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自動車向けAIはまず車内から。室温調整から不審者対策まで安全のためならなんでもやるよ

走る個人情報、って怖さもある。

いまや車もAIの時代。GoogleやUber、Appleなど名だたる企業がこぞって開発にいそしんでいます。彼らの目標は、道路状況を理解し、どんな条件でも安全に自動走行する車を作ること。きっとそう遠くない将来、実現するのでしょうね。

それに比べてやや注目度は低いのですが、車内向けのAIもかなり進んでいます。深層学習(ディープラーニング)が進歩にともない、車内で何が起こっているのかを判断し、より安全で快適な乗り心地を実現できるまでになっているのです。

幸か不幸か、車内向けAIアプリケーションの時代はすぐそこまで来ています。たとえば、注意散漫なドライバーを検出したり、所有者を認識したり、ドライバーなどの好みに合わせて乗り心地を改善したりしてくれるようになるんです。だからといって「その代わりこの機能が消えます」的な代償もありません。いや、テクノロジーの進歩ってすごいですね。

自動運転車よりも安全管理しやすい「車内向けAI」

車内の状況を「認知」する機能は、完全自律型の自動運転車を作るよりも技術的なハードルは低く、実現可能性は高いそうです。その最たる理由は、車の操作にかかわるリスクが低いから、と話すのはコンピュータービジョン関連企業Choochのエムラフ・ガルテキンCEO。

現在のAIは特化型AIと呼ばれる段階にあり、限られたタスクを実行するには非常に有効なアルゴリズムですが、オープンな環境の処理にはあまり適していません。公道というのは、何が起こるかわからない「不確実性」の塊のような場所です。それを理解し対処できるAIの開発には、まだまだ時間がかかるでしょう。

それに引き換え「車の中」という環境はスペースが限られているので、特化型AI向きというわけです。 人間の感情を測定するAIを開発する企業、Affectivaの共同創業者兼CEOのラナ・エル・カリウビ氏は「AIを使って車内の様子を理解する技術は、未来の自動運転車だけでなく、現在道路を走行する車にもかかわってきます」と話します。

企業は自分たちのビジョンに従って我々をコントロールするため、AIを使って広告で私たちを狙い撃ちしたり、さまざまな方法で人々を操作できるようになるのです。

コンピュータービジョン・アルゴリズムを搭載した車載カメラは、ドライバーや乗客の状態を分析したり、さまざまな対象物とのインタラクションを検出するなど、複雑なタスクを実行することができます。

「人間のコンディションというのは、非常に複雑です。ですが、こうした技術により自動車メーカーや運送会社、ライドシェアリング会社は交通安全性を向上させるだけでなく、よりパーソナライズされた輸送体験を提供し、1人ひとりの状態に適応する次世代モビリティを構築できるようになるのです」とエル・カリウビ氏は言います。

表情などから感情や状態を読み取り、安全対策を提案するAI

感情認識AIの開発を手がけるAffectivaは、人間の顔からさまざまな表情や感情を検出できるAIシステムを開発したと発表しました。今年のはじめ、同社は2600万ドルもの資金を調達し、自動車内向けの「物体および感情検出技術」を開発したとのこと。Affectivaによると、この技術は今後2、3年で生産段階に入る見込みです。

どんな仕組みになっているか、具体的に見てみると:

① ステアリングホイールの近くに設置されたカメラが、ドライバーの行動を監視。

② AffectivaのAIが、まばたきの頻度や長さを測定、ドライバーが眠気に襲われているかどうかを判断。

③ 危険を認識した場合は警告を発し、音楽の再生、温度の変更、または停車を推奨します。

また、ドライバーがメール操作や飲食、電話の通話、同乗者との会話などに気をとられている場合、よそ見運転といった注意散漫になっている様子を検出できるよう、AIの開発が進められています。この機能は、自動車線制御機能といった他の交通安全技術と連携することも可能です。

車の盗難を防ぐ安全装置的な役割も担う

さらに、今後AIは車内の人を認識し、正当なドライバーあるいは同乗者かどうか検出できるようになります。「既知のドライバーを検出する能力は、近未来の重要な安全機能です。顔を認識し、車両に搭載されたIDカードと一致させる技術がキーになるでしょう」とガルテキン氏は言います。

AI開発会社のChoochは、自動車の正当な所有者を検出するための顔認識システムを開発しています。これを搭載した車を第三者が借りる際には、パスポート写真を車のカメラに提示し、顔を認証させます。車に搭載されたAIが顔認証機能でそれらを識別し、ハンドルを握る人が適正な人物であることを確認します。

さらに、乗客やその行動をスキャンすることにより、AIアルゴリズムが車内環境を調整する技術も開発中だとガルテキン氏は言います。「室内灯の自動調整から、ドアのロック、運転が危険な状況で音楽の音量変更など、あらゆることができるようになります」。さらに、「車内で脅迫的な言葉や罵るような発言があった場合、速度を低下させることもあります。後部座席で子供が検出されれば、窓やドアが自動ロックされたり、子供向け番組にチャンネル変更したりもできるでしょう」。

車の中を快適なプライベート空間にする

「私たちが自動車会社ともに時間をかけて話し合っている検討事項があります。それは、半自律式の車やロボットシャトル、ライドシェアリングといった次世代の自動車で、人はどんな時間を過ごしたいのか、ということです」とエル・カリウビ氏。「仕事をしたい人もいれば、リラックスする、コンテンツを見る、眠る、車内で人と交流したいという人もいます」。 そしてこれこそ、AIの得意分野だとエル・カリウビ氏は主張しています。AIはそうした乗客の感情や認知状態、乗客同士や車内システムとのインタラクションを細部にわたって分析するためのものなのです。

