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NTTドコモが6G時代を見据え開発を進める「人間拡張基盤™」が世界を変えていく

日本でも5G(第5世代移動通信システム)の普及が進むなか、NTTドコモはすでに次世代となる「6G(第6世代移動通信システム)」の研究開発に着手している。

6Gはわたしたちに何をもたらすのか。同社は来るべき6G時代に向け、画期的な技術の開発に取組んでいる。同社執行役員6G-IOWN推進部部長の中村武宏にその概要と狙いについて話を聞いた。

スキルをダウンロードできる時代にむけて──人間拡張技術

移動通信システムはこれまで、約10年のスパンで代替わりしてきた。4Gのサービスが開始したのは2010年頃で、5Gは2020年だった。6Gも例に漏れず、NTTドコモは2030年のサービス開始をめざしているが、その意義について中村はこう説明する。

「新たな世代の開発をしていると、『そんなに性能を上げて何に使うんですか』と毎回聞かれます。3Gを開発しているときにも言われました。3Gの回線スピードは当時、384kbpsでした。しかしいまや、それではスマートフォンの多くのアプリケーションはまともに動作しません。4G以上の高速を実現した5Gですら、2035年頃には時代遅れになっているかもしれません。2030年に6Gを導入しておかなければ、我々のビジネスが成り立たなくなる可能性もあるのです」

ネットワークが進化するからこそ、新たな技術やサービスが生まれるのだ。昨今はスマートフォンの普及に加え、IoTの活用も増えている。膨張を続けるデータ量に対応していくためにも、6Gの開発は欠かせないのだ。

「5Gでかなり性能が向上しましたが、2030年代は、いまとは別の世界になっているでしょう。IoTの時代ではデータ量がとてつもないレベルになっているはずで、5Gよりもさらに高速大容量・低遅延をめざす必要があります。5Gの10倍から100倍の性能を叩き出し、いつでもどこでもつながるようにしたいのです」

その「つながる」というのは、人のいるエリアだけでない。従来の通信システムは人口カバー率が重視されてきたが、6Gがめざすのは、海上や空など、人がいない場所でもつながる世界だ。

「マイクロプラスチックゴミなど環境問題を解決するには、センサーによるデータ収集と分析が必要です。人がいない場所での環境モニタリングが役立ちます。飛行機内の通信環境改善やドローン活用のニーズも高まっていますし、将来的には『空飛ぶ車』も実用化されることになるでしょう。そうなると我々通信事業者は、空の通信環境も整備しなければなりません。ネットワークを3Dでエリア化していく必要があるのです」

海上や空にどうやって通信網を張り巡らせるのだろうか。それを実現するのが非地上系ネットワーク(NTN)だ。NTN技術を活用することで、成層圏を飛行する高高度プラットフォーム(HAPS)から電波を地上に届けることができるようになるのだ。

NTTドコモは1月14日、エアバス、NTT、スカパーJSATとHAPSの研究開発や実証実験を行うための協力体制構築を推進する覚書を締結。すでに実用化に向け、動き出している。

「我々は、通信事業者としては珍しくかなりの規模のR&D体制を構築し、技術的にも優れたスキルと知識を蓄えています。最先端の研究を他社に先駆けて進める体制を整えていると自負しています」

NTTドコモが開発に注力しているのは、通信インフラだけでない。6G時代を見据えた新たな技術の開発にも着手している。それは「人間拡張基盤™」だ。

人間拡張とは、センサーを通じて取得した人の動きや感覚を、遠隔にいる人が装着したデバイスやロボットに共有することで同じ動作を再現する技術だ。たとえばピアノを上手に弾ける人のスキルを伝送することで、ピアノが苦手な人でも演奏できるようになる。身体にスキルをダウンロードし、個人の能力を向上させるイメージだ。

「社会課題の完全なる解決をめざしたいと考えたときに、我々はいったい何をすべきなのか。私は、『通信プラスアルファ』がカギになると考えています。つまるところ『ウェルビーイング』、やはり社会のため、人のためという、幸せにつながるか、そこにつきます。人間の能力がネットワークを介し、距離と時間を超越して拡張する。そして、それらのスキルを蓄積できれば、さまざまなことが可能になるはずです」

