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米国で、パンデミックを経て医学者・科学者への信頼が低下

米国では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが発生する以前の2019年と比べて、科学者や医学者への信頼が低下したことが、ピュー・リサーチ・センターの最新世論調査で明らかになった。科学者や医学者を信頼する人の割合は、パンデミック中に徐々に減少した。

その流れを後押ししたのは、ワクチン反対派の割合が最も高い共和党の支持者だ。

米国の成人で、医学者を「かなり信頼している」および「非常に信頼している」と回答した人は、2021年12月でも78%という多数派となっている。しかしこの割合は、パンデミックが米国を襲う前の2019年1月の87%と比べると低い。また、2020年4月は89%、2020年11月は85%と、パンデミック中に少しずつ低下したのがわかる。

「医学者をまったく信頼していない」と回答した人は2021年12月に22%という割合だった。この値は、2020年11月の14%、2019年1月の13%から急増している。

科学者全般への信頼も、2019年は86%だったが、2021年12月には77%に低下している。この世論調査は、米国の成人1万4497人を対象に、2021年11月30日から12月12日まで実施された。

医学者を最も信頼していないのは共和党支持者だ。2021年12月の調査では、共和党支持者のうち、医学者を「かなり信頼している」および「非常に信頼している」と回答した人は66%だった。この値は、パンデミック前(2019年1月)には88%、2020年4月には85%、2020年11月には81%だった。

それに対して、民主党支持者の場合は、医学者を「かなり信頼している」および「非常に信頼している」と答えた人は2021年12月に90%にのぼり、パンデミック前だった2019年1月の87%より上昇した。

とはいえ、民主党支持者の医学者に対する信頼は、パンデミックが発生した直後の2020年4月には92%まで上昇したが、その後は陰りを見せている。医学者を「非常に信頼している」と回答した民主党支持者は、2020年11月と比べて10ポイント減少した。

議員やジャーナリスト、警察官などに対して米国人が寄せる信頼も、2019年および2020年と比べて低下している。信頼の低下がとりわけ目立ったのが学校の校長だ。感染が拡大するなかで学校の舵取りを迫られた校長に対する信頼は、2020年4月は83%だったが、現在は64%に低下している。2019年は77%だった。

米国における科学への信頼低下は、アンソニー・ファウチ博士などコロナ対策にあたる公衆衛生専門家への非難というかたちで表れている。また、マスク着用は感染抑制に効果があると科学的に証明されているにもかかわらず、パンデミック中に広く呼びかけられたマスク着用措置も批判の的となっている。

ワクチン接種の開始に伴い、その安全性や効果をめぐる誤情報も次々と広がり、公衆衛生ガイダンスへの不信感を呼び起こした。米国では、ワクチン接種反対派の割合が依然として高い。世論調査は、接種を拒む最大の集団が共和党支持者であることが一貫して示されている。

パンデミックが続くなか、抗寄生虫薬である「イベルメクチン」など、有効性が立証されていない治療薬が話題を集めた。公衆衛生専門家が効果ゼロだと明確に述べているにもかかわらず、イベルメクチンを投与するよう求めて医療機関を訴えるケースすらある。

科学的根拠への不信感に加えて、米疾病予防管理センター(CDC)は、マスク着用や陽性判明後の隔離期間など、コロナ対策をめぐる公衆衛生の推奨内容が二転三転したため批判にさらされてきた。ピュー・リサーチ・センターの別の最新世論調査では、「CDCが発表する推奨内容の変更がわかりにくい」と回答した米国の成人は60%で、民主党と共和党のいずれの支持者も過半数を超えた。また、CDCの推奨事項が変わったことで信頼度が「低下した」と回答した人は56%だった。