけではないが、勢いよくスクロール操作すると、タッチパッドの端に指が当たりやすい。本体サイズやキーボードサイズとの兼ね合いで、設計にとっては悩ましい部分だろう。


インタフェースはThunderbolt 4対応も

インタフェースに関しては、有線LANポートや光学ドライブなどは備えないものの、USB 3.1 Type-Aポート×1基、USB 4 Type-Cポート(Thunderbolt 4、USB PD対応)×2基、HDMI出力×1基、ヘッドホン・マイクコンボジャック、microSDカードスロットなど充実する。こうしたポート類は、前面や背面にはなく、左右側面にのみの配置だ。

カメラが2つ付いている

カメラを2つ搭載している点はユニークだ。ディスプレイ側に1つ(前面)と、キーボード側に1つ(背面)の計2つ。解像度は前面が約92万画素、背面が約800万画素となっている。Web会議などに使う前面カメラにはシャッターが付いており、物理的に撮影を遮断できるため、意図せぬカメラのオンや、Webカメラハッキング防止の面でも安心だ。

背面カメラは、Tabletスタイルで運用するとき、カメラアプリを起動してディスプレイで映り方を確認しつつ、資料や現場の様子をノートPC本体で撮影できて便利だ。ただし作例を見ると、カラーバランスや精細感などは、最新のスマートフォンやタブレットの自動補正機能と比べると少々見劣りする。

ペン付属だからペーパーレスな作業も容易

付属のスタイラスペンは、アクティブ静電結合方式であり、ペン内部に乾電池をセットして使う。ペン先の書き心地は、標準的なワコム製のペンと同じ感覚だ。

プリインストールされたアプリの「TruNote」アプリでペン描画を試したところ、簡単なイラストや文字を描くには、ストレスなく使えた。ペン手元側のスイッチを押しながら描画すると、ペン先が消しゴムに切り替わるといった機能も便利だ。

体感としては、ビジネスシーンでは問題なく使えると思う。具体的には、PDFにサインを書き込んだり、資料に修正指示を手書きで加えたりするには十分だ。ペーパーレスな作業環境下で「手書き」を取り入れられるのはメリットは大きい。手書きの文字や表をデータ化するOCR機能もいろいろと重宝する。

一方、イラストやデザインを作成するなど、クリエイティブな用途で使うには、人によってオススメできるかどうかが分かれそうだ。例えば、趣味で絵を買いてSNSに公開するくらいならば、使用するソフトウェアしだいで実用的だと思う。一方、商業的にイラストを描こうとするなら、ペン先から筆跡までの遅延などを考慮すると、少し心許なくも感じた。


ベンチマークアプリの結果

ベンチマークとしては、CPU能力を計測する「Cinebench Release 23」と、ストレージを測る「CrystalDiskMark」を実行。ゲーミング性能に関しては「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「STREET FIGHTER V ベンチマーク」を試した。AC電源に接続し、電源モードは「最も高いパフォーマンス」だ。

Cinebenchの結果は、CPU(Multi Core)が5178pts、CPU(Single Core)が1442pts、MP Ratioが3.59倍となった。CrystalDiskMarkについては、1GiBを5回測定の条件で、シーケンシャルアクセスのリードは2328.43をマーク。ランダムアクセスについては、RND4K Q32T1でRead 255.01とWrite 300.97を記録している。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、「高品質」だと明らかにコマが飛び、描写がカクカクした(条件としては解像度をディスプレイに合わせてフルスクリーン表示)。スコアは1746で、結果は「動作困難」の判定に。「標準品質」でも、スコア2347で結果は「重い」に。体感としては、多少の違和感が残り、ゲーム体験としてはギリギリ許容できるクオリティだ。「軽量品質」ではスコアが3093、判定もようやく「普通」になった。

STREET FIGHTER V ベンチマークは、画面品質「中」設定で「快適にプレイすることができます。」という結果だった。ゲームをプレイする場合は、多くのタイトルで描画品質を調整する必要がある。高品質寄りの設定は厳しいが、趣味としての楽しみ方なら快適にプレイできるだろう。

なお、ベンチマーク実行中にはファンが回り続けていた。ファンの音をiOSの「音量測定器」アプリで計測してみたところ、ユーザーが操作する位置だと大体40dB台だった。家庭用の暖房が動いている部屋の騒音が30dB台なので、それほど大きな音ではないものの、常にファンがなり続けている状態になったのは、多少気になった部分だ(高負荷が続くとによってはかなり大きなファン音になる)。

ベンチマーク中の本体で暖かくなったのは、キーボード面の奥側に限られた。膝上に乗せて作業しても苦にならない程度の熱さにしかならなかったことは高評価だ。パームレスト部分はほとんど熱くならなかった。

バッテリ持ちについては、検証としてYouTubeでフルHD動画を1時間視聴してみた。画面輝度は25%程度に設定し、電源モードを「最も高いパフォーマンス」を選択した状態で動画再生したところ、1時間でバッテリ残量は91%に減った。単純計算で10時間弱のフルHD動画を再生できるとすれば、Webブラウズやオフィスアプリといった使い方なら丸一日は余裕で持ちそうだ。

画面の輝度を下げたり、電源モードをバッテリ優先にすれば、駆動時間はもっと長くなる。例えば上記の91%時点で、電源モードが「最も高いパフォーマンス」だと残り時間は4時間55分と表示されていた(減り方を考え得るとかなり少なめに設定されてはいるようだが――)。これが「より良いバッテリ」を選択すると、残り6時間39分の表示に増えた。
軽さは大事。コンバーチブル2in1の魅力を再認識

スタイラスペンが付属し、ペーパーレスな環境作りにも強いノートPCはやはり魅力だ。軽量で持ち運びやすく、Tabletスタイルでカメラを使える点なども、個性が立っている。Intel EVOやインタフェース充実など、総合的によくデザインされた使い勝手に優れる1台だと感じた。