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次世代移動通信システム「5G」とは 第5回 先を争って5Gの商用サービスを開始した米国・韓国の狙い

日本では2020年春の商用サービス開始を予定している5Gですが、海外では2019年が「5G元年」で、既にサービスを開始している国が多く存在します。そうした国々では5Gでどのような戦略をもって取り組もうとしているのでしょうか。現在5Gに最も積極的と見られている、米国と韓国の事例を確認してみましょう。→過去の回はこちらを参照。

○米国はスマホだけでなく固定回線の代替にも注力

日本では現在、携帯大手3社が一般消費者に向けたプレサービスを提供するなどして、2020年の5G商用サービス開始に向け準備を進めている最中です。しかし、海外に目を移すと欧米やアジア、中東など多くの国ですでに5Gの商用サービスは始まっており、2019年が「5G元年」と呼ばれている状況なのです。

中でも5Gに積極的な取り組みを見せている国の1つが米国です。米国では2018年より、ベライゾン・ワイヤレスとAT&Tが標準化完了前の独自仕様を含んだ形で5Gの商用サービスを開始しています。この時提供されたのは「CPE」(Customer Premises Equipment)と呼ばれる、固定回線の代替となる据え置き型のWi-Fiルーター向けの通信サービスです。

日本でも類似するサービスとして、UQコミュニケーションズの「UQ WiMAX」やソフトバンクの「Softbank Air」がありますが、どちらかと言えば固定ブロードバンド回線を引くことはできるけれど、工事に手間をかけたくないといった理由から導入されることが多いようです。

ですが米国では国土が広いことから、光回線やCATVなどの固定ブロードバンド回線を全国隅々まで引くのは難しく、しかも最近では4K動画など大容量を必要とするインターネットサービスが拡大していることから、ADSLでは通信速度に限界が出てきています。

そうしたことから、固定ブロードバンド回線を敷設するのが難しい場所や地域のブロードバンド化を無線で実現するため、5Gを活用したCPEを導入するに至ったと言えるでしょう。固定回線の代替であれば独自仕様を含んだ形でも影響はほとんどないことから、早期のサービス開始を重視するに至ったと言えそうです。

しかし、米国では標準仕様に沿ったスマートフォン向けの5G商用サービスでも世界的にかなり先行しています。実際、ベライゾン・ワイヤレスは2019年4月5日に、5Gの商用サービスをシカゴとミネアポリスの2カ所で開始しており、その後5月にはスプリント、6月にはT-Mobileの米国法人も5Gの商用サービスを開始しているのです。

サービス開始という面では非常に力が入っている米国ですが、課題はその後のエリア展開です。米国は国土が非常に広いため、商用サービスを開始したとは言え実際に5Gを利用できる場所はまだ限定されており、使用している電波も周波数が高く、遠くに飛びにくいとされるミリ波が中心です。既に遠くに飛びやすい600MHzも割り当てられていることから、今後はこちらの活用も視野に入れてエリア展開がなされると考えられますが、広大なエリアのカバーにはコストもかかるだけに大きな課題となってくるでしょう。

○5G産業育成のため国を挙げて普及を促す韓国

米国と同様に5Gに積極的な取り組みを見せ、なおかつその普及やエリア面でもスピーディーな展開を見せているのが韓国です。韓国は2018年の平昌冬季五輪で5Gの試験サービスを提供するなど、5Gには早い段階から積極的に取り組んでいました。

そして、2019年4月5日にはSKテレコム、KT、LGユープラスの3社が、標準化に準拠した仕様による5Gのスマートフォン向け商用サービスを開始。この時はベライゾン・ワイヤレスと、5Gの商用サービスを世界で初めて開始したという称号を争い、サービスの前倒し合戦を繰り広げたことでも話題となりました。

韓国が5Gに対して非常に力を入れている様子は、加入者数からも見て取ることができます。韓国ではサービス開始から69日で5Gの加入者が100万人を突破。9月時点では300万も突破しているなど4Gを上回るペースで普及が進んでおり、年末には500万に達するとの予想もなされています。

これだけ韓国で急速に5Gが広まっているのには、国を挙げて5Gの普及を進めていることが挙げられるでしょう。特にそのことを象徴しているのが端末購入補助です。

韓国では日本と同様、かつて激しい端末値引き合戦が繰り広げられたことから、端末の値引きには厳しい規制がなされていました。しかし、5Gでは普及を優先し、対応スマートフォンの購入補助を解禁しているのです。5G対応スマートフォンは現在、チップセットなどの関係でハイエンドモデルしか開発できず高額になりがちなのですが、そうした高性能なスマートフォンが安く購入できることも、韓国での5G普及に大きく影響している訳です。

また、エリアに関しても3.5GHz帯という高い周波数を用いながらも、2019年末には人口カバー率80~90%を実現するとの報道がなされており、急拡大している様子がうかがえます。そこまでして5Gのサービス拡大を急ぐのには、やはり国を挙げて5G関連産業を育てたいという狙いが大きいでしょう。

韓国はスマートフォン最大手となるサムスン電子のお膝元であり、通信産業で成功を収めている国の1つです。そうしたことからいち早く5Gを普及させることで韓国市場を5Gのショーケースとして活用し、今後コンシューマー向けだけでなく、IoTによる法人向けの利活用が期待される、5Gの技術やビジネスを手掛ける企業を育てて世界的にビジネスを拡大していきたいのではないでしょうか。