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GAFAが“次なる壁”に直面した2021年。社名変更から半導体不足の影響まで

2020年同様、2021年の人類も新型コロナに翻弄されることとなった。出控えの傾向が続いたため、“巣ごもり需要”に応えるガジェットやサービスが好調を維持。引き続き業種によって明暗分かれる年となった。

例によって“勝ち組”の長に数えられるのは、IT界の巨人GAFAである。2021年7~9月期の決算ではAmazon以外の3社(Googleの親会社「アルファベット」、Facebookを運営する「メタ」、Apple)が最高益を計上するなど、その地位を明確にした。そこで今回は、2021年のGAFA事情について振り返りたい。

2021年はどんな年だったか

名実ともに「GAFAの時代」となったわけだが、今年発売されて話題となった新商品はわずかで、印象としては各社とも「現状維持」感が強い。

目立ったプロダクトとして、AppleはiMacとMacBook Proのニューモデルを市場に投入。Appleシリコンの市場拡大によって収益増が予想されるが、秋に発売されたiPhone 13は保守的なアップデートに留まった。

Googleは6月、米ニューヨークに常設店舗「Google Store」をオープンし、Androidの核心企業としてAppleとの対決を志しているが、まだ日本上陸などの予定は聞かれず、世界展開は様子見といったところだ。

アマゾン物流倉庫の従業員6人が犠牲に
Amazonは5月に老舗映画スタジオの「メトロ・ゴールドウィン・メイヤー」を買収し、コンテンツ力の拡充に努めている。しかし話題になったのはむしろ、12月の竜巻災害だろう。米国イリノイ州の物流倉庫の従業員6人が犠牲になり、労働安全に関するポリシーが問い直されている最中にある。

2021年11月、Facebook, Incは社名を「メタ・プラットフォームズ」に変更した。国内のユーザー数が頭打ちになったfacebookに代わり、現在は同系列のインスタグラム(2019年に買収)が同社の稼ぎ頭になっている。

MicrosoftはWindows 11をリリース

GAFAからは外れるが、IT業界の代表者のひとつがMicrosoftである。2021年の最大のプロダクトは、同社がリリースした「Windows 11」として間違いないだろう。

従来のWindows 10に関して、過去には「名前が変わるような新OSはリリースしない」としていたMicrosoftだが、それはあくまで当時の方針であり、法的な義務を負うものではない。見事、前言を翻した格好だ。

Microsoftの収益は「Office 365」などのサブスクリプションによって拡大しており、売り切りのOS販売が占める割合は減少していた。Windows 11のリリースにより、OS販売を中心とするビジネスモデルに一定程度回帰するものと見込まれる。

半導体不足がGAFAに与える影響は

2021年に起こり新年も引き続く問題として、世界的な半導体不足がある。今日ではさまざまな製品に半導体が使われており、給湯器の入れ替えができずに困っている家庭があることも報じられた。

この原因はさまざまだ。新型コロナの拡大に合わせ各国でリモートワーク機器の需要が増加したのもそうだし、ベトナムなど製造国の工場がロックダウンで操業停止したのもそうだ。電気自動車の増産に伴う需要拡大もあり、さらにはサプライチェーンの混乱が拍車をかけている。

現在のところ半導体不足でGAFAの屋台骨が揺らぐ事態にはなっていないが、中長期的な影響は不可避だろう。現にデバイス製造を主業とするAppleでは最新モデルであるiPhone 13の品薄が発生していて、自社製デバイスを展開するAmazonやGoogleにも他人事ではない。

GAFAの強みは「構造的な支配者」

とはいえGAFAの強みは「プラットフォーマー」という点にある。プラットフォーマーの座に留まり続ける限り、天災や病禍があろうとも、これら4社の屋台骨が揺らぐことはない。

Googleは大手検索エンジンであるとともに、世界で発売されるスマートフォンの半数以上が搭載するAndroid OSの責任者だ。Appleは強大なApp Storeを持ち、iOS/Mac OSのユーザーを対象とする独自の経済圏を築いている。

Amazonはセラーを束ねる立場で、コンテンツビジネスでも成功、さらにはクラウドコンピューティングの「AWS」がいまや社会インフラとして成立している。

またWeb広告に関してGAFAの存在感は極めて大きく、Facebookの収益源は大半がこの広告となる。つまりGAFA4社は、その他大小のアプリケーション開発者やWebビジネスと比較して、構造的な支配者となっているのである。

バイデン政権は大企業による独占を問題視

市場においては「向かうところ敵なし」の4社だが、摩擦がないわけではない。世界経済は市場の動向がすべてではなく、各国の政府・議会に規制の思惑が存在するからだ。

この頃は米中だけでなく、米欧の貿易摩擦も取り沙汰されている。2019年のフランスを皮切りに、イギリスやスペインなど欧州各国が相次いで「デジタルサービス税」を導入。GAFAなど肥大化した多国籍IT企業を対象に、国内であげた利益の海外流出を防ごうという制度である。同時に、各国の反独占法との兼ね合いも調査されている。

また、GAFAの形態を「個人情報ビジネス」だと捉える向きもあり、実際にこれら4社は先進国に暮らす市民の個人情報の大半を手中に収めている。この状態を「プライバシーの危機」とみなすEU諸国は強い法規制を進めている。

GAFAの足元であるアメリカでも、リベラル寄りのジョー・バイデン政権が大企業による独占を問題視し、法整備の途上にある。Appleが抱えている「フォートナイト訴訟」は記憶に新しいが、アプリ販売の利益の配分につき、今後はプラットフォーマーの側がポリシーの変更を強いられる可能性が高そうだ。

日本人はGAFAにどう向き合うべきか

アメリカやヨーロッパにおいて反対が強まりつつあるGAFAの寡頭支配だが、日本においてはほとんど“無風”の状態が続いている。たとえば独占禁止法を所管する公正取引委員会は、2017年にAmazon、2019年にはAppleに対して審査を行ったが、ともに違法とは認定せず、折衷的な解決を見た。

米欧と比べて日本では、GAFAの存在を問題視する声は小さい。「問題を実感していない」という理由もあろうが、ともすれば我々の間には「資本主義社会において巨大企業は絶対で、市民がどうこうできるものではない」という諦めと閉塞感がないだろうか。

実際にGAFAはスーパーパワーを有しており、これを買収できる企業はおろか、国家ももはや存在しない。そういった点はディストピア映画や、古いRPGの筋書きにも似ている。しかし本来、議会や政府の力をもってすれば、市民が作ったルールに企業を従わせることは可能なはずである。

2021年10月には公正取引委員会が再びスマホOS市場の実態調査を始めている。大企業がすなわち悪だというわけではないが、現代の欧州やアメリカにおいて、すでにそういった議論が行われていることは承知しておきたい。

<TEXT/ジャンヤー宇都>

【ジャンヤー宇都】

「平成時代の子ども文化」全般を愛するフリーライター。単著に『多摩あるある』と『オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜』(ともにTOブックス)ほか雑誌・MOOKなどに執筆