デジタルビデオカメラのREDが、RAW動画キャプチャー技術特許に関する米Appleからの異議申し立てを退けたことをあきらかにしました。Appleは、REDCODE RAW形式でのキャプチャーに関する部分と、RAWデータの内部圧縮処理に関連する技術が、それまでに存在した他の特許技術に強く関連しているために無効だと主張していました。しかし、米国特許商標庁は「Appleの主張は合理的に認められる可能性を示していない」との裁定を下したということです。
REDCODE RAWというのは、カメラセンサーから書き出されたいわゆる"生"のRAWデータではなく、目で見てわからない程度の軽い圧縮をかけたファイルとして出力することで利便性とのバランスをとったデータ形式です。実際にはRAWではないため、"半生"とか"圧縮RAW"などという矛盾した呼び方もされています。
Appleの主張は冒頭に記したとおりですが、ProRes RAWの記録のしくみが「メモリ上に映像データをキャプチャ、圧縮、保存するビデオカメラにおいて、センサーが出力したRAWデータを保存する際にREDの技術に関連する」とApple Insiderは説明しています。おそらくは、そこで発生する特許使用料の絡みを回避したい意図がAppleにはあると考えられます。
一方REDのほうはといえば、ソニーからも2013年に同様の訴えを起こされたものの、そのときもこれを退けています。今回の勝利は、その特許の有効性にさらに太鼓判を得た格好になったと言えるかもしれません。なお、RED社長のJarred Land氏はいまもAppleとは友好関係にあり「リアルタイムR3D再生のためのMetalフレームワークへのRED技術の統合は順調に進んでいる」と述べています。
今回は証拠不十分とされたAppleですが、再度何らかの証拠をそろえて再び申し立てをする可能性があるかはわかりません。動画編集界隈では、ATOMOSのような外部RAWレコーダー機器を開発する企業はREDからProRes RAWのライセンスを得ています。一方、豪映像機器メーカーのBlackmagic Designは、REDの特許に抵触しない独自のBlackmagic RAWを開発して展開しています。
2019-11-12 04:21:33