FBI(米連邦調査局)のおとり捜査「Anom」に利用されていたとされるカスタムスマートフォンが流出したとして、海外テックサイトのMotherboardがその情報と実機画像を公開しています。
Anomは、FBIを中心とした国際捜査チームによる、通信ネットワークを利用したおとり捜査を指します。FBIは今年6月にAnomの存在を公開しており、また同時に800人以上の逮捕者を発表しました。
今回、Motherboardへの情報提供者が入手したAnomのスマートフォンは、オーストラリアの個人取引サイトで入手したとされる個体。
まず端末を起動すると、NetflixやInstagramなどの一般的なアプリが表示されますが、これらは動作しないダミー。スマートフォンをリセットしてPINコードを入力すると時計や電卓などが表示され、この電卓アプリが秘密のメッセージングツール「Anom」の入り口となります。
Anomは暗号化された秘匿性の高いメッセージングツールを装っていますが、実はこれがFBIのおとり捜査用アプリです。その通信内容はFBIによって傍受され、1万1800台以上の端末から2700万以上のメッセージが収集されていたといわれます。
端末は米Googleの「Pixel 4a」をベース(Pixel 3aが利用されたケースも存在)としており、スクリーンには「ArcaneOS」と表示されていますが、その詳細は不明です。また端末OSの書き換えや、アプリのインストールも不可能となっています。さらに位置情報のオン/オフが不可能になっているなど、おとり調査用端末であることを強く匂わせているほか、データ消去に関する機能も複数搭載されています。
なお、今回のAnomの端末についてFBIはコメントを拒否しています。スマートフォンマニアとしてはかなり気になる端末かもしれませんが、犯罪に使われていた可能性が高いため、もし入手する機会があったとしても、高いリスクにさらされる可能性は免れないでしょう。