2019年のコンシューマー・エレクトロニクス・ショーで、韓国の現代自動車傘下にある起亜自動車は、乗客の気分に反応および適応するAI主導のインタラクティブ・キャビンである、「リアルタイム感情適応運転(R.E.A.D)」テクノロジーを発表しました。 このシステムではまずカメラとセンサーを活用し、乗客の表情や心拍数、皮膚の電気活動を読み取ります。そしてその評価に従って車内環境を調整し、より快適なモビリティ体験を構築してくれます。

「感情認識AIが人それぞれの好みを理解して車内環境を最適化することで、パーソナライズされた体験を提供できるのです」とエル・カリウビ氏は言います。

AIであるがゆえの弱点も…

AI主導の、とか、人工知能が人の気持ちを認識して…というと、なんとなくうっすら不吉さが漂ってしまうもの。でもそれは決して取り越し苦労ではなく、不穏な要素があることも事実なのです。 AIを開発する際、課題になってくることのひとつがアルゴリズムのバイアスです。これは、深層学習のアルゴリズムを訓練する際に使用されたトレーニングデータセットによって、AIにバイアスがかかってしまうこと。

たとえば、顔認識システム向けの深層学習アルゴリズムのトレーニングで、色白の顔ばかり使用してしまうと、色黒の人の顔を検出する精度が低下してしまいます。つまりアルゴリズムのバイアスにより、トレーニングデータに不足していた人口統計への差別につながる可能性があるということです。

すでにこの問題を認識しているAffectivaはでは、87か国で850万以上の顔を分析しました。「年齢や性別、民族にかかわらず、アルゴリズムが高い精度で機能するための作業です」とエル・カリウビ氏は言います。「テクノロジーが国際世界で機能するには、AIのバイアスを緩和させることが重要です」。

深刻なデータ流出を回避するためのソリューションを模索

また、他の深層学習アプリケーションと同様に、車内での様子を監視や判断できるAIシステムを構築するには、大量のデータが必要です。企業はユーザのデータを収集してサーバー上で保存し、AIアルゴリズムを実行します。ここで問題なのは、消費者データの収集というのはプライバシーにかかわるスキャンダルにつながりかねないということ。

たとえば昨年、AmazonのAlexaがアメリカオレゴン州のとあるカップルのプライベート会話を誤って録音したうえ、連絡先として登録させていた人にランダム送信した、という背筋も凍るようなニュースが流れました。

テクノロジーが国際世界で機能するには、AIのバイアスを緩和することが重要です。

また、企業がユーザに明確な警告を発することなく、外部の請負業者にユーザーデータを提供していたという事例も過去に見られます。企業が請負業者を雇ってユーザーデータ注釈をつけ、AIアルゴリズムのトレーニングに使用するケースも多いとのこと。

救世主は「エッジAI」?

各企業がさまざまなソリューションを検討していますが、中でも人気が高いのがクラウドへのリンクなしに、ローカルで深層学習アルゴリズムを実行できる特殊なハードウェア「エッジAI」です。

エッジ AIのメリットは、データをクラウドに送信して会社のサーバーに保存する必要がなくなる点です。エル・カリウビ氏は、「人の感情や状況というのは、プライバシーに深くかかわるものだと認識しています」と話し、Affectivaの技術は自動車搭載型のシステムあり、ローカルに実行されると説明しています。彼女は、「クラウドにデータを送信する必要はありません」と念を押します。

エッジAIは、AI搭載車両のセキュリティを強化することもできます。「悪意ある人物に、車がハッキング、あるいはジャックされる恐れも依然としてあります」とガルテキン氏は言います。近年、オンライン接続された車のセキュリティが大きな問題になっています。研究者によると、リソースがそろってしまえば、車がハッキングされて乗客が損害を受ける恐れもあると考えられます。

「運転中、という危険な環境でこれを防ぐには、クラウド処理から車両を完全に切り離すことが重要です。だからこそ、特定の場合を除き、AIを実行するにはエッジが不可欠なのです」とガルテキン氏は主張しています。

一番大事なのは、企業が人権保護の意識を持ち、透明性を確保すること それでも、ハイテク企業に自分の個人情報が悪用されるのでは…という懸念は残ります。マサチューセッツ工科大学でAI倫理コースを担当する化学工学のバーナード・トラウト教授は「効率性を追求しつつ、基本的人権の意味、そしてそれを保護していくことをしっかり考えていかなければなりません」と警告を発しています。「これらの企業は、自分たちのビジョンどおりに我々をコントロールするため、AIを使って広告で私たちを狙い撃ちしたり、さまざまな方法で人々を操作できるのです」。

トラウト氏はAIを搭載したスマートシティや自動車は「ユーザの行動を制御するのに非常に効果的」であり、「スターリン方式の監視」体制につながる恐れがあると説明しています。「ただ、スターリンは私たちの心を読むことができませんでした」と彼は言います。

今後、AIシステムへの信頼を構築する上で重要な役割を果たすのが、透明性です。我々がAIシステムを信頼できるようになれば、自動車への応用は徐々に拡大していくでしょう。エル・カリウビ氏は自動車メーカーとモビリティサービス業者は、車内感知テクノロジーについて明確にし、その機能や収集するデータ、そしてその保存や使用方法について消費者にしっかりと伝えていかなければならない、と強調しています。

「このテクノロジーへの信頼を高めるには、明確なオプトインと同意が必要だと確信しています」とエル・カリウビ氏は言います。「人間と相互作用するよう設計されたAIは、倫理的やプライバシーとの関係をしっかり評価していく必要があります」 。