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コントラストと彩度が改善、パフォーマンスも向上し実用レベルに!7.8型のカラーE Inkタブレット「BOOX Nova Air C」

Onyx Internationalの「BOOX Nova Air C」は、カラーE Ink電子ペーパーを搭載した7.8型のAndroid 11タブレットだ。KindleやKoboなど、特定の電子書籍ストアと紐づいたE Ink端末と異なり、Google Playストアからさまざまなアプリをインストールし、カラー表示で使えることが特徴だ。

 本製品は新たにカラーE Inkパネル「Kaleido Plus On-Cell ePaper」を搭載することで、従来の「Kaleido Plus」を搭載したカラーE Inkモデル「BOOX Nova3 Color」に比べて、色のコントラストが30%、彩度が15%向上したとされている(フロントライトオン時)。従来の最大の欠点が改良されたことで、実用性の向上が期待できる。

 今回は、国内代理店であるSKTから借用した製品をもとに、電子書籍ユースを中心とした使い勝手を、2021年に発売されたカラーE Inkの従来モデル「BOOX Nova3 Color」と比較しつつチェックする。

既存モデル「BOOX Nova Air」をベースにカラーE Inkを搭載
まずはカラーE Inkの従来モデル「BOOX Nova3 Color」との比較から。スペックは表記が統一されていない場合もあるが、原則そのままとしている。

 従来モデルとの最大の違いは、カラーE Inkにまつわる仕様だ。従来モデルはカラーとモノクロで解像度が異なっており、モノクロは一定のクオリティはあるものの、色が付いている部分は明らかにザラついている状態だった。

 本製品ではカラーも同じ解像度となり、モノクロとの差がなくなった。また前述のようにコントラストと彩度も、それぞれ向上したとされており、より自然な色合いに近づいている。実際の両者の相違についてはのちほど詳しく検証する。

 筐体は比較表を見ると薄型かつ軽量になったように見えるが、これは「BOOX Nova Air」「BOOX Nova3」というシリーズの違いによるものだ。バッテリ容量が大きく減っているように見えるのも同様である。基本的に、カラーE Inkパネルの進化と、筐体の小型化および軽量化には、相関関係はあまりないと考えてよさそうだ。

 デザインはモノクロモデルにあたる「BOOX Nova Air」と共通だが、大理石調のザラザラした塗装ではなく、黒を基調としたシックな色合いに改められている。金属素材が用いられているため、今回の比較対象である「BOOX Nova3 Color」の樹脂製ボディよりは高級感がある。また手の脂が目立ちにくいのも利点だ。

フロントライトが寒色に加えて暖色に対応したのも、従来のカラーE Inkモデル「BOOX Nova3 Color」との相違点だが、もともと色域が狭いカラーE Inkでは色味が飛んでしまうので、あまり実用性は高くない。このほかOSはAndroid 11ベースに改められているが、これは発売のタイミングによるもの(BOOX Nova3 Colorは2021年3月発売)だろう。

 モノクロモデル「BOOX Nova Air」と同様、スタイラス(BOOX Pen PLus)が標準添付され、手書きノート機能が利用できる。磁力で本体に吸着させることも可能だ。このほかページめくりに対応した2ボタンを備えたカバーがオプションで用意される。

設定やホーム画面まわりは同一。パフォーマンスは2~3割向上
セットアップは例によってBOOXならではの、省電力やスタイラスまわりの設定を済ませた上で先にホーム画面を表示させ、そのあとWi-Fiなどの設定を行なう手順になる。Google Playストアの利用にあたり、GSF IDの登録を行なわなくてはいけない点なども同様だ。初めてBOOXを使う場合は戸惑うが、特に難しいわけではない。

 ホーム画面以下の構成も特に変化はない。ソフトウェアv3.2の刷新によって一部は分かりやすく、逆に一部は分かりにくくなった印象はそのままだ。6つのカテゴリのどれをホームとして表示するかは指定できるので、筆者はGoogle Play経由で導入した電子書籍アプリを最速で起動できるよう、「アプリ」タブがホームになるよう指定している。

 なお以下に紹介するホーム画面以下の画像はデバイス側で取得したスクリーンショットで、実画面上の色合いとは異なるので留意してほしい。

カラーE Inkにまつわる部分は後述するとして、ざっと使ってみてまず感じるのは、従来のカラーE Inkモデル「BOOX Nova3 Color」よりも体感的にパフォーマンスが向上していることだ。そこでベンチマークも測定してみた。

