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Mini-ITXマザーを使ってコンパクトなカジュアルゲーミングPCを自作

写真や動画編集、音楽・イラスト・CG作成といったクリエイティブ用途はもちろん、最新の3Dゲームが快適に遊べる環境が欲しいのであれば、高いCPU性能とグラフィック性能が手に入るデスクトップPCが最適だ。しかし一般的には、多少性能が見劣りしても気軽に移動して使え、設置場所にも困らないノートPCの方が人気がある。

しかし、デスクトップPCは性能面以外でも、ノートPCにない魅力がある。その一つが、「PCを自作できる」というものだ。自作PCの最大のメリットは、自分好みのスペックで、自分好みの外観のパソコンが手に入ること。既製PCを買う場合、こっちのモデルはメモリーが足りない……あっちのモデルはCPUが……といったように、なかなか自分の理想にピッタリな1台が見つからないものだ。

BTOパソコンなら細かなスペックの変更にも対応できるが、ケースなどの外観が自分の好みと合うかは別問題。また、パーツのメーカーまでこだわった指定ができないことも多く、理想のスペックになっても理想の1台とはならないのが悩みどころだった。その点自作PCなら、すべてのパーツを自分で選べるのがメリット。CPUはもちろん、ファンやケーブル、ネジ1本に至るまで、こだわろうと思えばトコトン追求できるのだ。

もちろん、既製PCでメモリーが足りないくらいの話なら、わざわざ自作PCでなくとも、自分でメモリーを増設すればいいじゃないかと考えるのはもっともだ。しかし、よく考えてみて欲しい。この「自分で増設」という部分が、すでに自作PCへと一歩踏み込んでいるのと同じなのだ。自作PCはこの対象がメモリーだけでなく、PCを構成するパーツすべてに広がっただけに過ぎない。

詭弁のようになってしまっているが、実はコレが重要な部分。最初から理想の構成にできなくとも、CPUの換装、SSDやHDDといったストレージの追加、ビデオカードの増設といったように、後からPCをアップグレードできるという意味でもある。

ノートPCだと購入後に性能をアップさせるのは難しいが、自作PCならパーツを交換するだけで強化可能。低コストで性能を上げていけるため、長く使えるPCとなるわけだ。

自作PCというと難しく聞こえてしまうが、やっていることはパーツを組み合わせるだけなので、作業そのものはそこまで難しくない。もちろん、AMDのRyzen用マザーボードではインテルのCPUは動かないなど注意すべき部分はあるが、動く組み合わせを守りさえすれば、まず失敗することはない。そこでこの記事では、自作PCに不慣れな人でも作れるPCを目指していこう。

どんなPCが欲しいのか、最初に明確にしておく

自作PCで大切なのは、欲しいスペックや使いたいパーツを先に考え、譲れる部分と譲れない部分を明確にしておくこと。具体的なイメージがあると考えやすいので、今回は「コンパクトなカジュアルゲーミングPC」としてみよう。

ポイントの1つ目は、ゲームができる性能を確保することだ。現在はビデオカードが品薄で価格が高騰しており、買うのに適切な時期ではない。そのため、CPUには軽量ゲームなら十分遊べるだけのグラフィック機能を内蔵しているRyzen 7 PRO 4750Gをセレクト。8コア/16スレッドとなるため当然ながらCPU性能も文句なしに高く、多くの用途で利用できる。

悩むとすれば、同じくグラフィック機能を内蔵したRyzen 5 PRO 4650Gだろうか。こちらは6コア/12スレッドとなるためCPU性能が若干低下し、さらにグラフィック性能もやや劣る。ただし価格は1万4000円ほど安くなるので、コスパを重視したい場合はこちらを選ぶといいだろう。

コスパ重視なら「Ryzen 5 PRO 4650G」を選ぶのもアリ。このCPUは外箱がないバルク品で販売されている。また、CPUクーラーが別途必要となる

マザーボードはコンパクトなMini-ITX一択

CPUが選べたら、キモとなるマザーボードを選んでいこう。マザーボードのサイズやインターフェース部のレイアウトなどは規格化されており、フォームファクターと呼ばれる。このフォームファクターは大きいものから順に「ATX」、「micro ATX」、「Mini-ITX」の3種類が主流となっている。

ミドルタワー以上の大型PCでよく使われるのが、ATX。拡張スロット数が多く、多くのボードを取り付けて使いたい場合に活躍してくれる。とくにハイエンドPC向けの製品が充実している。

ミニタワーPCでよく使われているのがmicro ATX。ATXほどではないが、3本前後の拡張スロットを持ち、小型化と拡張性の高さが両立できるのが魅力となっている。安価なモデルや高機能モデルが用意されることも多く、製品の種類が多い。

Mini-ITXは拡張スロットは1本しかなく、さらにメモリースロットも少ないため、拡張性は見劣りしてしまう。その代わり、約170mm角と非常にコンパクトになっており、小型PCを自作するには最適だ。

