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登場直後に撤退発表をくらった「HD DVD-RW」:スイートメモリーズ File054

「HD DVD-RW」は、DVDフォーラムによって策定された書き換え可能なHD DVDメディア。主にセルビデオ向けとなる読み取り専用のHD DVD-ROM、1度だけ書き込み可能な追記型のHD DVD-Rに続く、3つ目のHD DVDメディアとして発売されました。規格としての容量は片面1層で15GB、片面2層で30GBとなり、HD DVD-Rと同じ容量を実現しています。

記録方式は、過熱・冷却方法で結晶構造を組み換え、反射率を変化させる相変化記録を採用。記録密度は大幅に変更されていますが、基本的な技術はDVD-RWと似たものとなっています。また、HD DVD-Rと同じグルーブ記録(アクセス時のガイドとなる溝の部分にデータを記録する方式)を採用しているので、再生互換性が高いというメリットもありました。

実は、書き換え可能なHD DVDは2つの規格があります。このHD DVD-RWは後から追加された規格で、以前は「HD DVD-ReRecordable」と呼ばれていました。これに対し、先に考えられていたのが「HD DVD-RAM」。「HD DVD-ReWritable」の名前で開発されていたもので、ランドアンドグルーブ記録(溝となるグルーブだけでなく、山側のランドにもデータを記録する方式)に対応するというのが大きな違いです。これにより、片面1層で20GBが実現でき、ライバルのBDに容量面で一歩近づくことができました。

さらに、ディスクの欠陥部分を自動で代替処理する仕組みがハードウェアで用意されているため、データの信頼性が高いというのも特徴といえるでしょう。ただし、大きく記録方法が変わるため、HD DVD-ROM/R/RW対応ドライブでは、書き込みだけでなく読み取りもできません。

気づいた人もいるかと思いますが、これはつまり、HD DVD版のDVD-RAMですね。ちなみに1層でのデータ容量は大きくできたものの2層化が難しく、結局、製品化されることはありませんでした。

さて、話をHD DVD-RWへと戻しましょう。メディアの発売は、日立マクセルが2006年秋以降と発表していましたが、そもそもHD DVD-RWの規格策定が2007年2月まで遅れたことから予定が延期に。また、書き換え可能な対応ドライブが2007年6月にようやくサンプル出荷となったものの、搭載製品はなかなか登場せず、ようやくHD DVD-RWが使える機器としてノートPCが登場したのが、2007年12月となってしまいました。

この間、日立マクセルからHD DVD-RWメディアが発売された形跡は見あたらなかったので、どうやら最初のHD DVD-RWメディアはお蔵入りになってしまった可能性が高いですね……。

これに代わって登場したのが、台湾RiTEK社の製品となる「録画用HD DVD-RW(AACS対応)」で、HD DVD-RW対応ノートPCの発売とほぼ同時に登場しました。

レーベル面にAACS対応や75分などと表記されていることから分かる通り、データ用ではなく録画用です。録画用といっても普通にデータも書き込めますから、利用上はあまり気にする必要ありません。

よく見ると「Re-recordable」と書かれているあたり、HD DVD-RAMと違うというのが強調されている……のでしょうか。気のせいだとは思いますが。

記録面は青みがかったグレーで、DVD-RWやCD-RWなど、従来の相変化記録メディアと大きく変わりません。記録面を見せられてもちょっと青いなと思うくらいで、HD DVD-RWだとまず気づかないでしょう。金ピカだったHD DVD-Rとはかなり違います。

できれば複数のHD DVD-RWを入手して比較したかったのですが、実際に販売されていた形跡があるのは、このRiTEKの録画用メディアだけ。前述の通り、日立マクセルの世界初の製品はお蔵入りになったのか、見つけることができませんでした。

一応、2008年2月に日立マクセルが2倍速対応したメディアを発表していたのですが、直後に東芝がHD DVD撤退を発表したことを受け、発売中止となってしまいました。ようやく対応ドライブを搭載したPCが登場し、これからといった時期だったのですが……。

なお、HD DVD-RW対応レコーダーが登場することはありませんでした。そのため、HD DVD-RW対応ドライブを搭載した機器は、ノートPCのみ。具体的には、東芝の「Qosmio G40」(G40/97E、G40/98Eの2モデル)と「Qosmio F40」(F40/88EBL)の2機種3モデルだけです。

メディアの入手が困難、かつ、使える機器がノートPCしかないという状況だったからでしょうか。入手したHD DVD-RWメディアは非売品で、「東芝ノートPC 御成約記念品」というパッケージになっていました。

ちなみに、G40/97EとF40/88EBLの発売は2007年12月で、G40/98Eは2008年1月です。HD DVDの撤退発表が2008年2月で、プレーヤー/レコーダー事業からの撤退が3月ですから、HD DVD-RWが現役であった時期は、長く見積もっても3ヶ月ほどしかありませんでした。

ただし日本の大企業さんらしく、入手困難となってしまったHD DVD-RWメディアは責任もって販売を続けてくれました。販売終了は2009年5月なので、1年ちょっとですね。短いようにも感じますが、現役期間と比べれば5倍近くと大変長いです。なお、2層化された30GB HD DVD-RWは、結局登場することなく終わりました。