中国・小米科技(シャオミ)が日本市場参入を正式発表、第1弾となる製品の発表会を開催した。設立は2010年と若い企業だが、2018年には香港証券取引所に上場を果たし、2019年7月にはFortune Global 500にランクイン。出荷ベースではAppleに次ぐ世界第4位のスマートフォンメーカーとして周知されている。
北京を拠点とするシャオミは、90以上の国・地域でスマートフォンやウェアラブルデバイス、IoT家電や空気清浄機など幅広く展開。今回発表された製品も、スマートフォン「Mi Note 10」と「Mi Note 10 Pro」のほか、モバイルバッテリー、ウェアラブルデバイス、炊飯器など多岐におよび、総合メーカーとしての顔をのぞかせた。
Xiaomi 東アジア担当ゼネラルマネージャー スティーブン・ワン氏
シャオミはAndroidを基礎にカスタマイズをくわえたスマートフォンを得意とし、今回発表された2製品も同路線を踏襲。韓国・サムスンとシャオミの共同開発による1/1.33インチの大型イメージセンサー「ISOCELL Bright HMX」を採用、カメラ機能に重きを置いた端末となっている。シャオミは世界に9箇所のカメラR&Dセンターを擁し、今回のMi Note 10/Proは日本のカメラR&Dセンターで初めて開発された製品だそうだ。
最高の解像度、5基のカメラを配備
背面には、1億800万画素の広角カメラをメインに、500万画素の望遠カメラ(5倍)、1200万画素のポートレートカメラ(2倍)、2000万画素の超広角カメラ、そしてマクロ専用カメラという5眼構成。「市場にあるスマートフォンでは最高の解像度を持ち、5基のカメラを配備したことで0.6倍から50倍までをシームレスにズームできる」(ワン氏)という。4軸の光学手ぶれ補正機能で手ぶれを抑えるほか、夜景の撮影に適した「RAWマルチフレーム・ノイズ・リダクション技術」も搭載している。前面には3200万画素のフロントカメラを配置、AIビューティーや手のひらシャッターといった遊び心のあるカメラ機能をフィーチャーした。
販売スタイルも挑戦的で、Mi Note 10は52,800円、Mi Note 10 Proは64,800円(いずれも税別)。Amazon.co.jpのシャオミストアでの販売となり、SIMフリーモデルのみ扱われる。
他社スマートフォンとの比較でいえば、カメラ機能は頭一つ抜けた状況。最新モデルでいえば、ファーウェイ「Mate 30 Pro」とサムスン「Galaxy Note10+」はいずれも4眼、リアに5眼カメラを搭載するのはノキア「Nokia 9 Pure View」程度で、イメージセンサーのサイズと解像度では他のスマートフォンを圧倒している。5万円台でこれだけのカメラを搭載したことは、カメラ関連機能が特に重視される現在のスマートフォン市場において、相当のインパクトがある。
ただし、FeliCaチップ非搭載のため電子マネー/おサイフケータイとしては使えず、ワイヤレス充電には非対応。防水機能はなく、micro SDカードスロットも装備しないなど、割り切った部分もある。この点はシャオミも認識しているようで、日本市場参入にあたり「次世代カメラを強調したかった」(ワン氏)という。
5G切り替え、値引き規制 日本市場で高めたい存在感
なぜこのタイミングで日本市場参入を決断したのかという質問に対しては、「来年から5Gへの切り替えが始まるから」(ワン氏)というが、今年10月に値引き上限が2万円に規制されるなど携帯電話/スマートフォンの販売ルールが変更されたことも理由にありそうだ。携帯キャリア各社は5万円以下のラインナップ拡充を開始、昨年日本市場に参入を果たした中国・OPPOも3万円台の日本オリジナルモデルを投入するという状況下、プレーヤーが固定する前に存在感を出したかったと考えるのが自然だろう。
2019-12-10 00:36:45