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1粒で2度おいしいGPU後付け対応!静粛性もコスパも高いミニPC「MINISFORUM B550」

 今やミニPCといえば……と言えるほど定番ブランドとなったMINISFORUM。その最新作がRyzen 7を搭載した「EliteMini B550」(以下B550)という製品だ。一見ごくごく普通のミニPCだが、ビデオカードを外付けできるという、極めて異色の機能を備えたモデルとなっている。今回製品

 今やミニPCといえば……と言えるほど定番ブランドとなったMINISFORUM。その最新作がRyzen 7を搭載した「EliteMini B550」(以下B550)という製品だ。一見ごくごく普通のミニPCだが、ビデオカードを外付けできるという、極めて異色の機能を備えたモデルとなっている。今回製品出荷に先立ってエンジニアリングサンプルを入手したので、レビューをお伝えしよう。

 現在は直販サイトで予約受付中。6月中旬の出荷を予定しており、20%オフの予約価格はCPU/メモリ/ストレージなしベアボーンが4万980円(通常価格4万8,980円)、Ryzen 7 5700G/メモリ32GB/ストレージ512GB SSDという最上位構成でも9万7,690円(同11万9,880円)と比較的リーズナブルである。

ドックが付属し、ビデオカードを外付け可能
  同社のミニPCはバリエーションが豊富だが、大きく分けてノート向けモバイルCPUを搭載したモデルと、デスクトップPC向けのソケット式のモデルの2種類が用意されている。B550は後者である。モバイルCPU搭載モデルと比べると筐体はやや大きくなるものの、概ね高性能だ。

 B550は、そのデスクトップ向けCPUを搭載した最新モデルとして登場し、「EliteMini X400」(Ryzen 7 PRO 4750G搭載)や「EliteMini X500」(Ryzen 7 5700G)の事実上の後継にあたる。本体サイズは約167×158×67mm(幅×奥行き×高さ)となっており、X500の154×153×62mm(同)からやや大型化している。とは言え、その違いは1cm程度なのでパッと見ただけではあまり違いが感じられないかもしれない。

 しかし中身的には大きく異なり、チップセットがAMD X300(事実上スーパーI/Oしかない)からAMD B550に変更された。同時にビデオカードを増設する機能も備わった。このため、PCとして用意されているRyzen 7 5700G/4700Gのほかに、GPUを内蔵していないRyzenを搭載することもできる(当然外付けビデオカードは必須となる)。この点はミニPCとして非常に画期的だと言える。

 ただし、ビデオカードを使う場合でも搭載できるCPUはTDP 65W以下のモデルに限定されているため、Ryzen 9 5950X/5900XおよびRyzen 7 5800Xはサポート対象外。事実上Ryzen 7 5700Xが考えうる最強のCPUとなる。

 以下に構成による価格の違いを表にしてみたが、当初よりミニPCとしての活用は考えず、Ryzen 7 5700Xやビデオカードなどを搭載するつもりがあるのなら、素のベアボーンを購入したほうがいいだろう。

インターフェイスやボタンはすべて後部に集約
  さてパッケージから見ていこう。同社製品、普段ならミニPCの名にふさわしい小さいパッケージが届くのだが、B550についてはふた回りほど大きい箱となっている。本体やACアダプタ、ケーブル/VESAマウンタ類といった同社製品にいつも付属しているものに加え、GPUを外付けにするためのドッキングステーションも付属しているのだから当然と言えば当然だろう。

 また、PC本体とACアダプタについては、あらかじめ専用のキャリングケースに収納された状態となっており、ユーザーに“持ち運ばせる”気満々だ。キャリングケースはオレンジ色をベースとしたハードシェルタイプで、なかなかスタイリッシュな見栄えで実用的である。

 製品ページではあくまでも持ち運び用のオマケとして位置づけられているのだが、普段はビデオカードをつけた状態で快適に作業し、客先などに赴く際には本体だけを取り外して、使い慣れた環境でビューワーとして使ったり、若干の修正を加える程度の作業を想定しているのかもしれない。要は、ノートPC+Thunderbolt 3のビデオカードドックの置き換えという提案だ(キーボード/マウス/モニターは別途必要だが……)。

 さて本体だが、先述の通り既存のX500から一回り大きくなっている程度ではあるのだが、インターフェイスの配置などは全く異なる。X500は前面/側面/背面にインターフェイスやボタン類をバラけているのに対し、B550はすべて背面に集中させているのだ(CMOSクリアボタンを除く)。しかも電源ボタンを含めてである。

 本製品は外付けビデオカードを取り付ける際に、大多数の場合は外付け電源ユニットを本体前面に配置することになるだろう。そのため、電源ユニットと電源ボタン/インターフェイスの干渉を避けるよう、あえてすべて後部に集中させていると思われる。

 その背面のインターフェイスだが、USB 3.1×5(うち1基はType-C)、HDMI出力×2、DisplayPort、2.5Gigabit Ethernet、音声入出力と比較的シンプル。ちなみにX500は、CPU実装面と逆の面にインターフェイスコネクタを装備していたため、コネクタはすべて逆さまの向きとなっていて、若干とっつきにくかったのだが、B550はCPUと同じ面にコネクタが実装されたため、一般的な自作PCのマザボと同じ要領でケーブルを接続できるようになったのはうれしい。

 ちなみにX500ではデュアル有線LANの装備も特徴の1つとして挙げられるが、B550ではシングルになった代わりにHDMI出力が1基増えた。確かに多くのシーンにおいて、デュアル有線LANよりもディスプレイ対応が多いほうがありがたいだろう。

