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日本の次世代スパコン「富岳」、富士通の工場から理研に向けて出荷を開始

富士通は12月2日、スーパーコンピュータ(スパコン)やメインフレームの生産を担当する富士通ITプロダクツ(FJIT)にて、日本の次世代スーパーコンピュータ「富岳」の出荷セレモニーを開催。設置場所である兵庫県神戸市の理化学研究所(理研) 計算科学研究センターへの「富岳」の出荷、設置、調整を開始した。

富岳はArmv8.2-A、SVEを搭載したCPUコアと、高速ネットワーク「TofuインターコネクトD」、HBM2、PCIeコントローラを1チップ化した「A64FX」を採用するスパコン。1チップあたり1024GB/sのメモリバンド幅と3.0TFLOPSの理論演算性能を提供するほか、半精度演算や8ビット整数演算にも対応しているため、従来のスパコンのメイン用途であるシミュレーションに加え、AI(人工知能)やビッグデータ処理にも活用が期待されている。

また、11月に開催されたスーパーコンピュータの学会「SC19」に併せて公開されたTOP500掲載システムにおける消費電力性能ランキング「Green500 2019年11月版」でプロトタイプがトップを獲得するなど、高い電力対性能比を達成している。

今後、富岳はかつて「京」が設置されていた理研 計算科学研究センターに、約6カ月をかけて全システムが搬入、調整が進められる予定。その後、2020年末にかけて富士通側の納入前評価が行われ、2021年からは理研での評価を経て、共用に向けた本格稼働が開始される予定となっている。

富士通としても、オープンソースアプリケーションに対応したり、RedHat OSなどで稼働できる使い勝手の良さも併せて、自社のA64FX搭載システム「PRIMEHPC FX1000」や「PRIMEHPC FX700」の展開を進めていくほか、Crayとのパートナーシップの活用による海外での採用数拡大を目指したいとしている。

○CMUの生産工程を公開

FJITSは、今回の出荷セレモニーに併せて、富岳の生産工程の一部を公開した。公開されたのは基板であるCMU(CPU Memory Unit)と、ラックへの実装工程の2つ。

品質と生産効率の向上にこだわっており、10年前の「京」で培った経験やノウハウを生かす形で、生産初期段階から高い歩留まりで生産できるためのシミュレーションを活用した検証などによる準備や体制づくりを2年ほど前から進めてきたほか、富士通のデジタルアニーラ技術も活用した作業効率の向上などを進めてきたとのことで、「時間をかけて入念に準備を進めてきた」(FJIT 代表取締役社長の加藤真一氏)とする。そのため、FJITSとしても「可能な限り準備をして、フルスピードで生産を開始」(同)したとしており、今後は月産で約60台規模のラック生産を行っていく計画を掲げている。

FJITSでは、サーバやストレージの製造で培ってきた製造技術や試験技術をベースに、スマートなものづくりを実践していくことで、信頼性の高いスパコンとして「富岳」の提供を進めていくとしている。

また、開催セレモニー前に開催された記者説明会では、富士通 執行役員常務の櫛田龍治氏が「富岳は京の後継機として、2021年もしくは2022年の共用開始を予定している。スパコンのニーズは高まっており、富岳の高い性能も大学や産業界など幅広い分野から期待を集めていることもあり、すこしでも早く共用開始ができるように進めていく」と意気込みを語ったほか、富士通側の富岳開発責任者である新庄直樹 理事が、「富岳は世界トップクラスのスパコンに匹敵する性能を目指しているが、単にTOP500の性能競争に勝つことが目的ではない。省電力、アプリケーション性能、使い勝手の良さの3つが目標に掲げられており、できるだけエネルギー効率の良いシステムを実現しつつ、実用的なアプリケーションの演算効率の向上も併せて進めていく。また、多様な言語や機能に対応することで、さまざまなアプリケーション開発にも対応することを目指している」とし、その成果を応用した自社のFX1000およびFX700の販売を含め、科学技術の発展や産業基盤の強化につなげていきたいとしていた。

なお、初出荷された富岳は6ラックで、翌日となる12月3日には理研 計算科学研究センター側で受け取りがなされる予定となっている。