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Moonlight計画が進行中! ESAの月衛星コンステレーション構想とは?

最近、月に関する話題がホットだ。NASAを主導とするアルテミス計画はもちろんのこと、先日、Firefly Aerospaceが自社のBlueGhost月面着陸ランダーのローンチ契約をSpace Xと結んだニュースや前澤友作氏のSpace XのStarshipでの月周回旅行の話題など、月に関するニュースが豊富だ。

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今回はもうひとつ、月に関するニュースを紹介したい。欧州宇宙機関(ESA)のMoonlight計画だ。

このMoonlight計画とはどんな計画なのか、2021年5月20日に発表された月衛星コンステレーション構想とはどのようなものなのか、そんな内容について紹介したいと思う。
ESAが進めるMoonlight計画とは?

ESAのMoonlight計画をご存知だろうか。

Moonlight計画はさまざまな月に関する計画とリンクする。

まず、NASAが主導するアルテミス計画から話をスタートしたい。アルテミス計画は、2024年までに月面に人を送ることを計画している。アポロ計画以来の大プロジェクトだ。

そして、アルテミス計画と関連して月の周回軌道に「Gateway」という居住モジュールの建設も予定されていて、ESAが担当するシステムも多い。

このように月のインフラの整備が計画される中で、ESAはさまざまな準備をしている。月でのさまざまなミッションにおいて、必要となる通信インフラやナビゲーションインフラ、その通信、ナビゲーションの整備計画がMoonlight計画だ。

実はこの計画は以前からスタートしていた。ESAは、過去数年にわたってこのMoonlight計画について民間企業とともに技術面、ビジネス面の双方で、フィージビリティスタディ(実現可能性調査)を実施してきたという。
こんなにある!? ESAの月プロジェクト

Moonlight計画を掘り下げる前に、他のプロジェクトを紹介しておきたい。

Moonlight計画と関連して、ESAではさまざまな月のプロジェクトが始動している。例えば「European Large Logistics Lander」、通称「EL3」というプログラム。

これはアルテミス計画の宇宙飛行士への物資輸送、スタンドアローンのロボット技術実証、月面帰還ミッションなどさまざまな無人ミッションを計画しているものだ。

最大で1.7トンの物資を輸送することができるという大型物流ランダーの設計を行うAirbusが、プライムとして選定されている。

また、月の周回軌道で新しいGNSS受信機をテストするLunarPathfinderと呼ばれるミッションがすでに進行している。Surrey Satellite Technology Ltd(SSTL)によって進められていて、この衛星は2024年に打ち上げられる予定だ。

これらのESAの月のプロジェクトは、Moonlight計画と無関係ではない。

では今回、どんな企業が選定され、どのようなことが可能となるのか、次で紹介したい。
ESAが、SSTLとTelespazioを選定! 月衛星は3機、4機?

ESAは、Moonlight計画について、Surrey Satellite Technology Ltd(SSTL)とTelespazioをフェーズA/B1契約企業に選定したと2021年5月20日に発表した。

フェーズA/B1契約は、衛星コンステーションに関する技術面とサービス面の設計に関する調査を実施するという契約のようだ。

SSTLとTelespazioの2社は単独ではなくそれぞれコンソーシアムとして選定されている。

SSTLのコンソーシアムには、Airbus、SES、KSATとGoonhilly Earth Station、GMV-NSLで構成されている。

Telespazioのコンソーシアムは、Inmarsat、Hispasat、Thales Alenia Space、OHB-System、MDAなどや大学が含まれている。

さて、話を元に戻そう。月においてさまざまなインフラを整備する際に、通信やナビゲーションインフラは必要だ。それがMoonlight計画発端の話だ。

実は、月へと月面ランダーなどを着陸させる航法技術だが、現在は500~5,000mの位置精度で着陸しているという。着陸したい場所に対してこの精度では、今後の月の整備計画を進めるのは正直辛い。

地球では、すでにナビゲーションシステムである測位衛星システムが整備されている。
有名なのはGPSだろう。

測位衛星として、欧州のGalileo、ロシアのGlonass、インドのIRNSS、中国の北斗、日本のQZSSの衛星が打ち上げられており、さまざまな測位技術により数cmの精度を出すことも可能だ。

もし、月に同様のナビゲーションシステムがない場合は、月面着陸ランダーの位置を追跡し決定するためには、地球に大型のアンテナと通信ネットワークが必要になる。しかし、この方法では、通信速度、ディレイ、コスト面に課題がある。

ただ、衛星コンステレーションによって3機~4機の衛星を月の周回軌道に投入できたとすると、月面着陸ランダーには、測位関連の受信機と高度計をつけるだけ確実な場所への着陸が可能となり、設計もシンプルになりコストも削減できるのだ。また、着陸に際し、30mの精度を達成できる可能性もあるという。

いかがだっただろうか。アポロ計画以来、人類が大きく月へと向かって動き出していることがご理解いただけたと思う。このESAのMoonlight計画を含め、各国の月への動向に注目したい。

齊田興哉 さいだともや 2004年東北大学大学院工学研究科を修了、工学博士。同年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に入社し、2機の人工衛星プロジェクトチームに配属。2012年日本総合研究所に入社。官公庁、企業向けの宇宙ビジネスのコンサルティングに従事。現在は、コンサルティングと情報発信に注力。書籍に「宇宙ビジネス第三の波」、「図解入門業界研究 最新宇宙ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本」など。テレビ、新聞、Webサイト、セミナー・講演も多数。 この著者の記事一覧はこちら