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簡単にアクセシビリティの問題を解決する「アクセシビリティオーバレイ」のaccessiBeが約29.6億円調達

今すぐウェブサイトのアクセシビリティに対応したくても、大がかりな改修をするだけのリソースがないならば、当面は「アクセシビリティオーバレイ」を使うことでプレッシャーを取り除けるかもしれない。こうしたツールは恒久的な対策にはならないと評する人もいるが、accessiBe(アクセシビー)は自社のアプローチがウェブ全体を誰にでも利用できるものにするための重要な要素だと考えており、2800万ドル(約29億6000万円)の資金調達を行うことでそれを証明した。

これはスモールビジネスがよく直面する問題だ。サイトが最新のアクセシビリティ標準に従って構築されておらず、プロに修正してもらうには大規模な改修が必要になるばかりか、最新の状態を維持し、エラーを修正する作業を継続していく必要がある。こうした作業は非常にコストがかかるため、中小企業はこの投資に必要な資金を用意できないかもしれない。しかし、これは障害のあるサイト訪問者に不快な体験をさせてしまうだけでなく、会社に訴訟のリスクを負わせることにもなる。

エンタープライズレベルでは、アクセシビリティは以前にも増して開発プロセスの一部になりつつあり、Fable(フェーブル)やEvinced(エヴィンスト)などのスタートアップがこうした動向を促進している。しかし、開発予算と家賃や食費を天秤にかけざるを得ない人たち向けに、別のアプローチが必要だろう。

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accessiBeは、アクセシビリティオーバレイと呼ばれる新しく数少ないサービスの1つだ。たった1行のJavaScriptコードを入れるだけでADAに完全に準拠でき、その他の機能も利用できるようになるという。ずいぶんとうまい話に聞こえるが、確かにうまい話であり、同時にそううまい話ではないともいえる。

オーバレイコードは、ウェブサイトのユーザー表示部分のコード全体から、よくあるアクセシビリティの問題を取り除いてくれる。こうした問題には、ラベルのないボタン、キーボード操作で移動できないフィールド、代替テキストが設定されていない画像などがある。accessiBeのシステムには機械学習が含まれており、ターゲットサイトの特徴をトレーニングデータベースと照合している。そのため、うまくコーディングされていない場合でも、コンテキストや明確な意図があれば認識できるのだ。

同社のオーバーレイは、いくつかのウェブサイトのURLに「#showacsb」を追加すると試すことができる。Everlast(エバーラスト)、Tupperware(タッパーウェア)、Playmobil(プレイモビール)などのウェブサイトで実際に運用されている(他にも多数ある)。

オーバーレイを適用して表示されるウェブサイトは、まるでアクセシビリティを考慮して設計されたかのように機能し、障害がある訪問者がサイトの利用を諦めてしまうような、たくさんの基本的な問題が修正されている。その上、コントラストの改善やアニメーションの停止、フォントの変更など、生活の質を向上させる追加機能が豊富に提供されている。このオーバーレイは自動的に有効にすることも、ユーザーが手動で有効にすることもできる。後者の場合はスクリーンリーダーテキストで操作方法を教えてくれる。

accessiBeのエージェントは定期的にサイトをスキャンし、ユーザーの目に入る部分を更新する。ウェブサイトの所有者は月額費用(サイトの規模に応じて約4240円から数万円)を支払ってこのツールを利用する。デモ動画は、このツールが修正する問題をよく表している。

これがなぜアクセシビリティにとって良いものではないと考えられているか疑問に思うかもしれない。しかし、オーバーレイが果たす役割については、ウェブをどのようにアクセシブルにすべきかというテーマで真剣に議論されている。そもそもの基本だが、こうしたツールが意味するところは、1行のコードだけであらゆるウェブサイトをアクセシブルにできるという点だ。これはいくつかの問題につながっている。