 結論から言うと、総じて2~3割程度、パフォーマンスが向上しているようだ。「Sling Shot Extreme」では、従来モデルの「880」に対して、本製品は「1075」。またGeekBenchでは、従来モデルがシングルコア「231」マルチコア「804」なのに対して本製品はシングルコア「305」マルチコア「1116」となっている。

 この両製品、メモリは同じく3GBとされているが、GeekBenchでハードウェアのスペックを見ると、CPUは同じ8コアながら従来モデルが1.61GHz/1.8GHzだったのに対し、本製品は1.80GHz/2.02GHzと、全体的に底上げされている。このほかGPUもAdreno 509からAdreno 610へと刷新されている。

カラーはもちろんモノクロでも表示品質が大幅改善
では電子書籍を中心に、カラーE Inkの品質の違いを見ていこう。サンプルの電子書籍には、コミックはうめ著「東京トイボクシーズ 1巻」、テキストは夏目漱石著「坊っちゃん」、雑誌は「DOS/V POWER REPORT」の最新号を使用している。電子書籍アプリはKindleを使用している。

 新旧モデルを並べて比較してみると、本製品は明らかに彩度が上がっており、色の再現性も高くなっている。特に従来モデルで顕著だった画面全体の青白さが、今回のモデルでは解消され、自然な色合いに近づいている。

 また黒も引き締まっており、従来はブルーグレーのような色合いだったのが、本製品では「限りなく黒に近いグレー」と言っていいレベルの改められている。テキストの視認性も向上しており、従来は読みづらかった小さな文字も読みやすくなった。

 一方で、背景に色が敷いてある箇所でのテキストは、視認性は向上したものの、せいぜい30点がようやく50点になったというレベルでしかない。このほかグラデーション表示もイマイチなままで、このあたりは約1,677万色フルカラーの液晶ディスプレイとの大きな差だ(本製品は4,096色)。

 こうした特性ゆえ、写真の上にぎっしりと文字が載っているモノ系雑誌のような高密度のコンテンツとの相性は必ずしもよくない。その一方、図版とテキストがしっかり分離しているPC雑誌や技術書などは、7.8型という画面サイズであっても快適に読める。同じ雑誌類でもこうした向き不向きがあるのは、カラーE Inkならではだ。

 なおいずれの場合も、本製品のフロントライトの明るさを高くした状態であることが前提で、フロントライトが50%程度では、従来モデルと大差がないばかりか、逆に従来のほうがコントラストがはっきり見える場合もある。あくまでもフロントライトありきであることは把握しておきたい。

さて、本製品で特筆すべきなのはモノクロの表示品質だ。従来はモノクロの表示品質がモノクロ専用モデルに及ばなかったので、カラーの利用頻度が低ければ無理に導入しないほうがいいという結論になりがちだったが、本製品はモノクロ専用モデルと変わらないレベルにまで表示品質が向上している。走査線のような横線は多少あるが、見ていて不快になるレベルではない。

 また見開きでも一定のクオリティで表示できることから、ふだん読むコンテンツはほぼモノクロのみでカラーはごくわずかという場合も、本製品を選ぶ価値はある。残像もほぼゼロでノーストレスとあって、従来のBOOXシリーズのモノクロモデルや、KindleやKoboからの乗り換えも視野に入ってくるはずだ。

動作のパフォーマンスは、Kindle Paperwhiteのような専用端末との比較ではさすがに勝負にならないが、カラーE Inkの従来モデル「BOOX Nova3 Color」と比べると、タップしてからのレスポンスが速く、使っていてストレスが少ない。ページ書き替え時の白黒反転の挙動も、本製品のほうが速く完了するようだ。

 このほかWebページなどの縦スクロールについても、レスポンスが向上している。動画で見る限り、フレームレートが向上しているようにも見えるが、詳細は不明だ(以下動画は本体/アプリともにリフレッシュモードは「ノーマル」を指定)
リフレッシュ設定をいかに極めるかがカギ
表示品質およびパフォーマンスの向上は確認できたので、続いて設定まわり、とくに残像のリフレッシュ手順について詳しく見ていこう。本製品を使いこなす上では、ここが大きなポイントになる。

 BOOXを利用する上で欠かせないE Inkの最適化は、従来と同様、全体を「E-Inkセンター」で設定し、あとはアプリ単位で最適化するという二段構えだ。後者が優先されように見えて、なぜか前者が優先されるケースがあったりと、いまいち規則性が掴めないのは従来と同じだ。

