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容易に修理できる薄型ノートPC、Dellが循環設計のコンセプト実証プロトタイプ

Dell Technologiesは12月14日(現地時間)、1年前に公式ブログ記事「A Designer’s Vision for Circularity」で示した循環デザインのPoC(Proof of Concept、概念実証)として、そのビジョンに基づいた初のノートPCのプロトタイプ「Concept Luna」を公開した。モダンな薄型デザインで、循環設計と修理可能性を追求。正常に動作しなくなったキーボードやディスプレイを取り外すのに接着剤を剥がしたり、たくさんのネジと格闘する必要はなく、固定している部分を外すだけで簡単に取り外せるなど、今日のモダンノートPCには見られない様々な仕組みやデザインを組み込んでいる。

米Framework、自作PCのようにパーツを交換・アップグレードできる薄型ノートPC

温室効果ガスの排出実質ゼロを目指した世界的な取り組みが進む中で、PCメーカーもカーボンニュートラルの実現を形にしていかなければならない。しかし、温室効果ガスを放出する電子ごみは増加の一途であり、リサイクルが追いつかないのが現状だ。うまく循環させるにはリサイクルに至る過程を見直す必要がある。部品の修理またはアップグレードしながらノートPCをより長く使い続けられるようにすることで、生産にさらに多くのエネルギーと資源を必要とする新しい製品の過度な消費を抑えられる。

従来の循環設計が「使い終わったらリサイクル」に軸足を置いていたのに対して、Dellは「使い終わった後も数回にわたって再利用し、本来の目的で素材を使えなくなったらリサイクル」というプロセスに移行するようにLunaを設計した。容易に内部にアクセスして修理や部品交換を行えるようにし、使えなくなったノートPCはゴミとリサイクルではなく、使える部品を別のマシン作りに活用していけるようにする。再利用につながる素材やデザインを採用し、製品ライフサイクル全体で循環型経済を推進できるようにIntelと共同でLunaを開発した。

修理や部品交換のために特殊なネジと格闘する必要はない。ネジ数が大幅に削減されており、わずか4本のネジを外すだけで内部にアクセスできる。部品交換や再利用が容易になるようにパームレストが設計されており、キーボードも他の部品からきれいに分離して修理または交換でき、リサイクルも簡単に行える。「Latitude 7300 Anniversary Edition(AE)」と比べて、主要部品のリペア(分解/交換または修理/再組み立て)にかかる時間が約1.5時間短縮されるという。

プリント基板はベースにフラックス(亜麻)繊維を用い、接着剤に水溶性ポリマーを使用したバイオベースになっており、リサイクル業者が基板から金属や部品をより簡単に分離できる。エネルギー密度が低いという課題への対処が進み、電気自動車のバッテリーとしても注目される最新のLFP(リン酸鉄リチウムイオン)ディープサイクルバッテリーをサポートする。発火の危険性が低く、LFPについては電気自動車用のバッテリーなどで最初の製品寿命を終えてからの再利用の可能性が議論されている。

ノートPCのパーツの中で製造に最もエネルギーを消費するマザーボードは、総面積をLatitude 7300 AEのマザーボードの約75%(5,580平方mm以下)に縮小。部品点数がAlderLake-Mプラットフォームの最小実装より約20%少なく、カーボンフットプリントをLatitude 7300 AEの半分に削減できると推定している。

内部もレイアウトを完全に再設計した。小型化によって自由度が高まったマザーボードを、外気による冷却効果を得られるようにトップカバーに配置。充電ユニットと分離することでパッシブに熱を分散し、ファン冷却の必要性を抑えた。そうした効率化によって必要な電力が削減され、日常的な使用に要求されるパフォーマンスをディープサイクルセルの小型バッテリーで実現できる可能性がひらけた。

アルミニウムは容易にリサイクルできるが、アルミニウム新地金を作るには多くのエネルギーが必要になる。アルミニウム・シャーシーの製造に、クリーンな水力発電と型押し構造を用いることでエネルギー消費と廃棄物の発生を削減する。

モダンなデザインのノートPCは、部品を統合したり、ハンダや接着剤で部品を固定することによって薄型・軽量で耐衝撃性を高めているが、そうしたモダン化によってメモリーやストレージをアップグレードできず、限られた修理業者にしか修理を依頼できないノートPCが増えている。逆にユーザー自身がアップグレードや修理できるようにしたら、分厚くて重い製品になる……修理・アップグレード可能性とデザインにはトレードオフの関係があると言われていた。しかし、Lunaは今日のノートPCユーザーが求めるスマートさと携帯性を踏まえたデザインになっており、その上でデバイス全体のカーボンフットプリントをLatitude 7300 AEと比べて50%削減できると予想している。コンセプト実証のプロトタイプに過ぎないが、DellはLunaでサステイナブルなPC設計の壁に挑み、モダンなデザインで簡単に修理や部品交換できるノートPCの可能性を示した。そのインパクトは大きい。