非常に静粛性に優れたファン。内部へのアクセスも容易
  B550の電源を投入し、しばらく試用して驚いたのは圧倒的な静音性だった。アイドル時はほとんどのシーンでファンは回転せず、回り出し始めてもごくわずかな風切り音と軸音に収まっていて、耳を近づかない限り聞こえない。フル負荷時でも気になるような騒音を出さないのが素晴らしい。

 気になる温度だが、室温23℃の環境でCinebench R23を連続して20分間走らせてみたが、69.9℃をピークに、67℃前後で推移した。ファンの回転数も1,400rpm前後で安定している。デスクトップ向けでは比較的大人しい65WのCPUだと言えども、ここまで温度と騒音を抑え込んでいるのは素晴らしい。

 実際に本体を分解してみたが、高さを抑えながらも多くのフィンを備え、ヒートパイプも組み合わせた広い放熱面積を持つヒートシンクが採用されていた。このサイズでここまで大型のヒートシンクを採用できるのは、当初からこのPCにだけ搭載されることを想定したカスタム品ならではこそ実現できるものだと言っていいだろう。

 エアフロー的には、本体上部から吸気して、左右のメッシュおよび後部インターフェイス上部の排気口部分から排気を行なう仕組み。回転数がそこまで高くないため、手を排気口やメッシュ付近にかざしても温かい空気がゆっくり出てくるだけであった。

 ちなみに今回はグリスがかなり強くCPUに密着していて、無理にCPUクーラーを取り外そうとすると“スッポン”してしまう危険性があったため、これ以上の分解はしていないが、マザーボードの端近くにB550チップセットらしきチップの実装が見えた。このことからも従来のX400/X500とはまったく異なるマザーボード構成であることが窺える。

 こうした大人しさとは裏腹に、本体上部のブルーLEDのストライプはかなり輝度が高く、視界から外れていてもちょっと鬱陶しく感じられてしまうのがやや残念。ソフトウェア的にオフにする機能はないのだが、本体底面のネジを外せば、無線LANアンテナ近くにLEDのコネクタが見え、これをサクッと外してしまえば光らなくなるので、許容範囲だろうか。

 ちなみに本体内部へのアクセスはネジ4本外すだけで良いが、裏面でできることはストレージの増設(M.2 SSDが1基空き、SATA対応2.5インチシャドウベイが1基空き)のみ。メモリの増設やCPUの換装はマザーボードを取り外す必要がある。マザーボードを取り出す際は、あらかじめ無線LANアンテナとLEDケーブルコネクタを外す必要があるため注意したいが、構造的にはよく考えられており、メンテナンス性は非常に高いと言えるだろう。

ビデオカードドックのアイデアはいいが、電源回りは注意が必要
  さて注目のビデオカードのドックである。ドック自体の仕組みはシンプルで、マザーボードから伸びたPCI Express x16をそのままドーターボードを介してビデオカードを接続する仕組みである。このギミック自体はIntelの「NUC 12 Extreme Kit」などと似通っている。

 ドック自体はベース部と、ビデオカードのブラケットを固定するための部分が別部品としてパッケージに入っているので、ユーザー自身が組み立てる仕組みだ。また、電源回りも工夫が入っていいて、本体単体では付属のACアダプタを利用するが、ビデオカードを接続する際はATXまたはSFXといった汎用電源をユーザー自身が購入し、ATX 24ピンとCPU用12V 4ピン端子を接続しなければならない。なお、ATX/SFX電源使用時はACアダプタを接続しないようにとの注意書き(同時接続するとショートの危険性ありとのこと)が2カ所に書かれているので、必ず外しておく。

さて問題はこの「電源」である。B550には、プラグイン式電源から短いケーブルで接続できるよう、ATX 24ピンケーブルとCPU補助用12V 4ピンケーブル、PCI Express用ケーブルが付属しているのだが、そもそもプラグイン式電源はモデルやメーカーによってコネクタの形状が異なるので、そもそも挿さらないという事態に陥る可能性が大きい。

 たとえば今回、Cooler Masterの「V850」というSFX電源を用いたのだが、B550付属の24ピンは電源側が24ピンがストレートに並ぶタイプであり、V850は上下2段に分かれているので、B550付属のケーブルは挿さらず、V850付属のケーブルを使用する必要がある。

 一方で12V補助用のケーブルは、V850付属のケーブルだとEPS 8ピンとして左右1セットで使うことが前提のラッチとなっており、左側に寄っていて、B550本体のケースに干渉して挿入できない。ということでB550付属のケーブルを使えばいいはずなのだが、大抵の電源はピンアサインを公開していないので、自身でケーブルを端から端まで辿って見比べて、ATX標準のピンアサインと比較しながら「これがGNDで、これが12Vだろうな……」と分析しながら接続する必要があった。

大抵の場合、ピンアサインが異なれば挿せないようになっているはずなのだが、万が一ピンアサインが異なっているのにもかかわらず挿せてしまったら大変だ。このあたりを本気にユーザーに使わせたいなら、電源の互換性リストを公開するのが一番いいと思う。

 ちなみにB550付属のPCI Express用電源ケーブルは、V850には挿せなかった。今回はV850付属の電源ケーブルを利用した。もっとも、ケーブルについては、まだ分析すればなんとかなった。ATX 12Vのラッチも最悪削ればどうにかなるだろう。しかし難しいのが電源の設置場所だ。

 MINISFORUMが公開したCGでは、あたかもドックに電源が固定できるように見えるのだが、実際はそのようなスタンドやブラケットはないので、置ける場所に適当に置くしかないのである。移動は不便だし、長いケーブルだとかなりかさばってしまう。太い電源ケーブルも前出しになるだろう。せっかくデザイン的にかっこいいGPUや電源を使って見せびらかそうとしても、B550だけでは美しくビルドすることは不可能で、別途ユーザーが工夫する必要があるのだ。