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小型PCやデータロガー、ゲーム機のデータ保存に活躍した「SRAMカード」:スイートメモリーズ File052

「SRAMカード」は、記録素子としてSRAM(Static Random Access Memory)を使用したカード型メディア。フラッシュメモリーが一般的に使われるようになる以前、主に小型機器のデータ保存用として使われました。

SRAMは揮発性メモリーなのですが、一度記録すると電力供給が失われるまでデータが保持されるため、電池で電力を供給してやることで長時間のデータ保存が可能となります。これを利用した身近な例としては、ファミコンなどのゲーム機カセットに搭載されたバッテリーバックアップでしょうか。これはゲームのセーブデータをSRAMへと書き込み、内蔵電池でデータを保持するというものでした。

ちなみに同じ揮発性メモリーには、PCのメインメモリーなどに使われるDRAMもありますが、こちらはSRAMと違って電力を供給していても短時間しかデータを保持できません。そのため、データを保持するには定期的に書き直す(リフレッシュ)必要があります。DRAMはSRAMよりも安価でしたが、これをデータ保存用に使うにはリフレッシュ機能まで実装しなくてはならず、コストや消費電力が増えてしまうことから、メディア用として使われることはまずありませんでした。

電子手帳やワープロなどの機器ではSRAMやROMを使ったICカードが多数登場し、データの保存やフォント・アプリの追加等で活用されていましたが、これらは基本的に各社が独自に開発、実装していたもの。同じ機器であれば入れ替えて使えましたが、他の機器では使えないのが普通でした。

これを汎用的に使えるようにしようと動いたのが、JEIDA(日本電子工業振興協会)です。米国のPCMCIAと共同で規格化し、PCMCIA1.0/JEIDA4.0として1990年6月にリリースされました。この規格によりメモリーカードがサポートされ、SRAMカード(とリニアフラッシュカードとマスクROMカード)が汎用的に使えるようになったわけです。

蛇足ですがついでに書いておくと、メモリーカードだけでなくI/Oカード(モデムやLANなど)がサポートされるようになったのが1991年9月リリースのPCMCIA2.0/JEIDA4.1から。さらにATA(コンパクトフラッシュなどで採用されています)をサポートしたPCMCIA2.01が1992年11月に登場したほか、1993年7月には仕様の強化と改善が行われたPCMCIA2.1/JEIDA4.2がリリースされています。古くからのノートPC利用者であれば、この「PCMCIA2.1/JEIDA4.2」という表記を見た記憶があるのではないでしょうか。

なお、シンプルに「PCカード」と呼ばれるようになるのは、1995年2月から。規格はRelease 5.0となっており、32bitバスのCardBusや3.3V動作のカードなども追加されました。

だいぶ脱線してしまいましたが、SRAMカードの実物を見ていきましょう。

これはアイ・オー・データ機器の「PCS-512K」というもので、見てわかる通り512KBのSRAMカード。2005年7月まで生産されていましたから、SRAMカードとしてはかなり後期まで販売されていたモデルとなります。

2000年頃にはすでにフラッシュメモリーが広く使われていましたが、書き換え回数に制限がなく高速アクセスできるSRAMは、小規模システム用としてまだ活躍の場があったのでしょう。

バックアップ用の電池はカードの端、挿入方向の逆側から交換可能。製品によってはネジ止めのフタだったりもしますが、万が一電池切れを起こした場合でも電池交換で再び使えるようになるというのはうれしいですね。

ちなみにこのカードでのバックアップ期間は、約4年。普通に使う分には、電池切れを気にする必要はありません。

なお、世の中には電池交換ができないSRAMカードというものもあり、そのひとつがゲーム機のネオジオ用として販売された「NEO-IC8」という製品です。

ネオジオは業務用が1990年、家庭用が1991年の発売ですから、かなり初期のSRAMカードとなります。

容量は2KB。一瞬目を疑いますが、当時のゲームデータ保存であれば、この容量でも十分だったのでしょう。電池交換ができないのでもう使えませんが、ちょっと検索すると分解しての電池交換方法などが紹介されているので、修理は可能です。

ネオジオは専用品だけでなく、一般的なSRAMカードが使えるようなので、無理に電池交換するよりも別のSRAMカードを入手する方が楽ですけどね。

業務用の機器としてよく使われていたのが、デジタルタコグラフ用。

トラックやバス、タクシーなどに搭載される運転記録計、タコグラフのデータ記録用です。データを記録してお終いではなく、このデータを解析することで、安全管理や労務管理に活用できるというメリットがあります。

1MBの容量表記のほか、「7日用」と書かれているあたりが、デジタルタコグラフ用だというのを物語っています。

なお、SRAMカードが使われていたのはかなり昔の話。その後フラッシュメモリーに置き換わり、今ではLTEを使ったリアルタイム送信する機器も登場しています。

SRAMカードは価格の高さもあって、一般よりも業務向け製品での採用が多かった印象が強いです。ノートPCではHDDが内蔵でき、データ交換用にFDDも搭載していましたから、SRAMカードの出番はあまり多くありません。

とはいえ、それは一般的なノートPCの話。1990年代前半に登場し、小型PCとして注目を集めたHP95LXでは物理的なスペースの制約もあり、SRAMカードがメインに使われていました。後継モデルのHP100LX、人気となったHP200LXが登場する頃にはフラッシュメモリーが台頭してきており、SRAMカードよりもATAフラッシュカードが選ばれるようになっていきました。

ちなみにATAフラッシュカードと違い、SRAMカードはWindows 10や多くのカードリーダーではサポートされていません。動作確認したければ、PCカードスロットを持つノートPCにWindows 98やXPあたりをインストールしましょう!