昨今のスマートフォンではハイレゾオーディオを再生できるモデルが増えてきました。こうしたモデルではハイレゾストリーミング配信を利用すれば特別な準備なしですぐにハイレゾオーディオを楽しめます。
ハイレゾオーディオとはCD音質以上の高音質オーディオで、CDではカットされていた領域の音が含まれていたり、CDよりも分解能が高かったりするデータのことです。当然データ量は多くなりますが、5G通信も始まった現代ではさほど大きな問題ではなくなりつつあります。
こうしたハイレゾオーディオは、前述した対応スマートフォンもしくは対応アプリケーションを使うことで再生できますが、スマートフォン内部のオーディオ回路ではその音質をフルに表現できているとは言い難いものです。
ソニーのWALKMAN(ウォークマン)を筆頭に、ハイレゾオーディオを楽しむ専用機は国内外に多く存在しますが、どれもそこそこ高額で特に高い物だと数十万円もします。こういった専用機とスマートフォンとの違いの多くは、内部のデジタル信号の変換部(DAC:Digital to Analog Converter)とアナログパワーアンプ。ハイレゾオーディオのデジタルデータをアナログ信号に変換するDACの性能で音色(音質)が決まり、さらにそのアナログ信号をヘッドホンやイヤホンで再生するために増幅するアンプの性能で主に音の表現力が決まります。
専用機ではDACやアンプ、周辺の電子部品を厳選して妥協せずに使うため高額になりがちです。
▲スマートフォン内部のオーディオデータはデジタルデータ。それを人が聴くにはDACでデジタル信号からアナログ信号に変換する必要があります。さらに十分な音量で再生するためにパワーアンプが必要に。スマートフォンの多くはDAC内部に用意されたパワーアンプを利用しています
さて、今回レビューするAstell&Kern「PEE51 AK USB-C Dual DAC Amplifier Cable」(以下、PEE51)は、スマートフォンで専用機並みの音質を楽しめるようにする製品。高級ハイレゾオーディオ専用機で知られた同ブランドから発売された、USB Type-Cポートに接続するタイプのDACとヘッドホンアンプを一体にしたアダプターです。
▲高級オーディオブランドらしいシックなパッケージに入っています。価格は1万4980円(税込)
▲本体のサイズは幅17×長さ50×厚さ10.3(mm)。アダプター本体とUSB Type-Cのプラグそれぞれには、同社の製品デザインに共通する光と影を表現する立体的な造形が施されています。材質は亜鉛合金製で放熱にも役立っていそうです
PEE51をスマートフォンやタブレットに接続すると、内部のデジタル変換部とパワーアンプ部がPEE51に置き換えられることになります。ですので、すぐにハイエンドオーディオに近い仕様へアップグレードできてしまいます。また、イヤホンジャックを搭載しない最近のスマートフォンでも、PEE51をイヤホンアダプターとして使えるわけです。
スマートフォンによってはイヤホンアダプターが付属していてDACが内蔵されているタイプの物もありますが、PEE51と基本機能は同じと言えるものの、オーディオ性能は似て非なるものです。
2021-05-09 19:28:15