人間の動きをリアルタイムに伝えることで、遠隔手術から職人の匠の技の伝承、オンラインゲームのプレイまで、用途は無限に広がるのだ。

オープンイノベーションで進める人間拡張基盤™の開発

人間拡張の一部は、5Gでも実現が可能だ。しかしさらなる低遅延、高速大容量化が可能な6Gの世界でめざすのは、もっと高次元の技術だ。

「近年、筋肉の電気信号は取得しやすくなっているので、そのロボットへの反映は、5Gでもある程度までは比較的早い段階でできるようになるかもしれません。しかし、指一本一本の正確な動きや緻密な動きまではもう少し時間がかかるでしょう。6G時代になれば、ネットワークが人間の神経伝達の代わりになるくらいのリアルタイム性が可能になるはずです」

視覚や力覚などの情報をセンシングによって取得し、それをアクチュエーションでアウトプットすることで、スキルは共有される。6Gの導入によって、それをリアルタイムに実行することが可能になるのだ。

中村が思い描くのは、人間拡張技術を基盤にすること。すなわちプラットフォーム化だ。将来的にはSDK(ソフトウェア開発キット)を提供し、さまざまなベンダーがアプリケーションを開発できるようにし、その利用によってプラットフォームにスキルが蓄積される。個々の企業が開発する素晴らしい技術があっても、普通はそれらを相互利用することはできないが、プラットフォームがつなぐことによって拡張性が高まり、多くの人が使えるようになるのだ。

また、スキルを提供する側と共有する側とで体格や骨格が異なる場合は、それぞれの身体データを比較し、差を補正したうえで伝達することが可能になる。たとえばプロ野球選手の動きをそのまま子どもが共有することはできないが、基盤によって両者の差が補正され、子どもに転送することが可能になるのだ。

センシングやアクチュエーションの技術、デバイスについては、パートナー企業と共同開発し、NTTドコモがそれらをインテグレーションする。つまり、人間拡張基盤™はオープンイノベーションにより開発を進めている。

「シンプルに言えば、人を幸せにしたい。それを実現するには、我々だけでは到底なし得ないので、できるだけ多くの方々に協力していただき、より効率的につくり上げていきたいです。おもしろいことをやっている人は、世の中にたくさんいます。これからどんどんいいセンサーが出てくるでしょうし、いままで取れなかったデータも取得できるようになるでしょう。そういった技術をフレキシブルに取込み、反映できるようにしていきたいです」

人間拡張基盤™はまだ研究の初期段階だが、6Gの実用化を待たずに5Gでも可能なことは先に実装していくという。

通信が社会課題のかなりの部分を解決できると信じる人間拡張基盤™がめざしているのは、スキルの伝送だけでない。中村は、感情を送れないかと考えている。

「ある企業とのワークショップで、何を送れたら人の幸福につながるかを議論した際、ある女性から『感情』という意見が挙がりました。我々開発者にはない発想で、目からウロコでした。たとえば、昔の写真とともにそのときの自分の感情をデータで残しておけたら、振り返ったときにそれを思い起こせるし、感情ごと人に伝えることもできるかもしれません。それは不可能ではないと思っています。世の中にはそういう技術に取組んでいる人がおられるようなので、そういう方と一緒に開発を進めたいです」

携帯電話は、離れている人にメッセージを伝えるために生まれた。それがテキストを送れるようになり、絵文字という感情を付帯できるようになり、写真を送れるようになり、そして映像が送れるようになった。次に送れるものが何かを考えたときに行き着いたのが、体感や感情だったのだ。テレパシーやテレキネシスは、もはやSFの世界ではないかもしれないのだ。

NTTドコモは「あなたと世界を変えていく。」をコーポレートスローガンとして掲げている。人間拡張基盤™はまさにそれを具現化する技術だが、その先にどのような未来を実現しようとしているのだろうか。中村が思いを語る。

「通信は、社会課題のかなりの部分を解決できると思っています。たとえば、建設現場の建機を遠隔操作することで、業界の人手不足を解消します。リモートワークで地元ののびのびした環境で働き続けられれば、いつも家族と一緒にいられます。そうすれば家族構成に余裕ができてお子さんがたくさん生まれ、少子高齢化を改善するかもしれません。通信をいつでもどこでもいい性能で提供し、それに人間拡張基盤™を組み合わせれば、多くの社会課題を解決できると信じています」