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「AppleとGoogleはモバイルブラウザ市場で反競争的行為を行っている」とイギリスの規制当局が報告

近年は大手テクノロジー企業に対する独占禁止法違反の取り締まりが厳しさを増しており、規制当局はさまざまな分野において独占禁止法違反の可能性を調査しています。そんな中でイギリス競争・市場庁(CMA)が、「モバイルブラウザ市場をGoogleとAppleが占有している」として、GoogleとAppleへの調査を計画していると発表しました。Appleに対しては、さらにクラウドゲームサービスの制限に関しても調査が検討されています。

AppleとGoogleはそれぞれiOSとAndroidという2大モバイルOSを展開しており、モバイルOS市場には他に強力なライバルが不在であるため、規制当局は以前から「AppleとGoogleはモバイルOSの優位性を生かして競争を制限し、反競争的行為を行っているのではないか」と疑ってきました。

CMAは1年間にわたりAppleとGoogleのモバイルエコシステムについて調査した結果を発表し、両社がモバイルエコシステムにおける複占的活動を行っていることがわかったと報告しています。CMA長官を務めるAndrea Coscelli氏は、「人々が携帯電話をどのように使うかに関しては、AppleとGoogleがすべてのカードを保持しています。両社の多くの製品とサービスは優れており、モバイルエコシステムを強力に支配しているため、競合他社を締め出すことが可能です。これによりイギリスのテクノロジー企業が抑圧され、選択肢が狭められています」とコメントしました。

CMAはすぐにでも両社のモバイルエコシステムに介入しなければ、さらに市場支配力が強化され、競争と市場革新のインセンティブが制限されると危惧しています。そこでCMAは、記事作成時点での権限を使用してすぐさま介入できるターゲットとして、「モバイルブラウザ」と「クラウドゲームサービスへのアクセス」を挙げています。

モバイルブラウザにおいてCMAが注目しているのが、ウェブページのデータを解釈して画面へテキストや画像を表示するHTMLレンダリングエンジンです。CMAの調査によると、2021年のイギリスにおけるモバイルウェブブラウジングの97%が、AppleまたはGoogle製のレンダリングエンジンで行われているとのこと。

特にAppleはウェブアプリのエクスペリエンスを制御するため、WebKit以外のレンダリングエンジンを使ったブラウザを禁止しています。CMAは、この制限によってライバルのブラウザが速度や機能性の面でSafariを上回ることが難しくなっており、iOSで動作するモバイルブラウザの開発インセンティブが抑制されていることを懸念していると述べています。また、AndroidにはChromeが、iOSにはSafariがプリインストールされているということも両社の優位性を高めているとCMAは主張しました。

また、AppleのアプリストアであるApp Storeにおいて、クラウドゲームサービスがガイドライン違反とされている点もCMAは問題視しています。Appleはクラウドゲームサービスについて、配信されるゲームタイトルをApp Storeが個別に審査することができないため、App Storeでの配布を認めることはできないと主張しています。

AppleがProject xCloudやStadiaといったクラウドゲームサービスはApp Storeのガイドラインに違反しているためiOSでは動作しないと発表 - GIGAZINE

CMAは「ウェブアプリと同様にクラウドゲームサービスは発展途上のイノベーションであり、個別ダウンロードではなくストリーミングされる高品質ゲームへのモバイルアクセスを提供します。ゲームアプリはAppleにとって重要な収益源であり、クラウドゲームはアプリ配布におけるAppleの強力な地位に対する本当の脅威となる可能性があります。Appleはこの分野の成長を妨げることで、モバイルユーザーがクラウドゲームのメリットを逃すリスクを冒しています」と指摘しています。

CMAは今回の市場調査結果に基づいて2022年7月22日まで協議を続け、競争上の懸念についてさらなる評価を行い、どのような対処が適切かを判断するとしています。その結果、AppleとGoogleに法的拘束力のある命令を出す可能性もあるとのことです。