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楽天無料サポーター制度は何が問題なのか? 1カ月使ってみた感想

楽天モバイルがMNOとしての歩みを始めてから実質1カ月。楽天無料サポーター制度と言う形でスタートしたわけですが、仮に10月にMNOとして有料サービスを開始していた場合は多くの苦情と総務省の指導があったと筆者は考えます。と言うのも楽天無料サポーターとして利用してみると楽天モバイルが主張する「基地局設置の遅れ」だけの問題ではないと感じるからです。

○運よく当選というのが最大の実感

楽天モバイルが「5000人の無料サポーター募集」という発表を楽天クリムゾンタワーで行ったのは9月6日。私も会場で発表を聞いていた一人です。発表を聞いた率直な感想は「この会場の中で当たるのは何人かなぁ?」というものでした。

良くも悪くも発言力があり、かつ各社のサービスを熟知している「携帯電話ライター」こそモニターを行う必要があると感じていたのですが、蓋を開けてみると親しい携帯電話ライターは軒並み落選していました(彼らが申し込んでいないとは思えませんし、当たった人から借りて記事にしている方も拝見します)。

比較的、「携帯電話ライター」ではない私には、11月11日に「当選メール」が届きましたが「申込みメールは最大1週間遅れる」とのこと。確かに手続きを分散化したいのは判りますが、欲しい機種が手に入らない可能性が出てきます。私の元には15日に手続きメールが届きましたが、欲しかったOPPO renoA 128GBは当然ながら品切れです。

問い合わせのチャットは繋いだとたんに「renoA(ブラック)の再入荷は19日」と出てきたので、オペレーターに接続することなく目的を果たしたのですが、この時点でサポートは大混乱だったようです。お詫びはWebサイトに載っていましたが、このような重要な情報はメールでお知らせするべきだったと感じました。

11月18日の深夜に申込みを行いましたが、申込み完了したはずなのに申込み画面がさらに出てきたというのも特徴的です。報道で知っている方もいると思いますが、この時点での楽天モバイルは5回線まで申し込みができ、知らずに2回線目の申し込みをした方もいたようです。

もう一つ「ン?」と思ったのが支払い方法です。MNVOは支払い経費を抑えるためにクレジットカードのみという扱いが一般的です(他社のMVNOから「(支払い不能な場合は担当社員のコストを考えると)請求しない方が安上がりだがモラルハザードになる」ということを聞いています)。ところが楽天モバイルは支払いに口座振替が用意されており、MNOとしての考えを改めていると感じました。一方で第三者名義のカード払いというメニューも用意されており、これは「第三者名義の支払いはできない」というクレジットカード決済会社の方針を考えるとかなり疑問なメニューが用意されているのが気になりました。

○屋外に「魔のスポット」が点在?

さて、楽天モバイルは現在いわゆる東名阪エリアの一部にしか自社ネットワークを用意していません(10月末時点で2000超の基地局が稼働中と発表されています)。それ以外はauローミングで対応するのですが、現時点で最大の問題だと思うのがその自社エリアです。

現在の楽天モバイルの基地局では地下鉄など地下施設では、無線が届かないエリアがどうしてもあります。そこで楽天モバイル自社でのエリア内でも、これらの地域ではauのローミングを使っています。

屋外はおおむね楽天モバイルによる基地局がカバーしており、それなりに使えます。ただし、三大キャリアなら屋外の幹線道路沿いならアンテナ4本当たり前の所、アンテナ2本になるケースも経験しています(つまり、自室で快適に使えるかどうかは運次第ということになります)。

屋内で楽天モバイルの基地局が届くところは少ないものの、auのローミングでカバーしています。東京ミッドタウンの地下はおおむね楽天モバイルの基地局でカバーしているようで、日比谷線の東京メトロ構内に行く直前まで楽天モバイルの基地局で通信できていました。

問題はキャリアをまたがるハンドオーバー(基地局移動)という考えが現在のLTEの規定にはないので、移動しながらの通話を行い楽天モバイル⇔auの基地局移動があると通話が途切れてしまうのです(今後の規定で可能になるようです)。

移動しなければ問題ないという考えもありますが、現実はそうではありません。先日品川セントラルガーデンでゲームをしていました。移動していないにも関わらず通信が行えなくなりゲームに支障が出ました。自宅近辺でも「大手幹線道路と幹線道路の交差点近辺」で同じような状況に遭遇しています(この原稿の入稿直前に再度確認しましたが、やはり問題があります)。数分間モニターしていたのですが、電波が受け取れなくなってアンテナ0本になっています。

メジャーな場所はどうでしょうか? 先日青山スパイラルホールに立ち寄った際に、路上に出たら繋がらないという事態に遭遇しました。表参道のど真ん中で繋がらないというのは問題だと思います。この繋がらない状況はおそらく移動してアンテナ状況が大幅に変わらないとずっと継続していると思います。同じような状況はビル内でも起きました。なお、地下鉄から地上に出る場合などはauと楽天の電波が切り替わるにも関わらず切替はスムーズなので「地上のごく一部」だけの問題だと思われます。