今回のように「コンパクトなカジュアルゲーミングPC」を目指すのであれば、このMini-ITXのマザーボードを選択しよう。

フォームファクターが決まれば、実際の製品選びなのだが、その前にもう一つ決めておきたいことがある。それが、搭載するチップセットを何にするかだ。CPUがAMDのRyzenとなるのでAMDのチップセットなのは確実だが、かなりの種類がある。

チップセットの役割は、CPUと他のデバイスとを接続するための機能ハブとなる事。利用できるPCIeの世代やレーン数、USBやSATAの数などの機能面はもちろん、サポートするCPUも変わってくるだけに、慎重に選びたい。

今から買うのであれば、PCIe 4.0をサポートするX570、もしくはB550を搭載するものがオススメ。Ryzen 7 PRO 4750GはPCIe 4.0をサポートしていないが、将来、CPUを換装した場合に使えるようになるため、そこを見越しての選択だ。

X570はハイエンドPC向けとなるため価格が高くなること、そしてMini-ITXでは搭載製品が少ないことを考えると、B550搭載のマザーボードを選ぶのがベターとなる。

GIGABYTEの「B550I AORUS PRO AX」は、そんなマザーボードの一つ。コンパクトでもこだわりが高く、高性能CPUを安定動作できる8フェーズ電源回路、基板の裏表で2つのM.2 SSDが搭載可能、2.5GbEやWi-Fi 6の高速通信、ハイレゾオーディオ対応など、機能が充実しているのが魅力だ。

「B550I AORUS PRO AX」はMini-ITXという小さいフォームファクターながら、充実した機能と徹底された放熱設計が魅力のマザーボードだ

電源回路やチップセット、SSDには大きなヒートシンクを装備。高負荷動作時でも熱に負けず、安定して性能が出せるよう設計されている

裏面にもM.2 SSDを搭載できる工夫が。小型PCではストレージの装着場所で悩むことも多いだけに、これはうれしいポイントだ

インターフェースも充実し、USB3.2 Gen2対応のType-A/Type-Cを装備。さらに通信機能も優れ、2.5Gbpsの有線LAN、最大2.4GbpsのWi-Fi 6も標準装備している

自作PCの醍醐味!? 個人の好みが大きく出るケースを選ぶ

CPUとマザーボードが決まれば、次はケースだ。ケースは個人によって好みが変わるだけに、アドバイスできることはただ一つ。「好きなものを選べ」だ。

ただし、将来の拡張をどうするかは考えておこう。SATA接続のSSDやHDD、ビデオカードを含む拡張ボードなどを使いたいなら、ベイや拡張スロットのあるケースが必要となる。

CPU内蔵のグラフィック機能を使い、SSDはM.2で十分だと割り切れば、サイズを優先したケース選びもアリだ。

In WinのMini-ITX用ケース「B1」。ACアダプターではなく、200Wの電源内蔵というのがうれしい。縦置きにもできるため、机の上に置いても場所を取らないので便利

今回は「コンパクトなカジュアルゲーミングPC」を目的としていること、将来ビデオカードを増設することも視野に入れておきたいので、拡張スロットのあるケースの方がいいだろう。

コンパクトで拡張性があり、それでいて見た目にインパクトのあるケースを探していたところ、見つけたのがPHANTEKSの「EVOLV SHIFT 2 AIR」だ。Mini-ITX用としてはサイズは大きめだが、おもしろいのがその大きくなった方向。通常であれば奥行きが長くなるのだが、このケースは縦に長い。それもそのはず、マザーボードを90度回転し、通常背面にくるバックパネルが天板方向へと来るようになっているからだ。「EVOLV SHIFT 2 AIR」の姿を見るとものすごく大きなケースと錯覚してしまうが、奥行きは274mmしかなく、かなりコンパクト

また、この長さは拡張スロット部のサイズにも影響しており、小さいながらも2.9スロットのハイエンドビデオカードにも対応。さらに120mmのラジエーターを採用した水冷クーラーも内蔵できるというから驚きだ。

ビデオカードはそのまま挿せないので、延長して横向きに装着する。ちょうどファンが外側を向くようになるため、冷却面でも有利だ

Mini-ITX用ケースの共通した悩みは、小型ケースであるがゆえに内部が狭く、組み立ての難易度が高くなることだ。「EVOLV SHIFT 2 AIR」も例外ではないが、少しでも組み立てやすくなるよう、前後左右のパネルがすべて外せて、内部へアクセスしやすいよう工夫されているのがうれしい。

小型ケースはとくに配線で苦労することが多いが、パネルが4面とも外せるため、内部をいじりやすい

ケースと同時に決めておきたいのが電源ユニットだ。In Win「B1」のように電源内蔵ケースであれば悩まなくて済むが、ない場合は別途購入する必要がある。

この時注意するのは、内蔵できる電源ユニットにも規格があること。「EVOLV SHIFT 2 AIR」は通常のATX電源は装着できず、コンパクトなSFX、もしくはSFX-Lという規格の電源ユニットとなるので、この規格に合う製品を選ぶようにしよう。

