Googleが、「特定のウェブサイトを訪れるたびに団結権に関する文章を通知する社内向けChrome拡張機能」を開発したセキュリティエンジニアの女性を解雇しました。
Google Fires Another Worker for Exercising her Rights and Protecting Coworkers from Illegal Company Retaliation
近年のGoogleでは、幹部によるセクハラに対するストライキを起こしたり、移民による人権侵害への抗議活動を行ったりといった、従業員の組織化が盛んです。Googleは、2019年8月に「社内での政治的議論を禁じるガイドライン」を発表し、自社従業員に対する締め付けを強化していました。
2019年11月、Googleが従業員の組織化に関与していたとして4人の従業員を解雇しました。解雇の理由は「会社のデータセキュリティポリシーを繰り返し侵害していたため」と発表されましたが、解雇された従業員は「組織化に従事していたことに対する報復として解雇された」と主張。Googleが従業員の組織化を妨害しているのかどうかについて、労働関係委員会が調査を開始しています。
そんなGoogleと従業員の対立が激化する中で解雇されたのが、Googleで2年間セキュリティエンジニアとして働いていたKathryn Spiersさん。Spiersさんは業務の一環として、「特定のウェブサイトを閲覧しているときに、従業員向けガイドラインと自社ポリシーを自動的に通知する」という社内向けChrome拡張機能を開発していました。Spiersさんはその社内向けChrome拡張機能に対して、Googleが契約した反組合活動で知られるコンサルタント企業・IRI Consultantsのウェブサイトをを閲覧する際に「Google社員は、雇用主の報復が違法であると定義されている『Protected concerted activity』という活動に参加する権利を持っています」という通知を行うように変更を加えました。
Googleは「社内のセキュリティツールを変更するために特権アクセスを悪用するという重大な違反行為です」として、Spiersさんを解雇。Spiersさんは解雇される際、「組織化に対して尋問され、職場を混乱させる意図があったのか尋ねられた」と述べ、弁護士と相談する許可も下りなかったと記しています。
Googleの広報担当者は、「Kathryn Spiersは、セキュリティとプライバシーを目的とするツールに、セキュリティとプライバシーに関係のない通知を作成しました。彼女は、所属するチームやセキュリティポリシー通知チームの許可を得ずに、通知の作成を実行しました」とGoogleは説明。一方、Spiersさんは、「問題の通知は2人の同僚の承認を得るという標準的な認証プロセスを通過していました」とコメントしています。
2019-12-17 19:45:06