まず、accessiBe(そしてやAudioEyeなどの開発者向けのツール)のような自動化プロセスが実際にすべてのアクセシビリティの問題を検出し修正できるのかは疑問の余地がある。最高品位の分析さえ通過してしまったり、自動修正されずに残ってしまったりする問題が数多くある(同社は無料の評価用ツールを提供しているため自分のウェブサイトでどういう問題が検出され、どういう問題が残ってしまうのか知りたい場合に利用できる)。

accessiBeのCEOであるShir Ekerling(シャー・エカーリング)氏によれば、こうした懸念は近年テクノロジーが向上したことで改善されつつあるという。

「accessiBeはすべてのウェブサイトを毎日スキャンして分析しています。サイトの中のどれがインタラクティブな要素か、どこをクリックしてどこにマウスを置くのか、一番長く留まる場所はどこなのか、自動で正確に知ることができます。これを当社が実行する確率論アルゴリズム(サイトのすべての要素を、尋常でない量の人工的なデータを含む10万件以上のウェブサイトの要素と照合する)と組み合わせることで、すべての要素の正確な位置を1つずつ把握し、WCAG 2.1 level AAに準拠したアクセシビリティを備えるように調整できるのです」と同氏は語っている(WCAGのガイドラインはここで閲覧できる)。

また、オーバーレイがユーザーサイドの既存のアクセシビリティ手法と競合してしまうことも懸念されてきた。画像に自動でキャプションを入れたり、何らかの手段でテキストを読み上げたりするブラウザーやアドインを使っている場合などである。しかし、エカーリング氏によれば、そうした場合accessiBeはユーザーサイドのツールを優先しているという。また、これまでオーバーレイの多くとは異なり、モバイル端末のブラウザーでも機能する。

さらに、もっと哲学的な問いがある。アクセシビリティ機能のオンオフを元から切り替えられるようにしていることで、サイトの所有者はある意味、自分のサイトへの「区別されてはいるが平等なアクセス」を維持しているのではないかということだ。これはアクセシビリティの分野では絶対にやってはいけないことだ。レストランが入り口のドアにスロープを設置する代わりに、車椅子の人のために別のダイニングルームを用意するようなものだ。もちろん、accessiBeは別のサイトを作ったりソースコードに恒久的な修正を加えたりしてはいないので、そうした指摘は当然あてはまらない。しかし、元のサイトがアクセシブルに作られておらず、アクセシビリティのレイヤーを重ねているだけだというもの明らかだ。

同社の立場は、オーバーレイがADAへの準拠とWCAGのベストプラクティスに必要なあらゆることを提供しているため、ウェブサイトをアクセシブルにするための完全なソリューションを構成しているというものだ。しかし、それに同意せず、1行のコードで実装できるサードパーティーのサービスがあるからという理由で開発者がアクセシビリティを無視しても構わないと考えるべきではない、と主張する人たちもいる。

また、accessiBeはウィジェットを含むウェブサイトに依存しない、ユーザー向けバージョンにも取り組んでいる。ウィジェットは多くの人にとって非常に便利かもしれないが、必ずしも基本的なレベルでウェブをよりアクセシブルにしているとはいえない。それには多くの当事者と企業による努力が必要となる。最近入社した「最高ビジョナリー責任者」のMichael Hingson(マイケル・ヒングソン)氏は、うまく機能するオーバーレイの利便性を肯定しながらも、この問題を認識している。

同社は2020年、K1 Investment Managementから2800万ドル(約29億6000万円)の資金調達を行った。K1は当初、2020年5月に1200万ドル(約12億6000万円)を投資したが、2020年に大量に顧客が流入した結果accessiBeのARRが3倍に上昇したため、コミットメントを倍以上に増やした。この資金の多くは今後の研究開発に使われる他、障害のある当事者からのコンサルティング費用や、テスト、フィードバック、開発の分野で障害者の雇用を増やすことに使われる。

すべてのウェブサイトはアクセシブルであるべきだという意見には、あらゆる人が同意するだろう。だが、そこに到達するには、長い期間と複雑で費用のかかる道のりが待っている。accessiBeのようなツールは恒久的な対策ではないかもしれないが、明日にでもウェブサイトをもっとアクセシブルにできる。根本的な改修に数カ月、数年かかるような場合でも、ADAのルールに適合していないことを理由として起こる訴訟への潜在的な脆弱性を低減できるのだ。