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キャラ強めグーグル「Pixel 6」デザインから新プロセッサーまでの変化を考える

Googleのスマートフォン「Pixel」ブランドも、気づいてみればもう6世代目になった。個人的な意見ではあるが、昨年の「Pixel 5」に比べ、今年の「Pixel 6」はおもしろく、魅力的だ。それはなぜなのか? 自社設計半導体「Google Tensor」の採用もある。カメラの強化もある。

だが実はポイントはむしろ「Android 12」に端を発するデザインの変更であり、「自社サービスのデバイスへの統合」であるように思う。

Pixel 6は久々に「キャラ強めのPixel」

Pixelシリーズは、各世代で狙うところが変わっているような印象を受ける。

Pixelの前ブランドである「Nexus」時代、Googleのスマホは、AndroidというOSのリファレンスマシンのような位置付けにあった。NexusはGoogleのブランドと言っても、他社にリファレンス的なスマホを持ち回りで作ってもらっていたこともあり、製品としてのキャラは薄めだった。実際それで良かったし、アプリやサービスの開発者や、筆者のようなライターは、特にそうした部分を期待して買っていたように思う。

だが、ブランドが「Pixel」となり、Googleが自社を差別化するハードウェアとして積極的にアピールするようになってから、より普通のスマホに近い扱いになっていった。

とはいうものの、製品の「キャラ」はわりとブレがちだ。特に、「Pixel 5」と「Pixel 6」は大きく違う。

Pixel 5は世界的に5Gが普及するタイミングであり、「5G搭載」であることが大きな価値を持っていた。価格を抑えた「Pixel 4a」が売れたこともあり、全体的に価格を抑えて、5Gを普及させる役割を持った製品になっていた印象を受ける。そのせいか、フラッグシップのスマホとしては「あっさり味」だったのが気になった。

8月に廉価モデルにあたる「Pixel 5a」が出て、5G普及向けの役割はそちらに任せることができた。そんなせいもあってか、Pixel 6は、なんとなく「久々にキャラ強め」の製品になったな……という印象を受けている。

「Material You」こそが今回の特徴

「キャラ強め」と感じる理由は、Android 12でUIが大きく変わったせいもあるだろう。

Pixel 6のボディカラーリングやデザインは、あきらかに。Android 12で導入されるUIスキーム「Material You」の変化に合わせたものになっている。カメラ部がどれも黒いバーなのはちょっともったいないが、印象は良い。

Pixel 5にベータ版を入れて試した印象だが、Material Youは、従来に比べポップ……というかダブな印象を受ける。アニメーションが滑らかでわかりやすく、色合いを自分好みに合わせやすい。個人的には好きな方向性だ。スマホは画面が中心に来るデザインだが、UI側のデザインを本体に合わせられるタイミングはそんなにない。

毎回デザインテイストが変わるのは「一貫性」という意味ではマイナスかもしれないが、「今年のPixelはこんな感じか」というところを楽しむ、という意味では、悪くない。

Google TensorとオンデバイスAIの可能性

ハードウェアとしてはもちろん、自社設計半導体である「Google Tensor」への移行が興味深い。実際のところ、アップルを含めた各社の動向を見ても、自社設計半導体での差別化は世代を経るごとにはっきりしてくる傾向がある。今回は第一世代なのでまだまだ入り口、というところかもしれない。

明確なのは、どこも自社設計半導体を使う場合、「オンデバイスAIの消費電力低減」が目的である、ということだ。これはスマホ以外でもそう。AmazonがEchoなどのスマートスピーカー向けに「AZシリーズ」というオリジナルSoCを作っていたり、セキュリティカメラむけにSoCを作っていたりするのも、「オンデバイスAI」が狙いだ。

プライバシーへの配慮からデータをクラウド処理しづらい時代になったことや、音声や画像処理のレイテンシーをより短くして「打てば響く」ような操作感を実現する目的から、音デバイスAIの出番はどんどん増える。

まずは音声認識・翻訳・カメラといったわかりやすいところからだろうが、人とスマホというハードの間にAIを使ったアシスタントが本当に入っていくなら、オンデバイスAIは必須の存在になる。その時代はまだ先だが、「音声認識や翻訳が楽に使えるスマホ」としてのPixel、という位置付けはとてもおもしろいと感じる。

特に、Google純正の「レコーダー」アプリで、待望の「日本語書き起こし」ができるようになったのは非常に羨ましい。

あまり知られていないが、Google純正のPixel内蔵「レコーダー」アプリは非常に良くできている。録音をGoogleアカウントに紐づいたクラウドサービスに自動アップロードし、PCなどではウェブから確認できるほか、書き起こしと録音がシンクロしていて、「書き起こし部分をタップすると、そこで何を言っていたのか、音声を再生する」ようになっている。

これまでは「英語」などで書き起こしに対応していたが、日本語対応になると、我々の仕事もずいぶん楽になりそうな予感がする。

Pixelにとって日本は「特に大事な国」!?

発表イベントを見ていて感じたのは、アメリカでのイベントであるにも関わらず、「他の言語対応」として、日本語が例になって出てくることが多かったことだ。

もう10年近くに渡り、この種のイベントで「英語」以外の言語といえば、アメリカ国内でのニーズも大きいスペイン語か、市場の大きい中国語が多かった。

そこで日本語、というのは、それだけPixelがアメリカと日本で特によく売れる製品だから……という事情があるように思う。プラットフォーマーとしてのGoogleは盤石だが、「スマホメーカー」としてのGoogleの世界シェアはそこまで大きくない。今回もKDDIとソフトバンクでの扱いが決定しており、注目度も高い。

そんな日本でも「マスが買う大人気スマホ」か……というと、そこまでではないのが実情ではある。Pixel 6は、そこにどんな影響を与えるのだろうか。

実のところ、シェア拡大には安価な「aシリーズ」の方が寄与するとは思う。だが、「写真がうまく撮れるスマホ」「海外旅行や外国人との対話に強いスマホ」として、Pixel 6が評価されるようになると、ちょっとおもしろいのだが。そういうところで培ったブランドが、先々の人気を決定するからだ。

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。 得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「ソニー復興の劇薬 SAPプロジェクトの苦闘」(KADOKAWA)などがある。