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年内に10億ドル市場へ成長、「メタバース不動産」の行方

デジタル不動産ははたして「不動産」なのだろうか。デジタル店舗はいまだに「店舗」と呼びうるものなのか。これらは人間の世界とアバターの世界のグレーゾーンにかかわる問いである。もしかするとデジタル不動産やデジタル店舗といったものは一時的にもてはやされているだけで、Google+(グーグルプラス)やVine(ヴァイン)のように、いずれテクノロジーのブラックホールに消えゆくものなのかもしれない。だが逆に、これらがインターネットの次のあり方で、長期にわたる商業的成功に不可欠な形態になるのだとしたら?

メタバースという言葉は1990年代にSF作家のニール・スティーヴンスンがつくり出したものだが、2021年秋にマーク・ザッカーバーグが行った「メタバースでのソーシャライジング」についての発表をきっかけに、広く知られるようになった。以降、ナイキはアバター用のバーチャルスニーカーを制作し、ギャップはNFT(非代替性トークン)コレクションを発表。フォーエバー21は仮想店舗を開設した。さらにウォルマートをはじめとする小売り各社もメタバースへの進出を計画している。

ただ、これまで、不動産業界がメタバースにどうかかわることができるかは、あまり話題にされてこなかった。CNBCは最近、メタメトリック・ソリューションズの調べとして、メタバース内の「不動産」の販売額は2021年に5億ドル(約580億円)を超え、2022年は10億ドルに達する可能性があると報じている。こうした不動産は「無形資産」でありながら価値が高騰しており、かかわっていない業者には大きな機会費用が発生していると考えることもできる。

バーチャル小売店という発想は新しいものではない。ストアフロントは2018年、バーチャルストア・プラットフォームの「オブセス(Obsess)」と組んで、完全に双方向のものとしては史上初というバーチャル・ポップアップストアをつくっている。以来、こうしたコンセプトはメタバースでも有効であることが明らかになってきている。つまるところ買い物は、アバターにとっても日々の営みのひとつになりうるものだからだ。

メタバースでの小売店の形態としても、まずはポップアップ型に関心がもたれているようだ。消費者がブランドのデジタルコレクションをざっと見ることのできる簡易型店舗だ。セルフリッジズは先月、パコ・ラバンヌとのコラボレーションとして、NFTとして購入もできるアート作品の展示と組み合わせた実店舗のポップアップストアを開設すると発表した。グッチやラルフローレンはすでに、「Roblox(ロブロックス)」や「ZEPETO(ゼペット)」といったメタバースプラットフォームでポップアップストアを出店している。先週にはアロヨガもロブロックスの島に、ヨガや瞑想のための没入型ウェルネススペース「アロ・サンクチュアリ」をオープン。アロのデジタルファッションの店舗も併設している。

テック勢が先導する「メタバース不動産」、既存業界は割り込めるか

人々の交流の場としてバーチャルな世界が人気を集めていることは、フィジカルな体験にとって脅威となっている。実際、eコマースはこれまでも小売不動産業界に打撃を与えてきた。裏を返せば、所有する商業不動産の人気や存在感を保つために、テナントミックスを変更・更新してきた大家のみが生き延びてきたとも言えるだろう。ということはつまり、消費者行動の次の変化がメタバースに向かうものなら、関連する業界はそれに乗りそこねないようにする必要があるということだ。

現在のところ、そうした動きの主導権を握っているのはテクノロジー企業だ。「Decentraland(ディセントラランド)」は、ブロックチェーン(分散型台帳)プラットフォーム「イーサリアム」を基盤とした3D世界で、参加者はトークンを使って土地や商品、サービスを購入できる。サムスン電子やサザビーズなどが出店しており、来月にはメタバースで初となるファッションウィークも開催される予定だ。また昨年、ボストン・プロトコルはディセントラランド内に仮想商店街を建設するため、70万4000ドル(約8100万円)で用地を取得している。

デジタル不動産開発をリードする企業の一社としてはエブリーレルム(旧リパブリック・レルム)が挙げられる。同社はさまざまな仮想世界に土地を保有しており、ディセントラランドでも「Metajuku(メタジュク)」というショッピング街を構える。NFTでの不動産購入にあたっては、実物の不動産の取引で用いられる手法を活用しているという。最近はディセントラランド内に、贈答用のNFTを販売するコンセプト店もオープンさせている。

メタやマイクロソフトのようなテクノロジー大手は、デジタル不動産企業になる能力も十分に備えている。いずれにせよ、デジタル不動産を手がける企業が多くなるのは時間の問題だろう。少なくとも現時点では、既存の商業小売不動産業界がメタバースで生き残り、繁盛する可能性はまだ残されているのではないか。