悩みがちな電源容量だが、CPU単体で使うのであれば300W以上、ビデオカードも使うのであれば550W以上というのを一つの目安にしておくとわかりやすい。もちろんこれ以下の電源容量でも動作する可能性は高いのだが、余裕がある方が安定動作につながる。なお、容量の大きな電源ユニットを搭載しても、実際の消費電力はほとんど変わらないので安心してほしい。
今回はCooler Masterの「V650 SFX GOLD」を選択。コンパクトなSFX電源でありながら、650Wと大きめの容量がうれしい

もう一つ、ケースに大きく左右されるパーツがCPUクーラーだ。Mini-ITXでは電源ユニットと同じようにサイズによる制限があり、空冷の大型CPUクーラーは搭載できないことが多い。ケースの詳細として、搭載できるCPUクーラーのサイズ(高さの制限)が書かれていることが多いので、まずはここをチェックしておこう。

実例を出すと、In Winの「B1」では60mmまで、今回選んだ「EVOLV SHIFT 2 AIR」では85mmまでという高さ制限があった。CPUクーラーがどのくらい冷却できるかによってCPU性能が変わることも多いだけに、慎重に選んでおきたいところだ。

薄型CPUクーラーとしては高めの冷却性能、そしてその静音性で多くの自作マニアから人気があるのがNoctuaの「NH-L9a-AM4」だ。わずか37mmしかないのでほとんどのケースに装着できるのがメリットとなる。

小型PCでよく採用されている「NH-L9a-AM4」。大型のCPUクーラーには敵わないとはいえ、37mmという薄さながらかなり冷やせる

さらに必要な主要パーツ、SSD、メモリーなどを選ぼう

CPU、マザーボード、ケース、電源、CPUクーラーまで決まれば、後は好みのスペックに合わせてSSDやメモリーなどを選んでいくだけだ。

SSDはM.2と2.5インチなどの形状があるが、コンパクトなPCでのオススメは断然M.2。ベイもケーブルも必要なく、マザーボードに直接取り付けられるため、スペースの限られる小型PCで有利だからだ。

M.2のSSDにはSATA接続とPCIe(NVMe)接続の2つの種類がある。対応する接続方法はマザーボードにもよるが、多くの場合、高速なPCIe接続に対応しているので、こちらを選ぶといいだろう。

PCIe 3.0対応とPCIe 4.0対応のどちらがいいかは、悩みどころ。CPUにRyzen 7 PRO 4750Gを選んでいるとPCIe 3.0までしか使えないため、PCIe 4.0本来のスピードが出せないからだ。価格もPCIe 3.0対応の方が安いので、コスパ重視ならPCIe 3.0を選ぶといい。

とはいえ、将来CPUの換装を視野に入れているのであれば、その時に真価を発揮できるよう、最初からPCI 4.0対応のSSDを選んでおくというのも一つの手だ。好みや予算によって大きく変わってくるため、納得できるものを買うといいだろう。

なお、小型ケースでは後からのストレージ増設が難しくなるため、容量はなるべく多いものを選ぶと安心だ。最近のゲームはサイズが大きくなっているので、512GB以上、できれば1TBクラスを狙いたい。

PCIe 4.0に対応するNVMeのM.2 SSD「AORUS GP-AG70S1TB」。最大7000GB/sという超高速アクセスが魅力だ。容量は1TBと余裕がある

メモリーで気を付けたいのは、容量だけでなく速度にも違いがあること。しかも、CPUやマザーボードによって対応できる速度が変わってくるから厄介だ。極まれに相性問題で動作が不安定になることもある。

確実に動作するメモリーが欲しければ、先にマザーボードの製品情報をチェック。例えば「B550I AORUS PRO AX」であれば、GIGABYTEのサイトのサポートページで、メモリーサポートリストという形で公開されている。

マザーボードの製品ページでは、動作確認済みのメモリーが調べられる。確実に動作するメモリーが欲しい場合は、このリストから選ぶといいだろう

なお、メモリーが速ければ速いほどPCの性能も上がるものの、その割合はわずか。高性能CPUを搭載し、さらに少しでも速度を上げたいという場合には高速メモリーは向いているが、そうでない場合はDDR4-2666、もしくはDDR4-3200で十分だ。最大DDR4-3333にまで対応する高速メモリー「AORUS GP-ARS16G33」。速度を追求したい場合には、こういった高速モデルを選ぶといいだろう

ここまでくれば、ひと通りPC本体のハードウェアはそろう。後はマニュアルを見ながら組み立てていくだけだ。これ以外にもマウスとキーボード、そしてOSが必要となるので、持っていない場合は一緒に購入しておこう。

「コンパクトなカジュアルゲーミングPC」の実力チェック

実際に組み立てたPCでどのくらいの性能があるのか、気になるところ。そこで、いくつか定番のベンチマークソフトで性能を確認していこう。CPUはAMD「Ryzen 7 PRO 4750G」を使用している。

まずはCPU性能から。この確認にはCGレンダリング速度からCPU性能を測る「CINEBENCH R23」を使用した。結果はptsという単位のスコアで表示され、このスコアが高ければ高いほど高性能となる。CGレンダリングはマルチスレッド処理に向いたものとなるため、CPUの最大性能を知るのに適したテストだ。