 アプリごとに調整が可能なのは、細かくチューニングできて助かるという人もいるだろうが、これがデフォルトで80点なのをカスタマイズで100点にできるならまだしも、デフォルトは50点に満たず、また項目間の相関関係が不明なせいでどれだけ設定しても100%になったように感じられないのは、設定していて徒労感はある。

 このあたり、せめて80点くらいのアプリごとの最適化例をサイトで紹介するなどしてほしいものだ。その上で、80点のまま使うか、さらにチューニングするかをユーザーに任せるようにすれば、不満も出にくいだろう。

ところで本製品はコントラストが向上し、黒など濃い色の発色がよくなったせいで、適切な最適化設定を施さなければ、残像は従来よりもむしろ目立ってしまう。本製品は従来モデルと同様、毎ページごとにリフレッシュする設定にしたはずがなぜか反映されない症状があり、思うように残像が消えてくれない。

 筆者もこれらについては試行錯誤で、上に述べた「100%の正解」は持ち合わせていないのだが、ひとまずは毎ページごとに全画面が自動リフレッシュが行なわれるよう設定し、あとは必要に応じて手動でリフレッシュを行なうのがよいだろう。以下、おもにKindleアプリで、筆者が行っている設定を紹介する。リフレッシュモードは本体/アプリともに「ノーマル」を指定している。

 まず自動リフレッシュについては、アプリの最適化で「完全更新頻度」を1にする方法のほかに、設定の「システム表示」にある「フルリフレッシュの回数」を、デフォルトの5タップから1タップへと変更するのも、効果があるようだ。

 その上で、これらがうまく機能せず残像が目立つ場合には、手動リフレッシュを行なうことになる。手動リフレッシュの方法はいくつかあるのだが、画面下段の右側を上にドラッグする方法がもっとも手軽で、慣れてしまえば苦にならない。前掲のWebページのスクロール動画の最後で実際に行っているので確認してほしい。

 一方、これまでメインで用いられていたナビボールを使う方法は、二度のタップが必要になる上、ナビボール自体の残像が残ってしまうのでおすすめできない。E-Inkセンター右端にもリフレッシュボタンがあるが、これも呼び出しと実行で2度のタップが必要だ。

 このほか、「E-Inkセンター」右端のアイコンから呼び出す画面で「ドラッグ&リリース後の自動リフレッシュ機能」をオンにしておくと、画面を上下どちらかにスワイプして離すことでリフレッシュされるようになる。ブラウジングなどではこちらも効果があるようだ。これらの挙動が意図通りに行なわれるようになれば、実に快適に読書が行なえる。とはいえこれら設定は電子書籍アプリごとに行なわなくてはならず、またアプリ側の設定変更が必要な場合がある(例えば電子書籍側でページめくりのエフェクトがオンになっている場合は無効化する必要がある)ため、手間がかかることに変わりはない。

 いずれにしても、こうした設定はどれが正解と呼べるのかわかりにくく、きちんと再現できるよう手順をメモしたのに再現できなかったりと、首をひねることもしばしば。さらにオプションのカバーでページをめくった場合も、挙動が違って見える場合もあって混乱する。現行のUIになって以降、こうした不明瞭な挙動は増えている印象で、UIの進化が一段落した現在、そちらにより注力してほしいと感じる。

「カラーE InkのKindle」はいつなのか
以上のように、従来モデルと比べると、カラーはもちろんモノクロの表示品質も向上し、かつパフォーマンスも改善されている。さらにNova Airシリーズならではのページめくりボタンも利用できる付加価値もある。設定の苦労を厭わなければという条件付きだが、従来モデルよりお勧めできる要素は盛りだくさんだ。

 実売価格は従来モデルの5万1,800円から5万9,800円へと上がっており、またカバーは別売(7,800円)だが、その価値は十分にある。発売日から3年間、無償のファームウェアアップデート提供が保証されているのも大きい。品薄で入手困難なので、在庫があるのを見かけたらその時がチャンスと言えるだろう。

 ところで今回見てきたように、かなり成熟してきた印象を受けるカラーE Inkだが、ではなぜ大手から採用製品が登場しないのかというと、カラーE Inkのさらなる進化待ちだろう。先月には次世代の「E Ink Kaleido 3」が発表されているが、こちらは彩度向上のみならず、新たに10.3型や13.3型のモジュールも用意されているとのことで、大画面モデル登場の期待もかかる。