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世界最大のNFTプラットフォームを席巻した日本人クリエーターとは?

2月の半ばから、NFTの世界で最大のプラットフォームOpenSeaで、日本人が活躍している。一般クリエイターの作品コレクションが、高名なアーティストやブランドを差し置いて、ランキング上位に登場している。一体、その日本人とは誰で、どんな作品なのか。また、NFTの世界で人を引きつけるためのコツは──。その立役者のお一人、はやっち(@HayattiQ)氏にお話を伺った。

NFTがどのようなものかは、フォーブスはじめ様々なところで記事になっているのであえて書く必要はないだろう。ただ、NFTで購入するものは何なのかはおさえておきたい。

NFTは複製不可能な特徴のあるデジタルデータで、データの所有の権利を得るものである。つまり「ここにあるデータは私のものです」と主張できる権利を購入することにすぎず、実際のオリジナルデータの所在は動かない。ちなみに、早晩、オリジナルデータも含めてブロックチェーン(フルオンチェーン)になるだろうから、ますますデータのありかは問われなくなることが予想される。

それにNFTは、ブロックチェーン技術の特徴を利用して、転売のたびにその金額の一部がオリジナルのクリエイターやコレクションの運営者に入る仕組みで構築されることが多い。だから、NFTを購入しても、アートのすべてが自分の自由になるものではない。

NFTの購入の概念は、持っていること自体に満足を感じる、もしくは持っていることを他人に誇ることが喜びになるといった、今までのアート購入の概念とは全く異なるものなのようだ。では、NFTとは「何を買う」ものなのだろうか。これは後に語っていきたい。

さて、はやっち氏は、今年2月14日に4000点の作品を1分間で完売させ、OpenSeaで週間ランキング2位を獲得したコレクション、Love Addicted Girlsを運営している。

では、具体的にどのようにコレクションが生まれ、どのようにこの完売劇が起きたのか? Love Addicted Girlsの例をもとに、記してみよう。まさに様々なサービスを駆使したエコシステムが活用されている。

まず、コレクションのアカウントをTwitterに立ち上げ、コレクション販売の予告プロモーションを行う。こんなコレクションが出るよ、というティザー告知を行うのだ。Love Addicted Girlsの場合は、運営者であるはやっち氏が今まで培ってきた人脈で、世界中のつながりのあるNFTのコミュニティに働きかけた。

同時にDiscordを利用し、コレクション名のコミュニティを作って、クリエイターと、発売されるコレクションに興味がある人をあつめる。これらのコミュニティの多くはDAOとして運営されている。

Duiscordコミュニティの盛り上げに成功すると、コレクション発売前に十分に「期待」が盛り上がり、実際に作品をOpenSeaのプラットフォームで発売すると作品が売れるという構図である。Twitter、Discord、そしてOpenSeaの組み合わせで、Love Addicted Girlsの場合は、2分で4000作品を完売することにつながった。

はやっち氏に次はどんな新しいコレクションを出すのか伺ったところ、まずは、発売されたコレクションのコミュニティを盛り上げていくのだという。コレクションを守り育てる必要があるのだ。

これはNFTが「期待を買う」ものだからに他ならない。「期待を買う」の真意は、NFTマーケットを盛り上げたい、という、制作者、運営者、購入者の一体となった参加意識だと読み解ける。

もちろん、何を「期待」するのかと言えばそれぞれの立場で自分の見る目の証明としての「値上がり」が「期待」されるわけだが、このために、まだ小さいNFTマーケットが世界で盛り上がることが大事なのである。新たな参入者が増えれば、結果として全体の値上がりが「期待」されるから、まずは、NFTのコミュニティをもっと盛り上げましょう、というわけだ。

したがって、NFT、コレクションは発売する前のみならず、発売された後にも「期待」を持たせ、コミュニティを大きくしていく運営が肝心となる。つまり「このコレクションは今後も何かをしてくれそうだ」と感じさせ続けるのである。

クリエイターも運営者も、コミュニティを構築することには積極的だ。転売のたびに彼らには利益がもたらされる。だからこそ、コレクション所有者のコミュニティを盛り上げ転売が起きやすくすることは大切なことなのだ。

