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「実用型」量子コンピューター開発、米Atlantic Quantumが12億円調達

本格的な量子コンピューターが実現すれば、気候変動対策から創薬まで、さまざま用途でめざましい進展がもたらされると見込まれている。これまでに、D-Waveやリゲッティ、IBM、グーグルなどが開発した量子コンピューターが稼働しているものの、いずれも実際的な問題については従来のコンピューターより速く解けないのが現状だ。実用的な量子コンピューターが登場するのは約10年後、あるいはもっと先になるとみられている。

今年、バラス・カナン、サイモン・ギュスタブソン、ヨンギュ・ソン、ジョナス・バイランダー、ウィリアム・オリバー、シェリーン・シャーマク、ティム・マンクによって設立されたアトランティック・クォンタム(Atlantic Quantum)は、そうした実用面の処理速度を高めた量子コンピューターの開発に取り組むスタートアップだ。

同社は21日、シードラウンドで900万ドル(約12億3000万円)を調達したと発表した。ラウンドはマサチューセッツ工科大学(MIT)発のスタートアップ支援機関であるジ・エンジン(The Engine)が主導し、起業家のトーマス・タルや、グラスウィング・ベンチャーズ、フューチャー・ラブズ・キャピタル、E14などが参加した。

アトランティック・クォンタムは、計算速度遅延の主な原因となるエラーを減らすため、従来の量子コンピューターよりもコヒーレンス時間(量子重ね合わせ時間)が長いハードウェアの開発に注力する。最高経営責任者(CEO)を務めるカナンによると、同社では量子ビットに、大半の企業が採用しているトランズモン型ではなくフラクソニウム型を採用。フラクソニウム型量子ビットはトランズモン型に比べ動作周波数がかなり低いため、コヒーレンス時間を延ばしたり制御統合を簡素化したりできるという。

ただ、こうしてコヒーレンス時間を延ばしても、やはりほかの量子ビットの場合と同様にエラーは起きやすい。そのため同社では、エラーが生じた際にそれを訂正できる量子ビット向けソフトウェアの開発にも力を入れている。

アトランティック・クォンタムは現在、本社をマサチューセッツ州のケンブリッジに置き、システム統合やコンピューターの組み立てに特化したオフィスをボストンに構えている。ハードウェア向け半導体も自社で手がけ、その製造はスウェーデンのチャルマース工科大学の准教授でもあるバイランダーが率いる予定。今回の資金調達により、ケンブリッジとボストンの両エリアでチームの拡充が可能になる見通しだ。

ジ・エンジンのジェネラルパートナーでアトランティック・クォンタムの取締役にも就くことになったマイロ・ワーナーは、アトランティック社への出資に関心をもったのは、オリバーが率いていたMITの「並ぶもののない」量子コンピューター研究所が同社の母体だったからだと説明し、「すばらしい創業チームを支援できることになり、たいへん興奮している」と述べている。