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「住所の常識」を変えるwhat3words CEOに聞く日本進出の手応え

「what3words(ワットスリーワーズ)」という位置情報システムを聞いたことがあるだろうか? 世界地図の表面を3メートル四方に区分けして、1つのブロックごとに3つの単語を組み合わせた「3ワードアドレス」を割り振る独自の住所サービスだ。

同社は、2013年にイギリスのロンドンで創業。2017年に日本市場へ進出した。今回、what3wordsの共同創業者兼CEOであるクリス・シェルドリック氏に単独取材を行い、日本での展開を経ての手応えや今後の展望を聞いた。

世界地図に新しくシンプルな住所を振り直した

日本で住所と言えば、地名に番地・号地による表記が一般的だ。一方、欧米の多くの地域では「通りの名前」と、各建物に振らた番号で住所を表すシステムが採用されている。

では、what3wordsの住所システムというと、世界地図を3メートル四方・57兆個のブロックに分けて、それぞれに「///ためす。おさらい。すめる」といった具合に3つの単語から構成される「3ワードアドレス」を割り振るというもの。例えば、大きな公園の噴水前を待ち合わせ場所に指定したり、森の中でテントを貼っている場所を正確に伝えることなどができるようになる。

iOSとAndroidに対応するモバイルアプリ、PCのブラウザからアクセスできるオンラインマップはいずれも無料で使える。世界各地域の言語対応を進めながら、パートナーを獲得してライセンスを提供するビジネスモデルが軌道に乗り、what3wordsは成長を続けてきた。

日本語を含む世界50の言語に対応

what3wordsのサービスは日本語のほかに、英語・中国語・スペイン語・アラビア語、そしてインド周辺地域で話されている12の主要言語を含む世界50の言語に対応している。シェルドリック氏は「世界中で多くの方々にサービスを使ってもらえるように、主要な言語が使われている地域と人口を意識しながら対応を急いできた」と振り返る。

サービスの日本語対応を進める際には、計50名の言語学者と翻訳のスペシャリストを集めて、シンプルな3つの単語を選び、読みやすく平易な「ひらがな」による3ワードアドレスを作り込んだ。

住所を特定のキーワードにより検索できるマップサービスは他にも存在するが「日常単語でよりシンプルに使えるインターフェースを持つところがwhats3wordsの強み」とシェルドリック氏は説く。

日本語対応が完了した2018年頃から、what3wordsは日本市場への進出にアクセルを踏み、各業界にビジネスパートナーを着実に増やしてきた。現在はソニー・イノベーション・ファンドのほか、スバルやアルパインなど大手企業がwhat3wordsに可能性を見つけて投資を行っている。さらに今年の11月中旬からテレビ広告の放映も開始され、一般のコンシューマーにも認知が浸透しつつある。

what3wordsを組み込むアプリが増えている

what3wordsアプリの基本操作は、検索バーに地名やランドマークの名前などを入力後、3m×3mのマス目が見えるまでマップにズームインし、画面をタップして3ワードアドレスを確認する。3ワードアドレスが表示されている状態で画面下の「シェアする」をタップすると、メールやメッセージ、SNSを介して3ワードアドレスが共有できる。

共有を受けた相手が無料のwhat3wordsアプリを入手していれば、リンクをタップすると地図上に3ワードアドレスが表示された状態でアプリが開き、その特定の場所を確認できる。

例えば広大なフェス会場やテーマパークでピンポイントの集合場所を共有したり、ビルや駅などの指定の入り口を伝えることもwhat3wordsなら可能だ。みんなのタクシーが運営するタクシー配車アプリ「S.RIDE」は、乗車地・目的地の検索システムにwhat3wordsを組み込み、より精度の高いサービスが提供できることをアピールしている。

シェルドリック氏によると「what3wordsは日本の住所システムと非常に相性が良く、地形や交通網が複雑な都市部のナビゲーションをサポートするテクノロジーとして多くの引き合いがある」という。

日本国内では日立ソリューションズがwhat3wordsと販売代理店契約を結び、デベロッパにwhat3wordsのAPIを販売している。APIを活用することにより、GPSなどで取得した緯度経度の座標情報を3ワードアドレスに相互変換する機能が搭載できる。

シェルドリック氏は「アプリ系のサービスであれば1週間程度、カーナビゲーションシステムのようにハードウェアに組み込む場合でも数カ月ほどでwhat3wordsの組み込みが可能」と説いている。

さらにwhat3wordsには3ワードアドレスを「英語と日本語」のように、選択した2つの言語を1つの画面に表示できる機能もある。今後新型コロナ感染症のパンデミックが収束する方に向けば、訪日外国人のためのナビゲーションアプリ「Japan Travel」のようにwhat3wordsの3ワードアドレス検索を組み込む旅行・観光系のサービスが脚光を浴びるかもしれない。

日本の積極的なパートナーたち

日本の大手企業やスタートアップによる、3ワードアドレスを積極的に活かした挑戦的で独創性に富んだサービスの創出に対して、what3wordsもまた大きな期待を寄せている。

三菱自動車の「エクリプス クロス」はTomTomのカーナビゲーションシステムにwhat3wordsを組み込み、別途アプリを入れたりデータ通信を使ったりせず、オフラインで3ワードアドレスによる目的地検索やナビが利用できる世界初の自動車として注目されている。

また今年9月には日本のスタートアップ、Borderlessがライダー向けの“スマートヘルメット”「クロスヘルメット X1」にwhat3wordsの音声入力機能を組み込んだ。運転中に3ワードアドレスを声で入力して、目的地の入力や正確なルート案内が利用できる。

what3wordsは今後も多くのユーザーが気軽に利用できるように、広告非表示の無料アプリとして提供を続ける構えだ。what3wordsは現在150人以上の従業員を抱える企業に成長を遂げた。サービスの開発にはすべて社内のエンジニアが携わる。

「今後もユーザーの目線からサービスを迅速、かつ柔軟に拡大できる体制を確保しながら、what3wordsをグローバルスタンダードのマップシステムとして育て上げたい」とシェルドリック氏は意気込みを語った。