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持ち物追跡タグでストーカー被害に遭ったらどうする?使わない人も知っておきたい、自衛のためのApple「AirTag」の基礎知識

Appleから登場した、持ち物追跡タグ「AirTag」。バッグや鍵などに取り付けることで、iPhone/iPadなどから置き場所を特定できるようにするこの製品、しょっちゅう持ち物を紛失する人にとっては神のようなツールとあって、iPhoneユーザの中には数個単位でまとめ買いをしている人も多いようです。

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もっとも、iPhoneひとつあればその「居場所」が簡単に特定できてしまうことから、セキュリティの問題はどうしてもつきまといます。Appleは対策済みであると説明していますが、身に覚えのないAirTagが、いつの間にか自分の荷物の中に紛れ込んでいたらどういうことが起こりうるのでしょうか。知らないうちに自宅や職場の場所が発信されてしまう危険はないのでしょうか。そうした基本的な知識は、AirTagを使わない人であっても、ある程度知っておいたほうがよいはずです。

今回はそうした、AirTagを使うつもりがないユーザであっても自衛のために知っておきたい、AirTagの基礎知識をまとめてみました。なお以下は2021年5月9日時点でのAirTagの挙動について、最新のiOS 14.5を用いて筆者が行った実験の結果と、既知の情報とをまとめたもので、将来的に挙動が変わる可能性があります。

そもそも「AirTag」って何?

「AirTag」は、身の回りの持ち物に取り付け、iPhoneから置き場所を探せるようにするツールです。サイズは500円玉よりもわずかに大きく、厚みは500円玉およそ4枚分で、一般的なボタン電池であるCR2032電池を内蔵し、約1年ほどは電池交換なしで使えます。

iPhoneを使ってAirTagの初期登録を行うと、同じApple IDにひもづいたiPhoneを使って位置を探せるようになります。こうした紛失防止タグ(スマートトラッカー)と呼ばれる製品は、他社からも多数発売されており形状も豊富ですが、現時点でAirTagは、裏面に林檎マークがデザインされた丸型のモデル1種類のみをラインナップしています。

位置情報はどのようにして発信される?

AirTagは自前で通信機能を持っているわけではなく、近くにあるiPhoneを使って位置情報を不定期にクラウドに送信します。リアルタイムで位置情報を発信するGPS内蔵の発信機と違い、iPhoneのBluetooth通信を使うため、iPhoneが近くに1台もなければ位置情報は発信されません。またiPhone以外のデバイス、例えばAndroidやWindowsノートを経由し、位置情報が発信されることもありません。

ちなみに距離がある程度近づくと、所有者のiPhoneと直接通信して位置を探せるようになり、具体的な距離や方角を表示できるほか、iPhoneから音を鳴らして所在を知ることもできるようになります。

街中に落ちていたAirTagを拾った。どうすればいい?

自分のものでないAirTagを拾得した場合、状況によっていくつかの対処方法が考えられます。まず、誰が拾うか分からない場所、例えば駅や人通りの多い往来などで、落ちていたAirTagをたまたま拾った場合は、純粋な落とし物の可能性が高いため、拾得物として届け出るのが無難です。

なおAirTagにスマホをかざせば、所有者が書き込んだ連絡先などの情報を表示できますが、悪意を持ったユーザがこの仕組みを使い、善意のユーザにコンタクトを図ろうとするケースが出てくることも、将来的には考えられます。拾得物の届出先を記載の連絡先に知らせる場合も、捨てアドや、相手に番号が伝わらない公衆電話などで行うのが無難です。

バッグの中に知らないAirTagが紛れ込んでいた。どうすればいい?

自分のバッグの中に覚えのないAirTagが紛れ込んでいた場合、これは悪意を持った第三者が、自宅などを特定する目的で荷物の中に仕掛けた可能性があり、非常に危険です。位置情報を発信済みかどうかは確認しようがありませんが、現在地に到着するまでのどこかでiPhoneとすれ違い、位置情報を発信した可能性があると考えて対処したほうがよいでしょう。

ここで焦って電池を取り出して無効化すると、それ以降は位置情報が発信されることはなくなりますが、これだと最終発信地点の付近に、本人の生活拠点、つまり自宅があると知らせているようなものです。公式な対処手順は存在しませんが、電池を抜かずに往来の多い場所、例えば駅などに移動して別の位置情報を発信させ、その上で電池を抜くなり、警察に届け出るなりしたほうが、リスクを減らせるはずです。

自分のiPhoneに「あなたが所持中のAirTagが見つかりました」というメッセージが出た!これは何?

