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Samsung「SSD 980」性能レビュー - 快速!? エントリーNVMe SSDの勢力図を変えるか

2021年3月10日にSamsungからPCI Express 3.0 x4に対応するエントリー向けのNVMe SSD「SSD 980」が発表された。DRAMレスながら1TB版の公称シーケンシャルリードは3,500MB/秒と3.0 x4対応としては最速クラスのスペック。低価格NVMe SSDに強烈な新製品が登場したと言えそうだ。今回は500GB版(公称リード3,100MB/s)を試用する機会を得た。さっそく、その実力をチェックしてみたい。

サムスン電子、DRAM非搭載でも高速なM.2 NVMe SSD「980」

○SamsungもDRAMレスを投入、スペックはハイエンド級!?

Samsungは、ハイエンドクラスのNVMe SSDとしてPCI Express 4.0 x4対応でシーケンシャルリード7,000MB/秒を誇る「SSD 980 PRO」があり、2.5インチのSerial ATA SSDでは性能重視の「SSD 870 EVO」、大容量モデルのコストパフォーマンスに優れる「SSD 870 QVO」を展開しているが、エントリークラスのNVMe SSDは存在していなかった。

そのスキマを埋めるように投入されたのが「SSD 980」だ。インタフェースはPCI Express 3.0 x4で、バッファ用のDRAMメモリを備えない“DRAMレス”仕様とエントリーらしい設計だ。DRAMレスのSSDは主にランダムアクセスに対して弱くなる傾向にあるが、SSD 980ではメインメモリの一部(64MB)をSSDのDRAMメモリとして使用する「HMB」(Host Memory Buffer)に対応することで、それをカバーしている。

スペック上はPCI Express 3.0 x4のハイエンドクラスNVMe SSDをそん色はない。250GBから1TBまで容量別に3モデルをラインナップ。ードは1TB版が最大3,500MB/秒、500GB版が最大3,100MB/秒、最大250GB版が2,900MB/秒、ライトは1TBが最大3,0000MB/秒、500GBが最大2,600MB/秒、250GBが最大1,300MB/秒となっている。そのほか主なスペックは下記の表にまとめた。

コントローラの詳細情報は公表されていないが、Samsungのインハウスコントローラを採用。DRAMレス、HMB対応は初になるハズなので新設計のものだろう。NANDはSamsungのV-NANDで世代は不明だが、メモリタイプはTLC(Samsungの表記では3bit MLC)となっている。

インパクトがあるは価格だろう。1TB版の14,480円前後はスペックから考えるとかなりのお買い得ぶりだ。5年保証でTBWは600TBと耐久性も十分高い。エントリークラスのNVMe SSDでは11,000~12,000円前後の製品も存在するが、ここまでの性能や耐久性を持たないものがほとんどだ。

○Samsung「SSD 980」の実力をベンチマークテスト

さて、さっそくその実力をベンチマークで見てみよう。比較対象として、PCI Express 3.0 x4対応のNVMe SSDとして最速クラスの性能を持っている同社の「SSD 970 EVO Plus」および旧モデルの「SSD 970」も用意した。どちらも500GB版だ。テスト環境は以下の通りだ。

シーケンシャルリードは3,184.16MB/秒、シーケンシャルライトは2,405.28MB/秒とほぼ公称通りの性能を見せた。SSD 970 EVO Plusはシーケンシャルリード3,450.42MB/s、シーケンシャルライト3,249.14MB/秒と最大性能ではSSD 980を上回った。SSD 970 EVOもシーケンシャルリード3,443.42MB/s、シーケンシャルライト2,496.97MB/秒と同様だ。

しかし、実際のアプリケーション処理をシミュレートするPCMark 10のStorageテストではその評価はひっくり返る。SSD 980の「2,330」はかなりのハイスコアだ。SSD 970 EVO PlusとSSD 970 EVOを大きく上回っていることからも、それがよくわかるハズ。DRAMレスながら、実アプリでの使用感という点では、PCI Express 3.0 x4接続のSSDとしてトップクラスと言っていいだろう。この辺りの完成度の高さは後発製品の強みと言える。

SSD 980は、容量の一部をSLCキャッシュとして使い高速化する「Intelligent TurboWrite」を備えている。SamsungのSSDでは、そのキャッシュ容量を固定化された部分と残りの空き容量によって変化する可変部分を組み合わせたケースは多かったが、SSD 980はすべて可変で122GBと大容量が設定されている。これがどう性能に影響するのか、HD Tune ProのFile Benchmarkを用いて、SLCキャッシュが効いている速度とそのキャッシュが切れた時の速度をチェックする。

SSD 970 EVO PlusとSSD 970 EVOはスペック通り、22GB付近でキャッシュが切れてガクッと速度が落ちる。キャッシュ切れ後の速度は、SSD 970 EVO Plusは800MB/秒前後、SSD 970 EVOは600MB/秒前後だ。

SSD 980はスペックは122GBまでSLCキャッシュが割り当てられるハズだが、今回のテストでは95GB付近で速度が落ちた。キャッシュ切れ後の速度は300MB/秒とかなり遅めだ。キャッシュ切れが早く起きて速度が落ちるよりも、キャッシュを長く持たせる作りに切り替えたのだろう。可変などで、空き容量が小さくなるほどSLCキャッシュの容量も減っていくが、100GBクラスのデータを一気に移動させる機会はどれほど多くないハズ。普通に利用で速度低下が起きることは少ないのではないだろうか。

最後に温度をチェックしたい。TxBENCHでシーケンシャルライト(データサイズ32GB)を5分間連続して実行した時の温度とデータ転送速度の推移をHWiNFO64で測定している。パターンは2種類。SSD 980の標準状態、つまりヒートシンクを搭載していない環境と今回のテストで使用しているマザーボード、MSI MPG Z490 GAMING CARBON WIFIのM.2スロットに搭載されてるヒートシンクを装着した状態で測定を実施した。なお、ケースに組み込んでいないバラック状態でテストを行っている。

SSD 980は2つの温度が計測されるが、温度1がNAND、温度2がコントローラとみられる。ヒートシンクのない状態では、コントローラは最大71℃まで上昇するが、サーマルスロットリングによる速度低下は起きなかった。コントローラは放熱効果のあるニッケルコーティングがされており、背面には薄型ヒートスプレッダを採用するなど、細かな熱対策がされているためだろう。なお、ヒートシンクを搭載した状態ではコントローラは最大56℃。マザーボードのヒートシンクがあれば、熱の心配はいらないと言える。

SSD 980は、DRAMレスにより1TB版が1万5千円を切る価格を実現しながら、実アプリのレスポンスでは前世代ではハイエンドクラスの代表だったSSD 970 EVO Plusを上回る性能を発揮した。エントリークラスのNVMe SSDとは言えない性能を持っており、間違いなく注目を集める製品になるだろう。