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メタバースへの期待高めるファッション業界、相次ぎ新戦略を展開

ラルフ ローレンは昨年12月、新たな店舗をオープンした。その所在地は、ミラノや東京、ニューヨークなどの大都市ではない。新店はより魅力的なオンラインゲーミングの世界、1日のサービス利用者(DAU)がおよそ4700万人にのぼるRoblox(ロブロックス)上にある。

24時間365日いつでも、世界中のどこからでもわずか数クリックでアクセスできるバーチャル・ストアには、冬物ならダウンジャケットやニットキャップ、レトロなスキーウェアなどが取りそろえられており、いずれも5ドル(約650円)以下で購入できる。

ラルフ ローレンのこの店舗は、ファッション業界がいかに「メタバース」について深く掘り下げて考えているかを示す一例だ。ブランド各社はデジタルにしか存在しない衣類やアクセサリーによって、実際の売り上げを伸ばそうとしている。

ばかげた話のようにも聞こえるかもしれない。だが、メタバースは新たな“ドル箱”になる可能性もあると考えられている。モルガン・スタンレーは、メタバースは向こう10年間に、高級品業界に500億ドル以上の事業機会を提供することができると予測している。

そこで改めて、メタバースとは何か、そしてファッション・ブランドが競ってこの領域に進出しようとするのはなぜかについて、考えてみたい。

メタバースとは何か──率直に言えば、それはまだ完全には明確にされていない。ただ、「より没入感のある三次元の体験を提供することができる、新たなバージョンのインターネット」になる可能性があるものだとされている。

Robloxをはじめ、オンラインゲームプラットフォーム上でその形を明らかにし始めている一方、実際のところはほとんど理論上のものだと言えるメタバースに、多くの人が注目する理由はどこにあるのだろうか。

それは、新型コロナウイルスのパンデミックとも関連している。公衆衛生のために導入されたさまざまな規則は、世界中の何百万もの人々の行動を制限し、オンライン上で過ごす時間を大幅に増やした。

米市場調査会社イーマーケター(eMarketer)によると、米国の成人が昨年、デジタル機器を使用した時間は1日あたり7時間50分で、2019年から15%増加していた。

一方、メタバースが大きな注目を集めた背景には、フェイスブックが昨年10月、この分野における主要なプレーヤーとなることを目指し、社名をメタ(Meta)に変更すると発表したこともある。メタはその目標の実現のため、今年は100億ドル、さらにその後はより多額の資金を投じる計画だという。ビル・ゲイツは、私たちは今後3年以内に、仕事のミーティングもメタバース上で行うようになると予想している。

パンデミックが続くなか、一時はファッションショーもオンラインに移行したブランド各社は、デジタルの領域で顧客とつながる方法について、さまざまな形を検討してきた。

その各社はいま、それぞれのメタバース戦略を競い合っている。バレンシアガはメタバース部門を創設。グッチ、バーバリー、ドルチェ&ガッバーナは、バーチャルファッションの販売を開始した。また、ナイキはバーチャルスニーカーブランドのRTFKTを買収している。

業界にとっての重要性

ブランドにとってメタバースが重要な理由のひとつには、それが次世代の顧客、つまりデジタルネイティブであり、ネット上で長い時間を過ごすことに慣れているZ世代の消費者をひきつける方法だということがある。

また、メタバースでの事業を展開することにより、非常に大きな利益を見込めるということもある。モルガン・スタンレーによると、メタバースは高級ブランドにとっての市場を2030年までに、10%以上拡大させる可能性がある。それにより、売上高は500億ドル以上の増加が期待できるという。

デジタルの商品であれば、各社は生産のために原材料を購入する必要がなく、世界各地に配送するためのコストなども不要だ。また、ブランド各社にはすでに、過去のコレクションからなる膨大なアーカイブがあり、それをデジタル領域で再利用することができる。さらに、一度販売して利益を得ればそれで終わりではなく、販売するたびに特許使用料を徴収することができる。

デジタルファッションのスタートアップ、ドレスX(DressX)によれば、デジタルファッションは本質的に、サステナブルだ。実際の服と比べ、デジタルの服1着を生産するのに必要な炭素は97%、水はおよそ4立法メートル少なくて済む。また、在庫処分のための値引き販売や寄付を行ったり、廃棄処分したりする必要もなくなる。

ただ、実在しない衣類に実際にお金を使う人は、どれくらいいるのだろうか──?オンラインで過ごす時間が長くなれば、自分のアバターの見た目が気になり始める人は多いだろう。Robloxによると、同社のユーザーの5人に1人は毎日、自分のアバターを更新しているという。

また、高級ブランドのアイテムも、オンラインであれば購入しやすいという面もある。ビバリーヒルズのロデオドライブにあるバレンシアガで、ランウェイで披露されたばかりの最新のスタイルを手に入れることができる16歳はほとんどいないだろう。だが、デジタル版をわずか数ドルで購入し、オンラインで友人たちの前で自慢げに披露することはできる。

一方、これを投資の機会とみる人たちもいる。NFT(非代替性トークン)で購入したファッション・アイテムの価値が高まれば、それを転売して利益を得ることができる。

ファッション業界はどう変わる?

ブランド各社は今後、商品をまずデジタルの世界で試験的に発売し、フィードバックを反映させた形で、実際の商品として販売することができるようになるだろう。また、より幅広いバックグラウンドを持つデザイナーたちが活躍できるようになるとも考えられる。

まだ正確に理解されていないことが多く、メタバースが“主流”になることはないとの見方を示す批判家たちもいる。だが、それでも世界最大規模のファッション・ブランド各社は確かに、メタバースを真剣に捉えている。そして、迅速に対応しようとしている。