通常のデータ通信の場合「魔のスポット」を短時間で通り過ぎると気が付かず、立ち止まっていないと問題が発生しないというのも厄介なところです。電話の場合は途中で音声が流れないので状況がわかりやすいのですが、「歩き電話」をしないと気づかないでしょう。

電波強度が弱い問題は今後基地局の設置が進んで解決すればよいのですが、10月末で稼働している基地局は2000で、来年三月末(≒楽天無料サポータープログラム終了)で2300局が稼働する予定となっています。正式サービスまでに追加される基地局でどこまで改善できるのかやや心配です。

○不具合に対する姿勢に不満

「楽天モバイル無料サポータープログラム」は基地局の設置遅れで行うことにしたという説明でしたが、それだけではないというのが実感です。

たとえばプログラムのなかでアンケートに答える必要がありますが、アンケート依頼はアプリのトップページの下の方の「契約者情報」から、さらにお知らせ設定というメニューの中にあり、契約時に「お知らせを受信する」という項目にチェックを入れおかないとアンケート依頼メールが来ません(楽天市場のお知らせのようにメールがバンバン届くイメージがあったので入れずに契約しましたが、実際には営業メール等は来ないようです)。

当初、この「チェックを入れないとダメ」というのは、(楽天市場/楽天カードのボーナスポイント付与キャンペーンでよくあるように)獲得条件の所に書いてあるだけでした。これは問題になったのか、今はFAQに追加されていました。

回線以外にも細かな問題が残っています。たとえば電話番号を相手に伝えたい場合は「発信者番号通知」をONにするか186を付けて発信、逆に電話番号を相手に伝えたくない場合は「発信者番号通知」をOFFにするか184を付けて発信することになっていますが、Webやmy楽天アプリから「発信者番号通知」をONにしても実際にはOFFになっているという問題がありました。これは「βサービスだから」といういいわけでは納得いかない問題だと思います(その後、これは改修されましたが、FAQを見ると今度は発信者番号の通知・非通知が変更できない問題が発生しているようです)。

my楽天アプリからチャット問い合わせできる機能がありますが、これも当初の2~3週間は使い物にならない状況でした。また、サポートに電話が繋がらないという問題がありましたが、これが解消されたということはWebで掲示されているだけで、ユーザーにはプッシュで通知されていません。このあたり、βサービスだからこの程度でいいと考えているのか? と感じます。

つまり「既知の問題点」を「実質βテスターであるサポーター」に「積極的に通知していない」ことが気になります。

先の発信者番号通知も電話して確認した時点でサポートは把握していました。チャットサポートに関しても「Webのチャットで行ってほしい」という回答です。既知の不具合は公開して、余計な問い合わせを減らしたいと思うのですが……。せめてFAQに「現時点での不具合」等の項目がまとまっているといいと思うので、用意してくれることを期待したいです。

利用可能エリアに関しても、「うちの近く」はまだマイナーな場所かもしれませんが、先に書いた「青山スパイラルホール前の路上」で接続できない状況になって、サポートに連絡したことがあります。この際の回答は「そのあたりで通信が悪いのは把握している」といいます。

そうなると、「現在のサポートマップを本当に信じてよいのか?」と感じます。サポートマップはあくまでシミュレーション上のもので問題がありえると言っても、この状態で正式サービスに移行した場合、どこでも安心して使える携帯電話ではないというのは、もろ手を挙げておススメし難いものです。

楽天モバイルのMNOに関して三木谷会長兼社長は「アポロ計画」に例えています。非常に困難で独創的だが実現すれば大きなインパクトをもたらしイノベーションを生む、壮大な計画や挑戦、目標を「Moonshot」と言うことがあります。

日本人にはMoonshotではわかりにくいので、アメリカの有人月ロケット開発計画を意味する「アポロ計画」と言い換えたのだと思います。ただ、現時点で楽天モバイルの内容は残念ながら、有人月着陸を実現したアポロ11号に達しているとは思えません。

好意的にとらえればアジャイル手法で問題を解決しているようにも見えますが、10月時点でサービスインが出来なかったので、サポーターと言う人海戦術で解決する手段を取ったのだろうと思います。

9月の発表時点では「3月末にならなくても正式サービスを開始する」可能性を示唆していましたが、11月の段階では商業サービスを行えるレベルにはなっていないというのが実感です。速度に関しては不満はありませんが、移動しながら使う人には問題があり、この間使えたところのすぐそばだから使えると単純に言えない所が現在の都内の楽天モバイルの最大の問題だと思います。

業界に革命を起こすMoonshotへの期待は非常に大きいですが、それだけに、これら生みの苦しみを是非とも乗り越えて欲しいところです。

さて、プログラム参加者の一人として最後に一言だけ。FAQに「○月×日現在の問題」等、日時を入れて欲しいと思います。よろしくお願いします。