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ロケットを3Dプリントするレラティヴィティ、完全再使用ロケットの開発発表

3Dプリンターでロケットを造る宇宙ベンチャー「レラティヴィティ・スペース(Relativity Space)」は2021年6月8日、新型ロケット「テランR (Terran R)」の開発計画を発表した。

ロケットを丸ごと3Dプリントする米ベンチャー、イリジウムから打ち上げ受注

機体は3Dプリンターで製造し、また機体すべてを再使用して繰り返し打ち上げられるようにすることで、大型の衛星を低コストで打ち上げられるとしている。初打ち上げは2024年を目指す。

レラティヴィティ・スペース

レラティヴィティ・スペース(Relativity Space)は2015年に設立された宇宙ベンチャーで、ロケットをまるごと3Dプリンターで製造することを特徴としている。

近年、ものづくりの現場で注目されている3Dプリンターは、宇宙分野にも導入されつつあるが、その多くは一部の部品のみに限られている。

しかし同社は、「スターゲイト(Stargate)」と名付けた巨大な金属3Dプリンターを使い、人工知能、自律型ロボットと組み合わせることで、ロケットの約95%を自動で“印刷”。これにより、部品数を従来のロケットの約100分の1にするとともに、製造にかかる人員や工具も大幅に減らし、信頼性や品質の向上、低コスト化を図っている。また、製造にかかる時間も従来の約10分の1にまで短縮。同社は「原材料の状態から打ち上げができるまで、わずか60日しかかからない」と謳う。

同社は現在、「テラン1(Terran 1)」と名付けた小型ロケットの開発を行っており、2021年中の初打ち上げを予定している。

テラン1は、高度185kmの地球低軌道に1.25t、高度500kmの太陽同期軌道に0.9tの打ち上げ能力をもち、アリアンスペースの「ヴェガ」やインドの「PSLV」、日本の「イプシロン」などに近い。しかし、打ち上げ価格は、ヴェガが約4000万ドル、PSLVが約2800万ドルとされるのに対し、テラン1は1200万ドルという、きわめて安価な価格を提示している。

市場からの期待も高く、まだ一度も打ち上げられていないにもかかわらず、すでに米国航空宇宙局(NASA)や米国防総省、民間企業から9件の打ち上げ契約を受注している。

テランR

そして6月8日、レラティヴィティ・スペースはテラン1に続く新型ロケット「テランR」を開発すると発表した。

テランRは、全長約65.8m、直径約5mの2段式ロケットで、地球低軌道に20tもの打ち上げ能力をもつ。さらに月や火星への打ち上げミッションにも対応できるとしている。

テラン1と同じく、機体は3Dプリンターで製造する一方、テラン1が使い捨て型ロケットなのに対し、テランRは機体すべてを回収、再使用が可能であり、打ち上げコストの低減が図られている。

テランRの第1段は特殊なアルミ合金製で、打ち上げ後は洋上の船に垂直着陸する。エンジンは、テラン1に使う「イーオン1(Aeon 1)」をベースに、再使用可能なように改良した「イーオンR」を7基する。第2段の素材は特殊な合金としか明らかにされていないものの、耐熱タイルがなくとも再突入時の熱に耐えることができるという。エンジンはイーオンRを上段用に改修したイーオンVacを1基装備する。

両段とも、推進剤にはメタンと液体酸素を使用。エンジンも3Dプリンターで製造する。

機体の見た目は、スペースXが開発中の巨大ロケット「スターシップ/スーパー・ヘヴィ」を小さくしたような姿をしている。見た目だけでなく、1段目にグリッド・フィンがあり、洋上の船に垂直着陸する点や、2段目が翼を使って飛行して着陸する点、フェアリングが分離式ではなく機体に固定された開閉式である点など、技術的にも共通点が多く見受けられる。ただ、翼の形状や数など細部は異なっており、単なる模倣ではないことも見て取れる。

地球低軌道に20tという打ち上げ能力は、スペースXの現行の主力ロケットである「ファルコン9」や、米国の「ヴァルカン」、欧州の「アリアン6」、日本の「H3」など、世界の大型ロケットとほぼ同クラスであり、大型衛星の打ち上げや小型衛星の複数機同時打ち上げなど、商業打ち上げ市場での競争が予想される。

初打ち上げは2024年の予定で、打ち上げ場所はフロリダ州のケープ・カナベラル宇宙軍ステーション第16発射施設が予定されている。同施設はテラン1の打ち上げ場所としても使われる。

また同日には、シリーズEラウンドの資金調達を実施し、ベンチャー・キャピタルなどから合計6億5000万ドルを調達したことも発表。テランRの開発費に充てるとしている。

レラティヴィティ・スペースのCEOを務めるティム・エリス(Tim Ellis)氏は「5年前に創業したときから、テラン1に加え、その20倍の大きさをもつ完全再使用型ロケットであるテランRを、3Dプリンターで造ることを計画していました」と語る。

「今日、私たちはその目標に一歩近づきました。テラン1と同様に、3Dプリンターを活用することで、部品数の削減、技術革新のスピードアップ、柔軟性や信頼性の向上を成し遂げ、この次世代ロケットを市場に投入したいと思います」。

そして「私たちは、ロケット全体を3Dプリントし、火星に人類の産業基盤を構築するという目標を掲げてレラティヴィティを設立しました。この成功を収めるためには、拡張性があり、自律的に稼働できる3Dプリンターが必要になります。テランRは、その壮大な旅に向けた第2段階となります」と語っている。