アップル社内で5Gモデムチップを開発中との噂は何度か伝えられてきましたが、2023年のiPhoneに搭載される可能性があるとのアナリスト予測が報じられています。
アップルの未発表製品に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏は、最新研究ノートのなかで「早ければ」2023年のiPhoneに独自開発の5Gモデムが搭載されると予想しています。同じような見通しは英投資銀行Barclaysも提示していたことがあります。
最新のiPhone 12シリーズはSoCとしてアップル独自設計のA14 Bionicを採用しているものの、モデムチップは依然としてクアルコム製です。これまでアップル製品では多くのチップが独自設計品に置き換えられてきましたが、モデムチップのみは他社から供給を受けざるを得ませんでした。
アップルが5Gモデムを独自開発している噂は、2018年末にまで遡ります。当時はインテル製モデムチップを採用していたものの品質に不満があり、翌年にはそちらに見切りを付けて自社開発が本格化。その一方でクアルコムと電撃的に和解して6年間の半導体供給契約を結びながらも、インテルからスマホ向け通信モデム事業の大半を買収して独自モデム開発を急いでいると見られていました。
さらに2020年末の社内会議で、従業員らに初の5Gモデム開発を始めたと通達したとの報道もあり。チップメーカーのQorvoとブロードコムといった関係サプライヤーの名前が挙がっていたこともあり、いよいよ量産体制作りに向けて動き出したのかもしれません。
アップルがクアルコム製から独自開発の5Gモデムに移行するメリットは、いくつか考えられます。まずiPhoneに搭載されたAシリーズチップとより深く統合され、省電力性能が改善されながら高いパフォーマンスが実現できるかもしれないこと。またiPhoneを1台売るごとにクアルコムにライセンス料などを支払う必要がなくなるため、コストが削減されて利益率の向上も期待できます。
それらがユーザーにとっては、最新iPhoneのバッテリー持ちが良くなり、値下げとして反映されることを期待したいところです。