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Wi-Fi 6Eの普及状況はどうなっているのか? Wi-Fi Allianceが現状を説明

Wi-Fi Allianceは3月11日、オンラインで「Wi-Fi 6E and 6 GHz Update」と題したイベントを開催。Wi-Fi 6Eの普及状況と各国の動向について説明を行った。

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そもそもWi-Fi 6Eで追加される6GHz帯は5925MHzのU-NII-5から7125MHzのUNII-8までかなり広帯域であるが、これが利用可能になる国はそう多くない(Photo01)。EU圏はUNII-5のみが可能。これだと320MHz Bandが1つだけ取れる格好である。

さて問題はその対応国。現在対応を検討しているのはPhoto02の17か国、うち実際にWi-Fi 6Eの認可が下りているのは黄色の枠で囲った7か国のみで、残りは引き続き検討中との事。また今年中には他にも検討を開始する国が増える予定、とした。

次いで、現在この6GHz帯を利用している既存の無線との競合回避について。基本的には「既存の無線設備に混入しないようにする(既存の設備で受信できないように配慮する)」というのが原則となる(Photo03)。

これを実現するため、Wi-Fi 6Eでは3種類のクラスを用意した(Photo04)。

具体的には

VLP:最小限の電波出力
LPI:屋内であることを前提にVLPより多少出力を引き上げ
Standard:標準出力。ただしFixed ServiceおよびFSSに干渉しないための仕組みを構築

ということになっている。

このクラス分けで行くと、恐らく屋内用のルータ類(家庭用/業務用問わずは)LPI、クライアントは原則VLPを使う事になりそうな雰囲気である。Standardは、当面は普及しそうにない感じだ。

そのVLP/LPI/Standardに対しての各国の対応状況がこちら(Photo05~07)。

まずVLP(Photo05)に関しては、まだ米国が確定していないものの、EUや韓国、ブラジルは確定である。

アクセスポイントのEIRP(Equivalent Isotropically Radiated Power:等価等方輻射電力)は14dBm~17dBm(25mW~50mW)とかなり抑えめだが、それよりもEIRP Densityが-8dBm/MHz~1dBm/MHz(0.16mW/MHz~1.3mW/MHz)とさらに厳しいのが問題である。屋外利用もあり得るアクセスポイント、およびクライアント(特にスマートフォン)は、現実問題としてはこのVLPを使うしかなく、アクセスポイントとちょっと距離が空くとWi-Fi 6Eでの利用は現実的ではなさそうだ。

もう少しゆるやかな屋内向けのLPI(Photo06)の場合、出力制限は大分緩和されるが、それでも日本に多い三階建てとか鉄筋が入ったマンションなどでは、中継器を置かないと厳しい数値になっている。

そしてStandard(Photo07)であるが、韓国とブラジルはまだ何も決まっておらず、ヨーロッパは個別対応、アメリカは一応認可されているものの、後述するAFCとの連携が必須になるあたりは、業務向けのみという事になりそうな感じだ。

先のPhoto04にも出てきたが、Standard Power Deviceに関しては送信出力角度は(FSSとの干渉を避けるために)30°以内(要するに衛星側のレシーバに干渉しないようにする)、というあたりは機材の設置方法とかにも厳密な規定が必要という話で、業務向けであればこれを守る事は可能だろうが、一般家庭などでこれを守らせるのはなかなか難しいだろう。ちなみにその6GHz帯の法的規制であるが、米国とEUはすでに策定が完了している(Photo08)とする。

次にWi-Fi 6Eに対してのWi-Fi Alliance側の対応について。Wi-Fi Allianceでは、今後急速にWi-Fi 6Eデバイスが増え、2024年には全体の3割程度まで伸びる、とみている(Photo09)。

そのWi-Fi 6E、利用できる周波数帯が大きく増える(Photo10)事もあって性能は大幅に向上するとみられているが、利用する周波数帯において細かく制御が必要になる(Photo11)という訳で、単純に周波数帯が広がったとも言い切れないのは、まぁ仕方がない所。

現在ではチップセットも各社から出て来ており、CES 2021では7製品、現在は12製品のルータがアナウンス済で、これらを搭載するPCやスマートフォンは第1四半期中に登場。TVその他は今年中旬に市場投入の予定とされている(Photo12)。

Wi-Fi AllianceはWi-Fi 6のCertificationのオプションとしてWi-Fi 6EのCertification Programを提供することを今年1月7日に発表しており、このCertification Programのプラットフォームとして、Mediatekのチップセットが採用された事が2021年1月13日に明らかにされている。

もうProgramそのものは始まっており、原稿執筆時点では6GHz Band capableなWi-Fi 6 Certificationを取得した製品は16ほど登録されている。

ところで先ほども書いた、Open AccessなFSのライセンスデータベースに関わるところがAFC(Automated Frequency Coordination)である(Photo13)。

要するにすべてのStandard Power Device(当初はルータだろう)は、AFC Systemにアクセスして自分が利用可能な周波数帯を問い合わせ、これを守る事でFSとの干渉を防ぐ、というものだ。すでにこれについてはSpecificationもリリースされているのだが、これを読む限りはまずStandard Power DeviceはAFC Systemに対して

自分のIDやCertification ID、Rule Set ID
自分の位置(緯度/経度)と地上からの位置
利用したい周波数帯
利用したいチャネル番号

を送り、AFC Systemはこれを受け取ったら自身の持つFS Databaseと照合の上で

利用可能な周波数帯と、その際のEIRPの最大値
利用可能なチャネル

を送り返すので、Standard Power Deviceはこの返答に沿った形で周波数とEIRPを設定して稼働する形になる。

問題はこのAFC Systemを誰がどのように運用してゆくかが現時点では不明なことで、このあたりは今後Standard Power Deviceが登場する際に議論が行われると思われる。

なおWi-Fi 6Eのトライアルは、WBA(Wireless Broadband Alliance)と共同で行われたそうで、概ねテスト結果は良好だったという話と、WBAが現在OpenRoamingというグローバルのWi-Fi Roamingシステムを構築中であり、これに関する説明も行われた。