さて、Love Addicted Girls は、発表されたばかりで、まだこれからの段階ではあるが、すでにいくつかの仕掛けを行っている。Discord上でのコミュニティの運営方法を見ていると、さながらソーシャルゲームの運営方法を見ているようでもある。

例えば一定のコレクション所有者は称号を得ることができ、コミュニティ運営への発言権が獲得できる。これはまるでソーシャルゲームの課金者に何らかのランクや称号が与えられる仕組みのようだ。なお、今後は、発表されたコレクションのキャラクターを使った漫画やアニメなどのマルチメディア展開や、ECサイトでの物販も視野に入れているとのことだ。

こうしてみていくと、NFTとは何を買うものなのか?との問いへの答えは、一つは「期待」であり、そしてもう一つは、「コミュニティ参加の権利」だと言えるだろう。ソーシャルゲームのような仕掛けと相まって、クリエイターと一緒のコミュニティに所属することの喜び、メンバーシップの喜びだと考えられる。例えば、NFTの所有者はクリエイターでなくても、今後生まれるアニメのストーリーなどに意見を言うこともできるかもしれないのだ。

もう一つNFTの概念の新しさとして、二次創作の流通に触れておきたい。二次創作はむしろ歓迎される。なぜなら、二次創作作品が生まれ、さらにはそれがメンションされると、オリジナルの価値が上がり、オリジナル作品の転売が起き、結果としてクリエイターへの金銭的な保証が自動的になされるからである。

真似されるほど価値がある、どんどん真似してもらおうじゃないか、というわけだ。実際に有名なクリエイターの二次創作に賞金を出す世界的なイベントなどもある。

これは、今までの著作権が、むやみに使わせないことで権利を守っていたのとは真逆の概念であろう。二次創作でもオリジナルのクリエイターに利益がある仕掛けになっているからこそ可能なことだ。

デジタルデータによる作品の見た目は、いずれにせよすぐにコピーできる。せっかく作った作品はできるだけ人に見たり聞いたりしてもらいたいのはクリエイターの本当の想いでもあろう。著作権の概念は「勝手に使わせないように守る」から「どんどん使ってもらってその利益をシェアする」と変えていくほうがクリエイターの性分にも合っていて目的合理的だ。

こうして著作権の在り方は大きく変わっていくことが予感される。そもそも転売や利用ごとにオリジナル関係者の収益が自動的に確保できるように設定しておけば、著作権団体を介する必要もない。

もちろんNFTのすべてが今最高なわけではない。まだ小さな新しいマーケットだ。ルールも共通化されているとはいえ脆弱である。実際にはルールを破り、例えば持ち逃げといった事件を起こす人もおり、玉石混交だ。一つのコレクションが簡単に数千万、数億円になる現在の状況は投機的すぎるとの見方もある。しかし、だからこそ優良なプロジェクト同士が国境を越えてつながりあい、このコミュニティを世界的に盛り上げていこうとする動きを大事に育てるのが大切ではないだろうか。

NFTとそれを保証するブロックチェーン技術はさまざまな限界を超えさせてくれる技術である。先ほど挙げた著作権以外にも、絵画のような空間芸術だけでなく、時間芸術が持ち運び可能になることも大きな利点だ。時間芸術とは例えば音楽や舞台などの聴衆とともに時の流れを過ごすことで成立する芸術を指す。

今までは、例えばコンサートなどはその時間が終わってしまえばおしまいで、空間芸術である絵画やアート作品のように、時間を超えて様々な人が作品を所有し、時を経るにつれてその価値が向上していく、という価値向上の仕組みはあり得なかった。日本でアートに比べて、音楽が芸術として脚光を浴びにくかった理由の一つにはこれがあると思っている。有体に言えば、値上がりが期待できないのだ。

しかしNFTはこの限界を打ち破ることができる。というのは、NFTはオリジナルの時間をパッケージ化して、その所有と移転を可能にする手法ともいえるからだ。「あの日のあのコンサートは私のもの」という具合に、時間のパッケージの所有権の売買が時を超えて可能になる。いわば、時間芸術の4次元化である。

今までマーケット性のまったくなかった時間芸術も保有し売買することができる手段が生まれ、アートのマーケットと同じように扱われれば、その可能性は大きく広がるだろうと考えている。そんなこともあってNFT×文化の今後にますます期待をしているのだ。