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iPhoneのUSB電源アダプタを分解したら中身はこんな感じ、Apple純正は一体何が違うのか?

iPhone等のスマートフォンをはじめ、電子機器の多くは内部に充電バッテリーを内蔵しており、USB電源アダプタにつないだUSBケーブルを接続して充電します。そのため、「USBがつなげれば同じだろう」と、純正ではないUSB電源アダプタを使ったことがある人も多いはず。Apple純正のUSB電源アダプタが他のアダプタと何が違うのかについて、iPhone用の純正USB電源アダプタ(5W)を分解して分析したレポートをエンジニアのケン・シリフ氏が公開しています。

iPhoneのUSB電源アダプタはスイッチング電源であり、必要な出力電圧を得るために、入力電源のオン・オフを1秒間に約7万回切り替えます。スイッチング電源はその設計上、単純なリニア電源に比べて一般的に小型で効率が良く、排熱の発生も少なくなっています。

以下の画像はiPhoneのUSB電源アダプタの中身を側面から撮影した様子。上下2枚の基板のうち、上の基板は高電圧回路、下の基板は低電圧出力回路になっています。プラグを通じてUSB電源アダプタに流れてきた交流電流は、高電圧の直流電流に変換されたあと、基板の間に見える2つの黒いコンデンサと緑色無地のインダクターで平滑化されます。その後、高電圧の直流電流は左上にあるスイッチングMOSFETを通り、オン・オフによって寸断されるチョッパ制御が行われます。

チョッパ制御された直流電流は、トランジスタの後ろにあるフライバックトランス(黄色のテープ部分)に送られ、低電圧の交流電流に変換された後、下の基板に向かいます。この下の基板で直流に変換された電流が、フィルターによってノイズ除去された上で、以下の画像右下にあるUSB端子から出力されるというわけです。

高電圧回路が乗った1枚目の基板がこれ。注目すべきは、STマイクロエレクトロニクス製の擬似共振型SMPSコントローラICで、スイッチングMOSFETを制御します。1枚目の基板にはこのコントローラICを駆動させる補助電源回路も搭載されています。

低電圧交流電流を受ける2枚目の基板には、ノイズを除去するためのダイオードやインダクター、コンデンサーが搭載されています。また、USB端子部分にはデータピンに接続された特別な抵抗があり、Apple独自のプロトコルを介して充電器の供給する電流量をiPhoneに示します。この抵抗が異なると、iPhone側に「このアクセサリでは充電できません」というメッセージが表示されるというわけです。

なお、基板の大きさを直径約25mmの25セント硬貨と並べて比較したところが以下の写真。最も小さい部品は「R21」にある抵抗(Resistor)で、サイズは0.04インチ(約1.02mm)×0.02インチ(約0.51mm)です。

USB電源アダプタの内部には最大で直流340Vが流れるので、絶縁による安全性は非常に重要な問題です。各回路の間にはおよそ4mmの間隔が絶縁境界として必要とされていますが、iPhoneのUSB電源アダプタではおよそ6mmの絶縁境界が設けられているとのこと。安価に販売されている偽物のUSB電源アダプタは、この絶縁境界が守られていないため、非常に危険であるとシリフ氏は指摘しています。

例えば、変圧器であるフライバックトランスを見ると、黄色い絶縁テープで2層に包まれており、その下にはさらに絶縁シールドが貼られています。フライバックトランスはUSB電源アダプタの中でも最も重要なパーツの1つで、シリフ氏は「おそらくUSB電源アダプタの中で最も高価な部品だろう」と述べています。

絶縁テープと絶縁シールドを取外し、フェライトコアをコイルから取り外したところ。

そして、コイルに巻かれた絶縁テープを剥がしたところが以下。絶縁テープの上からぐるっと巻かれた銅線は漂遊磁界を抑えるためのシールドではないかとシリフ氏は推察しています。導線と絶縁テープを剥がした下には、黒と白のワイヤーにつながった6巻きの二次コイルがありました。1A出力に給電するこの二次コイルの導線が太いのは、安全要件を満たすために3重に絶縁されているためだそうです。シリフ氏によれば、安価な偽物のUSB電源アダプタでは、この二次コイルの作りがいい加減であることがよくあるとのこと。

さらに二次巻線の下には11巻きの一次電源コイル。これはコントローラーICに電力を供給するためで、薄いニスで絶縁されています。

そして、この一次電源コイルの下には、23巻き×4層=92巻きの一次入力コイルがあります。一次電源コイルの巻数は二次コイルのおよそ15倍なので、二次電圧は一次電圧の15分の1になり、電流は15倍になります。そのため、変圧器は高電圧入力をより低電圧かつより高電流な出力に変換するというわけです。

シリフ氏によれば、AppleのUSB電源アダプタは、Samsungが発売している同サイズ・同型のUSB電源アダプタと中身の構造がほとんど同じだとのこと。しかし、Apple純正のUSB電源アダプタの価格は、6ドル(約660円)~10ドル(約1100円)であるSamsung製品よりも10ドル(約1100円)~20ドル(約2200円)ほど高いそうです。

シリフ氏は、Apple純正のUSB電源アダプタが高価なのはもちろん高い利率設定もあるとした上で、Appleが安全性や品質を重視しているからだと指摘しています。例えば、Apple純正のUSB電源アダプタの出力回路には比較的高価なタンタルコンデンサが2種類使われているほか、アダプタのプラグも非常に頑丈で、さらに電磁干渉を減らすための工夫もしっかりと施されているとのこと。シリフ氏は「iPhoneのUSB電源アダプタは、小さなスペースに多くの技術を詰め込んでいます。Appleは、他の有名ブランドの充電器よりも高い品質と安全性を提供するために特別な努力を行っており、この品質を維持するためには高いコストがかかっています」とコメントしました。