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Web3やメタバースの波に乗れ? 起業家は流行をどう捉えるべきか

いまテック業界でもてはやされている「Web3・メタバース」。深く理解はしていなくても、聞いたことがある、興味があるという人は多いのではないだろうか。このブームを、インターネットが普及し始めた1990年代の熱狂に例える人も多く、大きな変革が起きつつあるという予感もある。

Web3・メタバースとは何なのか、今後どう推移していくのかということについては稿を改めて詳説したいと思うが、今回は、世の中のこうした大きな流れや熱狂を、起業家としてどう捉えるべきなのかという視点から考察してみたいと思う。

波には乗るべきなのか?

もしあなたが、いま起業のアイデアを探しているステージ、あるいはいま既に手がけているプロダクトの方向転換を考えているのであれば、Web3・メタバースのようなテクノロジーの大きな流れに乗ろうとするのはいい考えかもしれない。

世の中で話題となっていて流れが来ているものには、投資家もついてくる。スタートアップはどんなプロダクトであれ、成功させるためには資金が必要だ。資金調達をやりやすい方向へとプロダクトを振るのは、それだけで成功の確率を高めることになる。

また、投資家だけでなく、必要な人材も集まりやすくなる。あなたのプロダクトがテクノロジーの流れと同じ方向を向いていなかった時には見向きもされなかった優秀な人材も、ベクトルが合った瞬間に、いきなり興味を持ってくれるということがあるかもしれない。

シリコンバレーでは、GAFAに勤めていた優秀な人材が、次々にWeb3・メタバース関連のスタートアップを起業する、あるいはジョインするといった話をあちこちで聞く。スタートアップの成長を牽引するのは優秀な人材なので、流れや波に乗ることで一気に成長を加速させることができるかもしれない。

ただしその場合、気をつけなければいけないこともある。アメリカのIT分野を中心とした調査会社のガートナーが提唱する「Hype Cycle」と呼ばれる波があるが、このような一時的な流行りもののテクノロジーは、ある時、突然引いていく可能性がある。

インターネット初期においても、ドットコムバブルが弾けた後はしばらく冬の時代が来たし、AIやブロックチェーンも一時期もてはやされた後に、一度は波が引いている。そこを乗り切れば、また緩やかに勢いが戻ってくることが多いのだが、そこまでたどり着かずに力尽きてしまうスタートアップも多数ある。

また、新しいテクノロジーの領域は、インフラ基盤が整備されていなかったり、こうすればうまくいくといった蓄積されたナレッジも不足していたりするので、手探りでいろいろ試すことになる。

また変化のスピードも早いため、今日うまく行ったことが明日にはもう古臭いものになってしまう可能性がある。常に最新の情報にアンテナを張っていないといけないので、本来のプロダクト開発に割かなければいけない時間がどんどん奪われていく。

もちろん、そういった先の見えない、変化の激しい世界の中で新しいものを創造していくのが起業の醍醐味でもあるのだが、スタートアップの成長に向けて最短距離でやっていくことはおそらく不可能だ。回り道をしてリソースと時間を無駄にすることのリスクを取る覚悟は必要だろう。

もう1つ知っておきたいのは、過去の歴史を振り返ってみると、必ずしもその道の先駆者が、その後いちばん成功しているとは限らない、むしろそのほうが稀であるということだ。

検索エンジンの世界ではグーグルは最後発だったし、フェイスブックもSNSのなかではそうだった。インターネット以前を見ても、他社の真似をせず、最初にやることが尊いとされていたソニーでさえ、プレイステーションはゲーム機ではまったくの後発だったりしたわけだ。

いまこのタイミングを逃したら成功できないのではないか、と焦る必要はおそらくないだろう。

テクノロジーに惚れ込まないこと

いずれにしても重要なことは、世の中の流れに乗るのか、乗らないのかということではない。つくろうとしているプロダクトが、本質的にどんな価値を提供するのか、どんな顧客の問題を解決するものなのか、そういう基本的なことだ。Web3・メタバースに乗ったあなたのプロダクトが、本当に価値を生み出し、顧客の問題を解決しているものであれば、おのずと成長はついてくる。

とはいえ、もしPMF(プロダクト・マーケット・フィット)が見えない、思ったように成長できない、というような局面に直面したら、冷静に基本に立ち返ってみることが必要だ。

Web3・メタバースでなければならない理由はどこにあるのか、既存のテクノロジーでは解決できない問題なのか、顧客がWeb3・メタバースであることを求めているのか、このような基本的な問いかけをしてみることだ。

Web3・メタバースそのものが本質的にどんな価値を提供しているのか、現在の時点ではまだ明らかになっているとは言えない。概念や仕組みだけでは、本質的な価値を生み出すことはできないのだ。

1990年代のドット・コム・バブルがそうだったように、ただインターネットというだけで価値が創造されるわけではなく、それが顧客の問題を解決する手段として有効に機能し、本質的な価値を生み出すようになるまでには、長い時間と数えきれないほどの試行錯誤と失敗の積み重ねが必要だったのだ。

1990年代にインターネットに出会い、以来ずっとテクノロジーの世界に身を置いてきた自分自身に、ことあるごとに言い聞かせていることがある。次のようなものだ。

「テクノロジーそのものに惚れ込むな。テクノロジーはあくまでも手段であって、目的であってはならない」

テクノロジーの世界は本当にエキサイティングだ。新しいテクノロジーが出現すると、あんなこともできる、こんなこともできる、そう勝手に妄想を繰り広げるのがとても楽しい。テクノロジーの世界で起業する皆さんもきっと同じだろう。

でもそこが起業家にとっては落とし穴になることがあるのだ。テクノロジーを理解することは重要だが、惚れ込み過ぎるとそれを使うことが目的になってしまう。

4年前に書いたちょっと古いブログだが、こちらを読んでみていただきたい。1997年にアップルのスティーブ・ジョブズが開発者向けのカンファレンスで話をしているビデオを紹介しているが、彼自身が技術に惚れ込みすぎることで失敗を重ねて来たこと、カスタマーエクスペリエンスを起点にテクノロジーに逆戻りして考えることの重要性を説いている。

最終的にプロダクトが価値を生み出しているかどうかを判断するのは起業家のあなたではなく、それを使う人たち、すなわち顧客だ。そして多くの顧客にとって、そこで使われているテクノロジーが何であるのかはおそらく重要ではないし、気にもしていない。あなたのプロダクトが問題を解決してくれているのか、そしてそれを対価を支払ってでも使いたいと思えるのか、そこが重要なのだ。

もしあなたが、Web3・メタバースの世界で本当に顧客の問題を解決するプロダクトを提供できるのであれば、ぜひこの波に乗って突っ走ってみてほしい。でも、時々振り返って考えることも忘れずにいてほしい。

テクノロジーが刻々と革新されていくなかでも、顧客提供価値という本質さえ見失わなければ、テクノロジーの流行り廃りに関係なく、めざすべきところは明確になるはずだ。