このメッセージは、別のユーザが初期設定を行ったAirTagが、いま身の回りのどこかに存在していることを警告するものです。持ち物に取り付けて使うAirTagが単体で、しかも見えないように隠されているとなれば、前述のように悪意を持った第三者が、自宅などを特定するために故意に紛れ込ませた可能性は十分に考えられます。

この場合、iPhoneにこのメッセージが表示された時点で、位置情報が発信されてしまっている恐れがあります。画面の指示に従って音を鳴らすなどして身の回りに隠されたAirTagを探し、見つかったあとは前述のトピックを参考に、対処することをおすすめします。

ちなみに試した限り、このメッセージが表示されるのは、AirTagが所有者のiPhoneとは離れ離れになった状態で、かつ別のユーザが所有するiPhoneとしばらく共に移動したのち、移動をやめたタイミングであることが多いようです。詳細なロジックは不明ですが、結果的に自宅の位置情報を発信している可能性が高く、このメッセージが出た時点で少々「ヤバい」と考えて、落ち着いて対応していくべきでしょう。

拾ったAirTagの音が鳴っている。どうすれば?

単純に音を止めるだけであれば、裏面、つまり林檎のロゴがあるメタリックな面を押し込みながら回転させることで、電池を取り出して音を止めることができます。所有者でないユーザがAirTagの音を止めるには、物理的に破壊することを除けば、現時点でこれしか方法はありません。

ただし前述のように、信号の最終発信地点が自宅だった場合、むしろこのことによって所有者に自宅の所在地が知られる可能性があり、やみくもに電池を抜くのは考えものです。自宅とは無関係で、かつ誰かのiPhoneを通じて位置情報を上書きできそうな人通りの多い場所、例えば駅などに移動してから電池を抜いたほうが、リスクは低くなると考えられます。

ちなみにAirTagは、所有者の手元を離れて3日ほど経過すると自動的に音を鳴らす機能がありますので、誰もいない場所に放置されているAirTagの音が鳴っている場合は、この機能が理由である場合もあります。音がリモートで鳴らされているのか、それとも3日経過したことで自動的に鳴っているのかは、それだけではなんとも判断できません。

ちなみに…拾ったAirTagを初期化して自分のものにできる?

拾ったAirTagはあくまで拾得物ですので、手に入れたからと言って自分のものとして扱うのはその時点で横領に当たりますが、ここではひとまず「初期化して自分のApple IDをつけ、自分の所有物であるかのように使えるか」という意味で話を進めます。

結論から言うと、AirTagは設定を行ったApple IDとひもづいて管理されますので、ほかのユーザのApple IDを使っての初期化や再設定は行えません。本体を分解して音を止めた場合も、設定情報は失われることはないため、個人的に再利用したり、転売するのは不可能です。街中でAirTagを拾ったら、すみやかに届け出ましょう。

結論:使うぶんには便利だが使われるぶんには怖い?

以上のように、持ち物に取り付けておくことで1年間は電池交換なしで使え、また既存の持ち物追跡タグのように、大量に通知を送ってくるなどのお節介さもないなど、縁の下の力持ちとして大変便利なツールです。なによりiPhoneの標準機能として利用できますので、アプリを新規インストールするなどの手間もなく、めんどうな設定も不要とあって、iPhoneユーザなら試さない手はありません。

その一方、性善説をもとに作られたデバイスであり、悪意を持って使われた場合、少々危険なツールであることも否定できません。不審なAirTagが近くにあれば検出できると言っても、そのためにはiPhoneを所有していなくてはならず、Androidユーザであれば、3日経過して音が鳴るまでは、まったく気付かないこともあるでしょう。音も決して大きくないため、例えば車や自転車に取り付けられた場合、往来の騒音によって聞こえない可能性も大です。

今後、ユーザの利用実態を反映させる形で、挙動に調整が加えられることも予想されますが(例えば、iPhoneに登録されている「自宅」や「職場」の範囲では、不審なAirTagに位置情報を送信しないなどの配慮は欲しいところです)、発売直後である現時点では「使うぶんには便利だけれども、使われるぶんにはちょっと怖いツール」、そうした表現がぴったりと言えそうです。