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Web3に対する牽制か? ツイッター買収のイーロン・マスクがめざすアルゴリズム公開の真意

筆者は、普段ビジネスでソーシャルメディアマーケティングにどっぷりと浸かっている。そんな人間として、イーロン・マスクのツイッター買収でとりわけ興味深いのは、彼が「アルゴリズム」を公開すると言っていることだ。 グーグル、フェイスブック、インスタグラム、ツイッターなど、ウェブの巨大情報プラットフォームには、すべてアルゴリズムが導入されている。ここでいうアルゴリズムとは、「誰にどの情報を届けるか」を決定するルール(より正確には計算手順)のことだ。 各ユーザーにより有益(だと感じてもらえるよう)な投稿やウェブページなどの情報を届けるために、ルールに基づき、各情報の届きやすさがスコアリング(ユーザーの属性や行動を点数化し重要度を評価)される。 「アルゴリズム公開」が意味するもの 例えばグーグルでは、あるキーワードで検索されたときに表示される結果の順番は、その検索したユーザーにとって最も有益であるとアルゴリズムが判断したものから順に並ぶようになっている。 これはツイッターでも同じことで、投稿されたツイートが得ている反応、ツイートの内容の話題性、投稿からの経過時間、投稿者と投稿閲覧者の関係性、ネガティブな反応をどれだけ受けているかなどさまざまな要素がアルゴリズムという名のルールに基づいて評価され、投稿閲覧者のツイッターのタイムライン上でツイートの表示順位が決定する。 ただしルールの正確な内容は、どのプラットフォーマーも外部からは窺い知れないブラックボックスにしている。これは当然の措置だろう。プラットフォーマーはユーザー獲得のためにはユーザーベネフィットを最大化する必要がある。そのためにアルゴリズムを決定している。なので、その内容が筒抜けになり、裏をかかれる形でハックされると、元々のプラットフォーマーの意図が台無しにされるおそれがあるからだ。 有益性ではなく、上手にアルゴリズムをハックしたスパム情報ばかりがプラットフォームにあふれると、ユーザーが逃げてしまう。実際にそのようなハックは何度も行われていて、それを察知するたびにどのプラットフォーマーもアルゴリズムを改変して「穴」をふさいできた。 そんな世の中でアルゴリズムを公開してしまうと、当然アルゴリズムハックが横行する。言ってみれば「脱法者の天国」になるわけだ。 では、「アルゴリズムの公開」を宣言するイーロン・マスクは、そのような事態が望ましいと言っているのだろうか? おそらくそうではないだろう。完全に公開するということは、脱法的な行為を行っている者の脱法性をも白日のもとに晒されるということなのだ。 つまり、ユーザー同士の相互監視のメカニズムが働けば、例えばアルゴリズムハックでより多くの露出を狙っても、フォローを外されたり、スパム報告をされたりすることで、狙ったのとは逆にアルゴリズム的な低評価をもらうリスクもあり得る。そのような状況になれば、公開したほうがむしろ安全だというわけだ。 独裁的権力を持たないWeb3 ところで、上記のメカニズムからブロックチェーンを連想する人たちもいるのではないだろうか。相互監視によって、不正が防止されるというシステムは、まさにブロックチェーン的だ。 ブロックチェーンはこれから世の中に広がっていくと言われているDAO(「ダオ」or「ディーエーオー」と読む)の基礎となる技術だ。DAO(Decentralized Autonomous Organization)とは、直訳すると「脱中央集権化された自律的な組織」。筆者が重要だと思うニュアンスは、「脱中央集権化(Decentralized)」という部分だ。そして、そのように脱中央集権化されたインターネットは一般的に「Web3」と呼ばれている。 アルゴリズムの話にもどるが、プラットフォーマーはユーザーベネフィットを考えたアルゴリズムを運用していると言いつつも、やはりその恣意性については以前から批判されてきた。 結局、ブラックボックスであるから、なんでもプラットフォーマーに都合のよいことはできてしまう。