インドネシアで発見されていた世界最古の動物壁画について、研究チームが「半人半獣の狩人」が描かれていると新たに発表しました。
問題の壁画はインドネシアのボルネオ島に位置するスラウェシ島で2014年に発見されたもの。オーストラリアのグリフィス大学とインドネシア国立考古学センター、そしてマカッサル文化遺産局による合同研究チームが放射年代測定法の1種であるウラン-トリウム法で調査した結果、これらの壁画は少なくとも4万年前に描かれたものだと判明。研究チームは、2018年11月に問題の壁画を「人類最古の動物画」だと発表していました。
人類最古の最大約5万2000年前に描かれた動物画がインドネシア・ボルネオ島の洞窟にあったという調査結果 - GIGAZINE
研究チームはこの発表の後にも研究を進めていました。今回、研究チームは問題の壁画は4万年ではなく、4万3900年よりも以前に描かれたものだと発表。加えて、この壁画の中には、胴部は人類かつ頭部が鳥や爬虫類、そして尾を持つというという「人と動物が融合した生き物」が描かれているという見解を示しました。グリフィス大学が公開した、鳥の頭部を持つ人の壁画が以下。
壁画には、半人半獣の狩人が槍やロープを持ってスラウェシ島の固有種である牛やイノシシを追いかけている様子が描かれています。
壁画について、研究チームは「現代宗教の基盤となる『自然界に存在しないものを思いつくという人類の能力』を示す証拠のうち、世界最古のものかもしれません」と述べています。研究チームを率いたマキシム・オーベール教授は、「問題の壁画には、半人半獣のようなフィギュラティヴ・アートや、物語の一場面のような絵が含まれます。高度に発展した芸術文化の主要な構成要素が、4万4000年前のスラウェシ島に存在していました」とコメントしました。
なお、グリフィス大学によると、スラウェシ島近郊では多数の壁画が発見されているものの、洞窟の壁面が剥がれてしまったことによって、その多くは消えかけているとのことです。
2019-12-12 22:28:56