アップルは2018年、iPad Proの充電/外部通信用コネクター仕様を独自のLightningからUSB Type-Cに移行しました。また2020年にはホームボタンを廃止したiPad Airで電源ボタンにTouch ID機能を持たせています。こうした流れから、アップルは将来的にiPadだけでなくiPhoneにおいても、外部コネクターおよびケーブルの仕様をUSB Type-Cに統一し、電源ボタン統合のTouch IDへと移行していくのではとの憶測が流れています。
しかし、長年アップル製品に関する未発表情報に詳しく、比較的その精度も高いと評価されるMing-Chi Kuo氏は、そのような市場の期待とは裏腹に、アップルはiPhoneにはUSB Type-Cも電源ボタンTouch IDも、採用するスケジュール上の見通しはないと報告しています。
Kuo氏はその理由として、USB Type-CケーブルがLightningケーブルに比べて防水性能に劣ることを挙げつつ、サードパーティが販売するLightningケーブルから得られるMade for iPhone(MFi)プログラムの収益がなくなってしまう問題があることを指摘しました。そして「もし将来iPhoneがLightningケーブルを廃止する場合はUSB Type-CでなくApple Watchが採用した(ワイヤレス充電の)Magsafeをサポートするようになる可能性が高い」としています。
Magsafeならば、端子の開口がなくなることでiPhoneの防水性はさらに向上し、なおかつMagSafe対応の充電器にMFiプログラムを適用することで、ライセンスによる収益を引き続き得られます。とはいえ、現時点ではアップルはiPhoneの充電方式を一本化するほどMagSafeが信頼できるレベルになっていないと考えているとKuo氏は述べ、まだしばらくはLightningコネクターを使い続けるだろうとしました。
一方、電源ボタン統合のTouch IDに関しても、Kuo氏はそれをやっている暇はアップルにはないだろうとの見方を示しています。ここしばらく、アップルは画面下Touch IDを試験しているとのこと。
クオ氏はほかにも、今年発売予定のiPhoneのノッチ幅の縮小や2022年にはパンチホール化するとの予想や、そして8インチで折りたたみ型のiPhoneが2023年にも登場する可能性があることを報告しています。
ジョブズ時代はiPhoneもiPadもごくシンプルなラインナップでしたが、ここ数年で大分複雑化してきた印象です。ユーザーは手持ちのデバイスに慣れればよいだけですが、もし予想されるように狭ノッチやパンチ穴、折りたたみ画面に画面下Touch IDなどがラインナップに続けざまに登場してくるならば、それらに対応しようとする開発者は、処理や動作チェックの負担が大きく増えてしまうかもしれません。