例えば、自社の批判を潰すこともできるし、ユーザーを「いいね!」をもらうことや自己承認欲求を満たすことで「中毒」にさせ、プラットフォームに依存させて搾取することも、スポンサーへの利益誘導も可能だろう。 こういう話は、疑惑レベルの話から、内部告発者が実際に証言するというかなり具体的なものまで、数多く存在している。これはある種「Web3」の一世代前のインターネットの姿、つまり現在のウェブの中心的構造である「Web2.0」の負の側面とも言えるものだと筆者は解釈している。 「Web2.0」とは、2005年頃に流行した概念で、「プラットフォームとしてのウェブ」が次世代のウェブの姿だと予言したものだ。実際にその後、フェイスブックやツイッターなど巨大プラットフォーマーが次々に現れ、基本的に無料でユーザーにウェブ上のプラットフォームを提供し、相互のコミュニケーションを活発にし、情報の受発信を民主化してきた。 そのおかげで、かつてないほど筆者をはじめ私たちは自由を享受していると言えるのだが、一方でその自由の命綱は、私企業であるプラットフォーマーたちにがっちり握られているとも言える。 グーグル、ユーチューブ、インスタグラム、フェイスブック、アンドロイド、iPhone、そしてツイッターは、いまやなくてはならない公共インフラで、私たちの自由の源泉でもあるのだが、しかしこれらを政府のように投票で選ぶこともできなければ、影響力を及ばすだけの株もほとんどのユーザーは持ち合わせていない。 なくては生活もままならないほど依存しておきながら、それがいざ独裁化しても、それを止めるだけの力をどのユーザーも持っていないというような極めて危険な「中央集権」的状況にあるのがWeb2.0の実態なのだ。 実際、プラットフォーマーの恣意性を批判しているユーザーも、プラットフォーム自体から降りることはなかなかできないし、そのプラットフォーム内でプラットフォーマーを批判しているのが現況だ。 そんな非民主的な土台に成り立つ、危うい民主主義を、脱中央集権化することでアップデートしようと出てきたのがWeb3であり、その内容は例えばブロックチェーンであり、DAOなのである。 DAOがなぜ民主的なのか。それは、Web2.0におけるプラットフォーマーのような独裁的権力を持つ主体が存在しないからである。具体的には、予め定められたルールに従うことを合意した者だけが集まり、誰の恣意性も受け付けないルールのもと、意思決定やトランザクション(取引、コミュニケーション、執行、記録などの行為)が行われるからだ。 予め定められたルールに合意した者だけが集まる組織(「コミュニティ」と言い変えても、「プラットフォーム」と言い換えても、「国」と言い換えても成り立つ)だから、恣意的な権力は存在しない。このような状態が実現した未来のウェブは、「Web3」とも言われているのだ。 イーロン・マスクに話を戻すが、実のところ、彼はWeb2.0的なプラットフォーマーであり続けたまま、アルゴリズムを公開することで、疑似Web3的な状況をつくり出そうとしていると言えなくはない。 とはいえ、仮にマスクの試みが成功したとしても、それはあくまで「疑似Web3」的な状況にとどまる。なぜなら、本当のWeb3的な世界では、彼のように極端に成功して、国家を凌駕するようなスーパーパワーを持った個人は影響力を行使できなくなるからだ。 マスクはじめ、1990年代後半から始まったインターネット関連の起業で、歴史上類をみないほど短期間かつ絶大な富や権力を得てきた起業家たちにとっては、Web3は衰退の始まりにも見えるムーブメントなのだ。 Web3がうまく行く前に、その本来持っている価値を相対的に減少させることで、自己の優位性を維持しようとする動きの一環が、今回のマスクのアルゴリズム公開という発言には隠れているのではないだろうか。 マスクのツイッター買収に関しては、米国政府や金融資本からの横槍が入っているし、よしんば買収に成功したとしてもアルゴリズム公開も本当にやるかは今後の流れ次第なところではあるだろう。 しかし、Web2.0における既得権益層が、自らの権益基盤へWeb3を部分的に実装することで権益維持をはかるという動きは、今後もいろいろな形で出てくるのではないかと筆者は予測している。